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2022年8月に作成された記事

2022年8月29日 (月)

メガネ騒動

久しぶりに読書をしていた。文庫本ではなく、単行本だったので、字も大きく,改行も多い、読みやすい本だったのだが、どういうわけか、二ページに一度ぐらい、字がぼやける。

これはただ事ではない。

夏前に眼科の定期検査を受けたときは、白内障の心配はまったくない、と言われたのだが、字がぼやけるのは白内障の特徴である。夏の暑さに弱いわたし、今年の暑さは湿度もひどく、耐えがたい日が続いた。身体の衰弱度が増しているのは自覚していたが、いよいよ来るときが来たのか?

ドキドキしながら眼科に行った。かれこれ三十年以上もお世話になっている医師の診断は?

症状を述べ、宣告を待つ覚悟で恐る恐る首を上げると、先生はいつもと変わらぬ声音で静かに言われた。ぼやけるのはレンズの問題でしょう。

えっつ?そういえば、読書用メガネだからと、安心しきって、レンズはもう数年以上変えていない。よかった!手術という文字を今の時期、すご~くコワがる単純細胞の、不安はあっけないほど瞬時に消え去った。

翌日、いつもの眼鏡店を目指す。そこで購入したメガネ、取り落としたせいでゆがんでしまったのをついでに直してもらうつもりでケースに入れ、遠近はほかの眼鏡店で新調した赤いメガネをかけ、読書用と、念のためパソコン用もケースに詰め、ぼやけ具合を証明するために単行本までも入れた重たいリュックをしょって、雪が谷に向かった。ほかの美容院でカットしたときに感じるやましさと似たような気分で、あのあまり愛想のよくない、それでいてレンズの調整が抜群に上手な店主と顔を合わせるバツの悪さを想像しつつ店に着いた。

 ドアが閉まっており、張り紙がしてあった…当分休業します。

 いつ出かけても客の少ないのが気がかりではあった。もしかして閉店するのかも…

さて、どうしよう?この店を見つけるまえに利用していたもう一軒の老舗に行ってみた。そこも張り紙がしてあって、休業日、木曜日、なんとツイていない日だ。これで今日の歩数は400歩ぐらい増えた。

 それでもあきらめられなかった。あとは表通りのチェーン店「メガネスーパー」、ここを一度レンズ交換で利用したことがある。レンズ交換だけだから、少しでも安いところを、と思って、値段を確かめたら、思ったほど安くなかった。それでも頼むことにしたのは接客が確かだったからである。記憶のよみがえり方が遅くなったのは、あれから数年たっているからだ。店員は女性一人だけで、うっすらとだが、見覚えがあった。あのときのひとだ。

 まず曲がってしまったメガネの調整は、細い金属がもしかすると折れてしまう懸念もある、それを承知で頼まれますか?と念をおされてから、十分ぐらい待たされたあと、汚れていたメガネはピカピカになって、ゆがみは見事に直っていた。現在読書用にしているメガネのフレームのほうがむしろ危ういというのが彼女の見立て、正しい。そのフレームは十数年まえ、アムステルダムで買ったもの、年数からいって、ゆがみを直してもらったほうが新しく、しっかりしているのは確か、結局それを使って読書用にすることが決まった。

単行本を持ってきたのは正解だった。そのページをめくりレンズを数種類以上、交換する作業が見事だった。ここにたどり着いてよかった、注文を終え、帰宅してから、「メガネスーパー」の評判をネットで調べた。

 「安売り」と決別しても廃業しなかったのは接客が磨かれているからである、シニアの固定客の支持が多い云々、私は今日、それを実感できた。

2022年8月21日 (日)

夫の卒寿

夫の誕生日、90歳の卒寿の祝いが終わった。

 かなりハードな仕事をしている娘、息子、孫たち、一同に集うことがむずかしい、ましてやこのコロナ禍の最中、夫は認知症ではなく、聴力が落ちているだけで、彼の目を見ながら話せば、すべて通じるけれど、歩幅が三十センチぐらい、杖二本でやっと歩けるぐらいなので、外出がむずかしく、食も細いし、外食をきらう。

 何を一番喜んでくれるか、と考え、車の運転をやめたときに皆で送った色紙に感激し、いまでも時々眺めているので、また、寄せ書きを送ることにしたら、と提案した。短くていいから、彼にしてもらったことで忘れられないエピソードを三つくらい、できるだけ具体的に書いてほしい、これが恐らく、正常なじぃじとかわせる最後のけじめの祝いになるかもしれないから、と子供、孫の四人に伝えた。

 誕生日の前日、娘が訪れた。今回の色紙は三つ折り、リボンで結ぶようになっていて、デザインは前回と同じ、孫娘が担当し、花々のイラストをちりばめ、選りすぐった夫の写真を切り抜いたもの正面に張り付けてあり、両側に花に囲まれて五個の窓がひらいていて、すでに、三つのメッセージが書かれていた。あとは息子とわたしが書けば完成する。

 二人の孫は父親代わりをつとめたじぃじを讃えていた。受験勉強を辛抱強く優しく指導してくれたこと、サイクリングに連れだしてくれたこと、キャッチボールにつきあってくれたこと、早起きしてワールドホビーフェアにドライブしてくれたことなど、など…

息子は近頃夫と口をきかなくなったが、コロナで大変な時だけれど、身体に気を付けて元気でいてください、と書いていた。わたしは五十数年前、アメリカ駐在時代、最初のドライブ大旅行、あの岸壁に四人の大統領の顔が刻まれている、ラシュモアの旅行の写真を付け加えて、沢山の旅行の思い出があるから、帰国後の苦労を耐え抜くことができたと感謝を述べた。

