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2021年8月13日 (金)

手紙の行方は?

郵便局の話である。小さな支局であるが、親切で気が利くいう評判のところだった。ベテランさん、と我が家では名付けていた女性の局長さんが退職され、郵政民営化となってから、どうも様子が変わってきた。

現在たったの三人しか局員はおらず、わたしはお金をおろしにいくぐらいの用事ばかりなので、そのとき見回すと、いつもガラガラ、ひまそうなのだ。

アメリカの友人から哀しい知らせが来た。相思相愛のご夫婦で評判だった奥さんからで、ご主人が亡くなったという知らせであった。去年のクリスマスカードには二人でリタイアーしたら入る家を建てていると、建築中の家の写真入りのカードをもらったのだが、ご主人は持病があって、お仕事中にその発作が起き、お医者さまの手当が間に合わなかったのだという。

彼女の手紙はめずらしく饒舌で、哀しみにあふれており、夜も眠れず、涙ばかり出てくる、という文章、my sweet husbandという言葉にさぞや、と思ってしまった。

でも慰めの手紙を書くのが大変、一大決心をして早起きし、頭の働きがもっとも冴えている早朝に、「英文手紙の書き方と文例集」という本を片手に、お悔やみの長い手紙を書いた。かつてエヴァンストンという中西部の街に住んでいたとき知り合った未亡人のレディーが詩をかくひとで、その文集がとってあったので、その中から、ベッドに入ってからご主人のことを想うという詩を見つけ出し、それをコピーして入れたので、かなり分厚い手紙となった。

郵便局に行って、お悔やみの手紙なので、そういう切手がほしいというと、ありません、というそっけない返事である。国内用でいいから、と言うと63円だから足りない、あと百六十円、ハンパな値段だけど、というので、多めでもいいからお花のを二枚と言ったら、ピンクのバラの小型の二枚を出してくれた。貼ってくださる?と頼むと、ご自分でどうぞ、と言われてしまったので、三枚並べたら、ちょっと窮屈な貼り方になってしまって、花の二枚が一ミリぐらい重なってしまった。

これ、ダメです。重なってはダメなので、はがします。と言われて、あとがなんだか封筒の紙がうすくなってみばがわるくなってしまった。それにおまけまでついた。この手紙、いつ届くがわかりませんよ、アメリカは書留も今はダメだから、どうなっちゃうかわからないんです。大層否定的なのである。

もうちょっと言い方があるんじゃないの?と思ったが、黙って帰った。せっかく心を込めて、一生懸命書いた手紙を受ける係がケンモホロロの待遇になってる、こういうご時世。日本の郵便局ってほんと、親切でやさしかったのに、こんなに変わってしまったいまのご時世、日々の暮らしに明るい話題がまったくなくなる、虚しさをかかえ、とぼとぼと家路をたどった。

 

 

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