2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
フォト
無料ブログはココログ

« 2022年8月 | トップページ | 2022年10月 »

2022年9月に作成された記事

2022年9月24日 (土)

何よりのおすすめ『連隊の娘』

今回の選りすぐりの名演27作にはフローレスが出演する三作が含まれるという贅沢さであるが、そのうちのどれを優先すべきか、わたしがオペラの生き字引さまと尊敬してやまないkikukoさんのご意見を伺った。意外にも『連帯の娘』を注目している、フローレスもだが、ソプラノのナタリー・デセイが見逃せないとおっしゃるのに、いてもたってもいられず、いそいそと出かけた。

 

期待は裏切られず、フローレスは容姿も見とれるばかりの美男子ぶりだが、声量はまさに絶頂期ではないかと思われるほどのスゴさで、ベルカントのハイCへの高みが難なく発せられ、あまりの完璧さに、観客すべてのゴォ~ッツという歓声に自分も合唱したくなるほどの感動であった。デセイは美しさもだが、女優出身の演技力のすさまじさ、コミックオペラの本領を全身で表現、連隊兵の下着の洗濯の山を片っぱしからアイロン、見事な手さばきでたたみながらのアリアには、ユーモアと詠唱の美とが合致して、観る者を恍惚とまでさせる舞台効果に酔い、ああ、オペラって素晴らしいとため息がとまらなかった。

Images Images-1

イタリア人のコミックオペラと言えば、ロッシーニだが、ドニゼッティにはアリアのすべてに何とも言えない、品格と優美さがある。

 

今から18年まえ、ドニゼッティの出身地、ベルガモの歌劇場で、わたしはこの『連帯の娘』を観たのだった。劇場は天井にフレスコ画があるようなこれぞイタリアという優雅さだったが、席がなんと前から三番目ということもあってか、男性歌手が長髪で髭つきの大男で、声はよかったが、容姿が不満、フローレスのこの役を観たかったとずっと思いつつの舞台だった。あのときはもしかすると言語もイタリア語だったのかもしれない。

 

今回のフランス語はまさに、フランス人のデセイならこその、独特の言語の醸し出す発声の雰囲気づくりがぴったりで、しかもセリフ入りの舞台演出が二幕後のややこしい筋書きをなめらかに解決していたし、侯爵夫人と公爵夫人の名演技で、それが一層に冴えていた。

 

おかげさまで名舞台を見逃さずにすみました、kikukoさん、大感謝です。

 

 

 

2022年9月14日 (水)

エリザベス女王崩御以後

エリザベス女王崩御のニュースが伝えられてから、ずっと服喪の期間、BBCのニュースを見続けている。

ご在位70年をこの目に刻んできた、現在84歳の私の人生には常にあの女王のほほ笑みのお姿があった。

 

英国議会では政治の討議を中止して、主だった人たちの追悼のメッセージが発表された。なかでも群を抜いて注目されたのは、テレサ・メイ元首相の時には高度のユーモアも混じる美しい英語で、女王の英知を、immense wisdom、あのほほ笑みをmagnificent smileと形容されたのである。immenseは「計り知れない」、magnificentは「崇高な」とでも訳される最高級の形容詞だ。毎週国政の報告をするときが、楽しみであったほど、その英知と微笑に魅せられた逸話が伝えられた。

 

このところ、英語という言語の粋の部分が国家を代表するひとびとのスピーチから学べる機会であることを感じる。

 

チャールズ国王のテレビ演説は聞き取りやすい美しい英語が心の底から話されているという臨場感をも強調していて、母君の治世がその期間の長さと献身においては比類のないものであったという文意が伝わってきた。結びに近く、最愛のママへ、という呼びかけとともに天使の歌声に包まれ、という詩的は表現が、とりわけ心に残ったのだが、BBCのコメンテーターが、あの部分はシェクスピアの「ハムレット」のせりふからの引用だと述べたのはさすがであった。その全容を知りたくて、ネット検索したのだが、見つからず、読売新聞の見事な全訳で知ることができた。

 

知性あふれる新国王、母君のかたわらで、王者のあるべき姿を常に学んでいられたこと、最初の結婚でご不幸を経験されてから、誹謗や中傷もあびせられこともあったが、のちの長期にわたっての、ご自身の環境保護や、慈善活動での実績が国民を納得させ、今をつくられた。カミラ妃のことも、二十年前ロンドンに立ち寄ったときは、市民にレモンを投げつけられたという災難に遭われたと、タクシーのドライバーから聞いたりした。