 娘はめずらしく、そそくさとは帰らず、家事に疲労困憊する私の愚痴をきいてくれた。ちょっとご飯食べさせて、と言って、コンビニで買ったというきしめんを手早くつくってほおばった。近頃あんなにおいしそうにコンビニ食をほおばる姿を見たことがない。今の彼女は健康なのだ、とちょっと安心した。部屋が片付かないとこぼしてみたのだが、「きれいにしてる、うちより、ずっとまし」とほめてくれたので、うれしくなった。

ずっと、なにか、娘に褒めてもらいたかったのだと、つくづく思った。「窓から見える風景がすべて癒し空間になってるみたいでスゴイ」とも言ってくれた。

 当日はちょっと出かけて、自由が丘の駅中、スープストックのカレーを二人分、田園調布の小さなケーキ店で、イチゴショートケーキを二個、夫の名前の入っているチョコレートプレートをつけてもらって、タクシーで帰る。

 夫は色紙を開いて読み、涙ぐんだ顔をあげ、「宝物だ」と言った。

 その日を祝福するように、ひいきのDeNAベイスターズがなんと14連勝、シーズン初めはビリ確定かと思ったのに、奇跡が起きつつある。

 

 

 

 

 

2022年8月13日 (土)

ある日の問答

このところYouTubeで、若き日の名優たちの姿を追いかけたりして、楽しんでいる。ピーター・オトゥールのインタビューなどを見ていたら、彼にまつわるドキュメンタリーも全編見ることができたし、ローレンス・オリヴィエの写真を次々クリックしていたら、ウエストミンスター寺院で行われた一時間余の追悼礼拝も見入ることができた。アルバート・フィニーがコヘレトの言葉を朗読し、アレック・ギネスが高度なユーモアの含んだ、素晴らしい弔辞を述べ、参列者の中にオトゥールも混じっており、少年の聖歌隊の美しい合唱が何度か響き、最後はオリヴィエ自身の、「ヘンリー五世」の名台詞録音が寺院いっぱいにとどろいて終わるという、プログラムの見事さ、感動した。

 

それを夫に伝えたくて、「ねえ、あのシェクスピアで有名な…」と言いかけたら、「シェクスピアってだれだっけ?」と問われて、愕然とした。

 

夫は大学は法学部だったが、野球部に属していることに熱意をもやし、英文学、演劇、クラシック音楽などにおよそ関心がなく、スポーツ一辺倒だから、記憶がどんどん薄らぎつつある今、関心が少なかった事柄への記憶が失せることが激しく、そういう問いが出てくることもあろうかもしれないが、それにしても常識まで、欠け落ちつつあるのか?

 

デイサービスはいやがらずに、毎週出かけていく。帰宅してから、バッグの中を探ってみると、貼り絵とか切り抜きとか、まるで幼稚園の作業のような作品が出てくる。これが脳トレの一種なのだそうだ。指導の仕方がいいので、別段嫌悪感もないらしい。ボンドガール来ました、とか言いながら、ノリ貼りをうながしてくれるユーモアもあるという。

 

でも、それより薄れゆく常識を保つために、歴史的有名人とその国名や職業などを結ぶクイズのようなものもやってほしい、と思ったのだが、出席者十数人の三分の一が認知症にかかっている方々だそうなので、そういう望みは差別めいていて、平等ではないのかもしれない、そう思って要求をひっこめることにした。

 

きのう、もう一度,訊いてみた。シェクスピアがだれか、本当にわからないの? わかってるさ、英国の劇作家だろう? 

 

これって薄らボケの一種なのか、それとも、わたしのうろたえる表情を面白がっているのだろうか、それがわからない。

2022年8月 5日 (金)

この夏の危機と闘いながら

山形が大変なことになっている。あのおだやかな清流、最上川が氾濫したとは!

孫娘は無事だろうか? アパートはたしか一階だった。屋上に避難したりしているのだろうか? 不安でいっぱいになって恐る恐るラインメールをした。

「いま、山形にいないんだ! そんなことになってるって知らなかった。あのね、岩手に仕事で行ったとき、ばぁばに漬物のおみやげ買ってきたよ、いつ渡せるかな?」

 

のんびりした返事で胸をなでおろしたが、まもなく東京に来るというので、帰りの新幹線はまたまた混乱するのではないか、と心配になる。

 

コロナも感染が広がっているし、泥水の激流の映像はすさまじく、被害に遭われた方々はどれほどの恐怖だっただろうか。次々押し寄せる地球の危機にこの先どうなるのだろうと、疲労の重なる頭がますます重くなる。その頭の疲れをとるために、このごろ、毎日のように氷枕をして寝ている。頭を冷やすのは、肩凝りにもいいらしい。寝つきもよくなったような気がする。

 

寝る前に、氷枕に氷を入れるのはかなり億劫、冷蔵庫の氷を絶やさないようにしなければならないし、と若い友人に話したら、ちょっと重いものだけどあげたいものがある、と言われて「せせらぎ館」で会った。プレゼントは冷凍庫で冷やすやわらか氷枕であった。そのとき、彼女が首にスカーフを巻いていて、保冷剤を包んで、冷やしているのよ、と教えてくれたので、さっそくマネしてみた。首の後ろが冷えると、暑さが半減するような気がする。頭を使うブリッジゲームの時は、とりわけ、この工夫が効果を発揮する。

 

コンビニで売っているビオレのマイナス3度Cのシートも便利だ。汗をひとふきすると暑さがたちまち消える。

 

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