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2021年11月12日 (金)

ショパンコンクール2021優勝者ブルース・リウピアノリサイタルに行く

オペラシティコンサートホール入り口で渡されたプログラムをまず、確かめる。一番聴きたいと思っていた、あのドン・ジョヴァンニの「お手をどうぞ」の変奏曲が最後に載っていたので、思わず、よし、と声を出してしまった。

二階の前から四番目の席、満席のホールを見渡しながら、こんな状況を目にするのは、三年ぶりだと感慨にふける。オペラグラスの鮮度をしっかり調節した。

強烈な拍手で迎えられた演奏者は長身でスマート、その座高が高すぎるくらいの身体の背を丸めるようにして、ピアノを弾きまくる。前半のプログラム、ノクターン七番、スケルツォ四番、バラード二番、華麗なる大ポロネーズ、ノクターンの最初の音が鳴ってメロディが奏でられ始めた時、何かが違う、という気がした。音だ。聴きなれた彼の冴えた硬質な音でなく、ちょっとくぐもったような音色、そうだ、ピアノが違うのではないか、と思い、あとで休憩のとき確かめたら、彼がずっと好んで弾いていた、ファツィオリでなく、ホール備え付きのスタインウエイなのだそうだ。

ファツィオリは一台を三年かけて手作りするという、今や、一番高級なピアノ、およそ1000万円ぐらいするらしい。優勝者が好んでファツィオリを弾いたあとのこの成果、これからますますピアノ選びに名を馳せるだろう。

好みのピアノではないのに、コンクールのときと同じ大曲ばかりを、弾くプレッシャーはどんなだろう、と想像したりだったが、前半の難曲も危なげなくこなし、大ポロネーズではあのときの、聴衆がゴオ~ッといううなり声をあげたのがよみがえるような曲へのノリを見せて満足した。

後半は四つのマズルカ、ピアノソナタ二番「葬送」、そしてモーツアルトのドン・ジョヴァンニの「お手ぞどうぞ」による変奏曲だったが、一層の落ち着きと、冷静さが加わって、わたしにとってはあまり好みでない「葬送」ソナタも美しくひびいた。ショパンの曲の短調から長調へ転調するフレーズは本当に魅力的だ。その音を待ち望む気持ちが高まる。

最終曲、ドン・ジョヴァンニ変奏曲は序奏がかなり長いので、主題のあのアリアが待ってました、という感じで、聴いているほうもくちずさみたくなる。六つもある変奏曲、ポロネーズもとりいれられている驚くべき変奏、シューマンが「脱帽だ、天才がいる」と絶賛したというこの曲、これまであまり聴かれなかった。それを選んだ彼はスゴイ。曲選びのセンスがスゴイ。

アンコール四曲、ノクターン、黒鍵のエチュード、なんと三曲目にバッハが入った。そして最後に私の一番好きなワルツ五番、一階聴衆は狂ったごとく、立ち上がって、舞台をとりかこみ、拍手をおくった。

ブルース・リウさん、よくこの日本に来てくださいました。そして、わたしの好きな曲ばかりを、聴かせてくださいました。いま、死んでも本望です、とフアンレターを出したいくらい、の感動であった。

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コメント

早速コンサート うらやましいかぎりです。
旅行準備で頭がいっぱいでショパンコンクール、 リアルタイムでは聴きませんでした。
ファイナル、ユーチューブで ブルース・リウさんと 反田さん、小林さんのを一部だけ聴きました。ブルース・リウさん、最初の数小節聴いただけで、もう勝負あった、とおもいました。 クリアで 華やかな音、聴衆の心をぐっとつかみますね。ファツオリのピアノの威力を感じました。私は まだ演奏会で ファツオリをきいたことがないのです。  
バッハ弾きで ファツオリを使用するピアニストにカナダのアンジェラ・ヒューイットがいます。いつも海外旅行の時期でいけなかったのですが、去年やっとチケットをとっていたのです。それがコロナで来日できなくなって、今年に日延べ、それもダメになって、、、。
リウさんよく来日できましたね。 満席、もうお客も1席おきでなくいれるのですね。
このまま コロナおさまってほしいものです。

 ただのミーハーで、知識も理解力も極めて貧弱ですが、あの美しい音と若いのに品格のある演奏者の佇まいに身を委ねるだけでも、とかく殺伐としがちな日常にとってはかけがえのない時間でした。いまさらながら、優れた演奏者は卓越した身体能力の持ち主だと気づいて、これはたいへんなことだと思っております。ギリギリまで迷って、思い切って行けて本当に幸せです。

kikukoさま
情報をいただいたこと、あらためて感謝しております。
またとない至福を味わいました。

まさか、年内にリサイタルが開かれるとは、しかも日本で、まったく信じられない出来事でした。弾きなれないピアノだったかもしれないのに、コンクールと同じ曲目、しかも大曲が五曲も、リサイタルとしても贅沢きわまりないプログラムですし、演奏者としても、身体能力、順応能力必須となる、試練、聴衆体験としても、稀有的状況でした。

ykさま
勝負あった、とは、まさに、適切きわまった表現をなさいましたね、私もそう感じました。
ヒューイットさんもファツィオリでしたか。知りませんでした。あの方もイタリアお好きで、何日もかけて演奏活動をなさっていたようですね。

イタリア人もスゴイことやりますね、一台に三年かけるとは、でも1000万得られたら、生活費が安くてすむイタリアですから、元は取れるのでしょう。そしてじわじわ、人気を得ているとは、さすがの国です、やはり。
以前、演奏旅行に好みのピアノを持ってくる、ミケランジェリというピアニストがいました。聴きにいったことがあるます。彼がそのとき弾いたベートーヴェンのソナタは今でも耳の中で鳴ることがあります。

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