軽い脳梗塞が,
久しぶりに会う若い友人と、話していた。なんだか会話についていけない。何とか話をまとめようとするのだが、支離滅裂になってしまう。
ついに、言ってみた。きょうのわたし、変。何を話しているのかわからない。
そう、変、と彼女が真剣な顔をしていった。今までで一番変よ、すぐお医者さんに行ったほうがいい。
わたしはそそくさと彼女に別れを告げた。自分でもそういいながら、そんなに真剣なことではないような気がしていた。
翌日、ついに医者に行った。先生は、見たことがない人で、わたしのことを聞くなり、顔色を変えて言った。すぐ一番近くの脳神経科に言ったほうがいいです。できるだけ早く。
言われた医者は御嶽山でタクシーでないと無理なところだった。ちょうど通りかかったタクシーに乗り、すぐ見ただけでは、医者とわからないくらいのところで、中に扉の色が異なるところがあって、ようやくMRIのドアと分かった。まずMRIを図り、点滴をする。
運がよかった、一人だけやってくれると医者が言い、わたしを連れて外に出る。なんでも一人だけ空きがあったということで、そこからしばらく乗って荏原病院に行く。終わったら、タクシーが一杯並んでいるので、乗って帰ってください、うちにですよ、と言い終えた。わたしはまた、MRIを取った。沢山の音を聴き、それに耐えた。ようやくそれも終わり、支払いをしようとしたら、何かがおかしいらしく、いつまでたっても終わらない、およそ、三十分も待っただろうか、長い待ち時間だった。やっと外に出たら、タクシーは一台も待っておらず私はどうしてよいかわからなかった。
タクシーは来ない。結局、待つのをやめて、歩くしかないかと思い、大通りに向かって歩きだしてしばらくすると、向こうから車がくるではないか、思いがけず車を前からとめて、御嶽山と言う言葉を絞り出すようにして言いながら、車に乗った。
ドアを開けると、多くの患者がいた。また長い時間を待つ。最後に部屋に入るとようやくこれまでの経過を話し、沢山の薬を飲むことを告げる。
長い一日、大変な一日、それをすぎて、夫に話しをする時間がきた。わたしにとっては、ちょっと大変な時間であった。
« 目にも耳にも美しい『ドン・ジョヴァンニ』? | トップページ | 軽い脳梗塞が。2 »
コメント