いいことと悪いことが…
この一週間のうちに、いいことと悪いことが起き、目下は悪いことの調整に毎日疲れはてている。
いいこととは、オペラに行ったことだ。急遽決意して、四年に一度の『ホフマン物語』に出かけたのだ。幸い好みの席がとれた。配役は女性がすべて日本人、主役のホフマンと悪役が海外男性、みんなそつなくこなしていた。
とりわけ気に入ったのが、最後のヴェネチアの舞台。明かりを松明にすることで、ヴェネチアの雰囲気が一段と強まり、舞台半分をヴェネチアの海、そこに斜めになったゴンドラが一目でヴェネチアの海を感じさせる。それがあまりに美しいので、あの、騒がしくて素っ気ない舞台が、生きてくる。最後の舞台で舞台美術の美が発揮されたのは初めて、感動した。もうホフマンを見ることはないだろう。あと四年先に生きていたとしても無理である。
渋谷が怖いぐらい人が出ていた。帰りは疲れを感じず、長い歩きもイヤではなかった。
でもこれが四年後には、車も拾えない現実があって、無理だな、と思う。
悪いこととは、夫が二度転び、歩くのができなくなってしまったことだ。トイレの不自由、幸い、簡易トイレを嫌がらずにしてくれて、ともかく助かった。きょうも一日私の日はある。朝早く迎えにやってきた男性は、夫を軽々と抱きかかえて、連れ去ってくれた。
娘と息子が手はずしてくれた車いす、とにわかの手すり、車いすは我が家の狭い廊下いっぱいいっぱいで、ともかく夫がかえってくるときは、役に立ってくれる。夫の、転んだあとの、治りぐあいが速いならば、いいのだが、張り薬だけで、効果があるとは思われない。ともかく最悪のことも、覚悟しておかなければ、わたしはそれまで、もつだろうか。
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