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2022年5月 8日 (日)

『捨てない生きかた』我が意を得たり

「断捨離」というこの三個の漢字はなにか我が身を急き立てるような強い響きを持つ。今年の誕生日に「1日5分からの断捨離」という本をプレゼントしてもらい、読んでみようと試みるのだが、どうしても引き込まれない。総計500万部を売ったミリオンセラーの著者の優雅な新居の写真満載の手引きは心を打たないのである。

そんなとき、近くのクリニックの待合室の書棚にイチオシの新刊として飾ってあった五木寛之著「捨てない生きかた」のページをめくり、そのおだやかでいてしかも説得力に満ちた文章に吸い寄せられるように魅了され、あっという間に三分の一まで読んでしまった。

 

断捨離を始めようとはしたのだった。先日せめてアルバムから必要な写真だけを選んであとは捨てよう、と決心したのに、いざアルバムをめくりだしたら、一枚も捨てられなかった。少女時代のわたし、母の優しい表情、友人たちの笑顔、あの頃、愛情に守られていた戦後の穏やかな日々の記憶がまざまざとよみがえりだしたからだ。

 

五木氏は語る。「古い本…服や、靴、バッグすべてを手離したとしても生活には支障はなく、…生きていくことにも何の差支えもない…でも…箱三杯分ほどある思い出の写真、これを簡単に捨てることができるだろうか…モノに執着するのは生活の問題ではなく、心の問題、その執着はどこからくるのか、それは生きているからではないのか。私たちが生きている限り、執着は消えない、それが真実…」

そうなのだ、私はアルバムをめくりながら、生きていることを実感できた!

 

なおも続く、これこそという彼の言葉、「人生百年という時代…先に逝く友人知人が増え…孤独という問題が立ちはだかる…孤独を癒す、よすがとなるのがモノに囲まれて暮らすということではないのか…モノに囲まれているということは、じつは記憶と共に生きているということ…自分自身の記憶、自分が生きてきた時間というのは、間違いなくかけがえのない終生の友」大きくうなずきたくなった。

 

この本を書店で求めて、これはという箇所に鉛筆で傍線を引き、二重丸をつけ、著者と同い年の夫の感想を聞きたくて、手渡した。夫は正しく同感したくなることが見事に表現されていて、しかもここは、という箇所に鉛筆の二重丸がついていたことに感動したと言った。

 

近頃、聴力の衰えた彼との会話は言い争いで終わることも多いのだが、この本のおかげで、ひととき、同じ価値観を分かち合い、高齢夫婦のきずなが深められたのだった。

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コメント

今日NHKで五木寛之さんが出演されていました。60歳を過ぎてからの人生は登山にたとえると下山で、過去の思い出を大事にする生き方について述べておられました。彼の愛用した帽子を沢山持参されていました。その中の帽子について、インド旅行の時の思い出など語っていました。ちょっとした物が自分の思い出と繋がって発想が湧くことがあるとのことでした。確かに「そうだな~」と納得しました。

aiaiさま
こういう番組があることを知らないで、途中から観ました。90歳にしてはおぐしも多く、お元気ですね。
いつ拝見してもおだやかな方です。文体も淡々としていて、しかも説得力があり、読ませる力はさすがです。
終活はあわてず、できるときに、ゆっくり落ち着いてしよう、という気持ちにさせてくれる本でした。

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