再生、イタリア
現在82歳の自分の人生をふりかえってみて、一番幸せだったのは、65歳から一年に二度ずつイタリアを一人旅したあの十年間である。
実母と義母の介護を終え、シングルマザーの未亡人となった娘と孫二人のサポートが一段落したあの年、身体は健康そのもので、すでに、ニューヨーク経由でカナダの紅葉を観にいく一人旅を終えたばかりだったが、夫と一緒に行くはずだった、イタリアへのツアー旅行に、彼の体調が万全でなく、一人参加をしてくれと、言われ、出かけることになったのが、そのあとの人生の生きがいを見つけるきっかけとなった。
イタリアの自然の中には創造神が生きているかのように感じた。
鳥たちは鳴いているのではなく歌っていたし、空は毎日、異なった美をかもしだした。まるで雲が別れてそのあいだから、ミケランジェロが描く神があらわれても、不思議ではないかのように。
木々も花々も、地上に育っていることの喜びをあふれるばかりにあらわしており、枝を広げ、咲きほこっていた。
そして、神を讃える豊かな文化遺産がくりひろげられる、美術館や礼拝堂、毎日食する食べものは、単純だが、自然の理にかなった、本来のおいしさを極めたものが多く、そしてそれを作る人々の心も、報酬はしっかりと取得するけれど、情があふれていてやさしい。
どうしてそんなに、イタリアが好きなのか、とたずねる現地人に、わたしの前世はイタリア人だったのかもしれないという答えは、一番彼らを喜ばせた。
コロナ禍で未曾有の感染者と死者を生ずることになったイタリアの今を伝える最新のニュースメールが送られてきた。
この9月5日、コロナ感染者第一号を出したロンバルディア州コドーニョ市で、各地から市長130人が集まって追悼記念行事が始まったそうである。
コドーニョ市は目下感染者ゼロ、午前には、追悼ミサ、午後には全国市長チームと、イタリア保護局及びイタリア赤十字ボランティアチーム、そしてコドーニョチーム、3チーム間のサッカー試合が行われた。そのコドーニョチームにはコロナ感染者第一号であったマッティアさんも選手の一人として参加していたという。
彼は二か月入院していたが、全快し、同時感染していた奥さんも無事女の赤ちゃんを出産、この数か月、仕事上のクライアント、多くの友人たちが絶えずそばにいて励まし、再出発の力を得ることができた、ことを新聞に家族写真と共に投稿し、Viva Italia!(イタリア万歳)というメッセージを残したそうである。
人生の過酷な試練ののち、イタリア万歳と言える彼の強さ、彼を避けるどころか支えて励ましたコドーニュの人たちに心を打たれた、と筆者は述べている。
これが日本だったら、こういうことが起こるかどうか、いま感染して病と闘っている人たちを孤独にしてはならない、日本ではコロナに感染することがあまりにもマイナスに扱われているのではないだろうか、励まし、力づける方向を探れないものだろうか、と思わないではいられなかった。
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この記事を目で追いながら、ばぁば様の熱い60代をしのび、
私までがワクワクして読みました。
そうですよね~、毎回の旅の、一味違った異国情報に引き込まれていました。
自分の役割をきちんと果たした後、心から自由になれるって、ほんとに素晴らしい
ですよね。
生涯に、このような時間を持てた幸せ、充実した時間、広がった世界は何物にも
代えがたいですね。
私もばぁば様とイタリアはぴったり重なっています。能力も趣味も精神も
すべてがイタリアで一つにまとまっていますね。本当にお幸せですよね。
美しき人生に乾杯🥂です!
投稿: ちゃぐまま | 2020年9月13日 (日) 01時42分
ちゃぐままさま
長期間、訪問をお続けいただき、ありがたく思っています。
ちゃぐままさんのブログは、ますます充実させていらっしゃいますね。
先日のウナギのレシピには感動しました。そうなんです。市販のウナギをどうすれば美味しく食べられるか、これは消費者の一番知りたい大問題です。
この問題が解決できれば、今の時期、主婦の心はどれほど、平安を得られることか、と思います。
ともかく、この辺で安らぎを得たいと、最近つくづく思います。、
投稿: ばぁば | 2020年9月15日 (火) 13時36分