「病が癒えた者の神への聖なる感謝の歌」
およそ半年ぶり以上のご無沙汰、サントリーホールである。
きょうは大ホールではない、手前の室内楽用の小さいホール、ブルーローズが目標、7時から開かれるベートーベンの弦楽四重奏、エリアス弦楽四重奏団、来てみて驚いたのだが、ベートーベンの弦楽四重奏全曲演奏の第一夜なのであった。
ベートーベンが聴きたい、が先にあって、チケットを買ったのだが、ブルーローズはほぼ満席で、全曲演奏をすべて聴きたいという人ばかりが集まっているという感じである。
最初の音が鳴ったときに、すでにこれはスゴイ表現力だということ、耳が吸い寄せられるような音、メロディーを弾く第一ヴァイオリン、伴奏を引き受けているチェロは独りで二人とも女性、男性が一人入っているが、三人の女性も一人の男性も、四種の音量が、一つとなって、弦楽という音を作り出している。ブルーローズはまさに四人の演奏を引き立てるのにちょうどよい大きさの会場であった。
最後の第十五番、イ短調、作品132の第三楽章は「病が癒えた者の神への聖なる感謝の歌」と称する、弦楽四重奏の中核を成す役目を持っており、わたしの状況を正に語っている。なにも知らずに来たのだが、わたしの今を語っているようではないか。
静かな喜びを語るような出だし、それが徐々に激しくなって、高らかに歌う。
聴いていて涙が出てきた。
夜の九時を過ぎて万来の拍手と共に演奏は終わった。
サントリーへは電車で一本で来るのだが。夜は長い。帰り着いたのは十時過ぎ、タクシーは拾えなかった。もう夜のコンサートは無理だなと思った。
でも、表題の歌が聴けただけでも、奇跡のように思われてならない。
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