心からのお悔やみを
名前が異なる二人の女性からの手紙を受けとった。
五十年になる付き合いの、女性の死を告げる手紙であった。
いつものように「おやすみ」と言って去ったまま、翌朝なくなっていたという。
安らかな寝顔で声をかければ目を覚ましそうだった、とのことであった。
一年に一度くらい電話をする。必ず彼女が出て、ひとしきりおしゃべりが始まる。今年は三度ぐらい電話をしたのだが、それはかなわなかった。
もしかしたら、と思ったのであったのだが、それが本当になってしまった。
医学部長の名秘書とうたわれたひとで、何か困ったことが起きても彼女と言う解決者がいるのが安心だった。
彼女にはお孫さんがいない。三匹の犬を世話しながら、夕飯を作って仕事をする主婦であるお嬢さんの家庭を守る、ということをしていた。
この酷暑の夏を過ごすのは大変だったのであろう。
消息のないひとからの便り、それはもしや、の予測を語る一通になりかねない。
今年になって二通目の手紙、哀しみと淋しさにしばし耐える夏である。
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