でも国王就任後のお二人はまさにお似合いの美しい威厳にあふれている。人生の年月の過ごし方で、人はどのように変わるのかを知らされる思いがするのである。

 

それにしても続く行事の奥深さと繊細さには、敏速を尊ぶ現代とは真逆の伝統の重さである。

どうかお元気で、ご健康でと祈らずにはいられない。

2022年9月 8日 (木)

訂正

「ドン・カルロス」の今後の上映日、すでに訂正しておきましたが、9月10日10時と16日17時30分です。

2022年9月 6日 (火)

「ドン・カルロス」を観る

九月は忙しい。METライブビューイングアンコール2022、選りすぐりの名演27作一挙上演を見逃したくないからだ。

でも、東劇まで行くのは三年ぶり、それだけの体力があるだろうか?

暑さに弱い身体は外出時のマスク着用で、疲れが増し、水泳もしていないので肩凝りがたまりにたまっている。

それをなんとか、前日マッサージでほぐしてもらい、ともかく、四時間があっという間というほどの評判の高い、「ドン・カルロス」の十時半公演を観にいくことにした。

その日は比較的涼しかったので、東劇までの道はそれほどつらくなかった。私の前に同年配の女性がとても弱弱しい足どりで歩いていた。着いてみるとそういう世代が圧倒的に多く、客席はちらほらという入り具合だったが、みんな思うところは同じ、待ちに待ったオペラの傑作を見たい一心なのだと思った。

これまでにこの作品は二度観ている。一度は日本、そして二度目はウイーン、そのときは題名が「ドン・カルロ」だった。今回は仏語訳のせいなのか、「ドン・カルロス」、ロドリーゴもロドリーグとなっている。

二幕目のドン・カルロとロドリーゴの二重唱が聴きたいために遠路はるばるやってきたという感じである。

ウイーンのそれは素晴らしかった。ドン・カルロがホセ・クーラ、ロドリーゴがイギリスの誇るバリトン、サイモン・キーンリーサイド、彼は主役の二枚目テノールを完全にしのぐほど絶好調で、曲の美しさと見栄えのする二人に、忘れがたい恍惚感を味わった。

今回のボレンザーニとデュピュイの二人、声はよかったが、デュピュイというカナダ人のバリトンのモヒカン刈りと髭の顔が不快だった。演技もいいし、顔立ちも悪くないのに、どうしてこういう顔とヘアースタイルなのだろう?気になって仕方がなかった。

でもドン・カルロス、王妃エリザベート,エボリ公女、国王フィリップ2世、ロドリーグ、大審問官の六人の詠唱も演技も素晴らしい。

演出家がインタビューで、この六人の重要性が複雑にからまっている、それを重視したという説の通り、圧倒的な迫力を生み出していた。物語もウクライナの現状を思わせる深刻さと、感情移入が出演者にも、演出にもオケにもそして久しぶりの大作オペラの劇場を満席にしている観客にものりうつっているせいなのか、と思われるド迫力なのである。

いいものを観たという満足感は大きかった。

休憩は二度、十分ずつなので、持参した手製のサンドイッチを味わうほどの時間がなかった。会場は空いているせいかちょっと寒くて、レッグウオーマーや、スカーフが必要と思われるほどだった。

 

終了は三時過ぎ、銀ブラをする時間はあったのだが、東劇から銀座に出る道順を思い描いただけで、疲れる感じがした。交差点を地下鉄の方にわたったとき、天の助けか、東京駅行きの都バスがとおりかかって、停留所にとまった。それに飛び乗って正解だった。次ぎの停留所が有楽町駅、改札を入るとエスカレーターがのびており、わたしは蒲田まで行って、西口にずらりと並んでいるタクシーに乗り、思いのほか楽に帰宅することができた。

 

*ご参考まで、「ドン・カルロス」9月10日10時と16日17時30分に公演があります。

 

2022年9月 1日 (木)

訂正

読書用メガネを受け取りに雪が谷に行ってきました。看板を見上げて、あっと叫びそうになりました。

店の名は「メガネスーパー」ではなく、「メガネストアー」だったからです。メガネス、まで見てスーパーだと思ってしまうとは、あいかわらずの思い込みの強さだと、恥じ入っています。

きょうこさん、せっかく励ましていただいたのに、ごめんなさい、早とちりしてしまって…

でもメガネストアーも創業45年の歴史を誇っています。仕上がりも上々、今日、数軒先のBOOK OFFで二冊200円也の文庫本を買ってきましたが、レンズの性能の良さで、もう読破してしまいました。

お詫びして訂正いたします。

« 2022年8月 | トップページ | 2022年10月 »