2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
フォト
無料ブログはココログ

« 2020年4月 | トップページ | 2020年6月 »

2020年5月に作成された記事

2020年5月26日 (火)

岸恵子さんの『私の履歴書』

およそ一か月まえ、緊急ステイホームの延長宣言にため息をつきながら新聞をひらいたとき、日経の『私の履歴書』の次の執筆者が岸恵子さんだと知って、歓声をあげそうになった。

 

これで五月は毎朝、新聞を読む楽しみがふえると、思ったからだ。

 

期待は裏切られなかった。真っ先に開く日経の文化欄、そこには小説よりも、映画やドラマの名作にも勝る、わたし自身が生きた時代に重なる見事なドキュメンタリーが繰り広げられている。

映画が何よりの娯楽だったときに、その楽しみにどっぷり浸っていたわたしなので、岸さんのデビュー当時から主演映画はほとんど観ている。それまで日本人形型の美人顔一辺倒だった映画界に、個性的で美しく知性も秘めた彼女の美貌はまぶしいくらい、映画界を圧倒していたのだ。

その魅力は海外の監督の目にもとまり、名作中の名作を生みだしていたデヴィッド・リーン監督からまでも、出演依頼を受けた彼女のニュースはマスコミを一段とにぎわすことになった。

二人の間に何かがあったというゴシップもささやかれた。

 

その真相がどうであったのか、『履歴書』にはリーン監督から見つめられてミルクをこぼしてしまったエピソードと、彼女の家で浴衣を着せられて、くつろいでいるように見える監督との記念写真が提示され、すでに英国留学を果たし、勉学中に撮影中止の報を知らされ、衝撃を受けたという、短い記述がある。

今回の履歴書が口述筆記であるのかどうかはわからないが、彼女の語り口はエピソードの選び方、詳述の描写、すべてがすぐれていて、その場の映像が浮かび、ぐいぐいとせまってくるものがある。

リーン監督がのちに『戦場にかける橋』を撮ることになったときも、彼女に出演を依頼し、それがかなわぬと知ったときに、その場面を削除したというエピソードも語られているから、それが特別な感情を秘めたものであったかどうかは、知る由もないが、わたしの好奇心は大いに満足した。

身長160センチ以上という当時にしてはかなりの長身だったのに、初めて知らされた彼女の悩み、靴のサイズが21だという事実に驚かされた。フランス人は華奢なひとも多いけれど、足のサイズは別らしい。わたしは22・5でもはける靴を探す苦労を味わっているのでどれほどか、と想像できる。

 

離婚後の彼女の文筆家としての人生が、あと五日で語られるのだろうか。

彼女の小説はデビュー当時のものから、『わりなき恋』まで二冊ほど読んだが、正直いってあまり好みではない。

巧みな文章を書こうとする気負いが強く感じられて、ちょっとへきえき気味だった。

87歳でいまだにダウンのヘアスタイル、あれほどの容姿の彼女なら、年齢相応、後ろにまとめる、むしろ地味目のヘアーにしたら、さぞ、美貌が映えるのに、と思うことがある。

岸恵子さんは彼女の人生そのものが、一人の女性として輝かしい。

少し踊っているように美しい自筆の『私の履歴書』の文字がそれを伝えている。

 

今回の『履歴書』はまだ語り足りないくらいのエピソードが秘められているのではないか、また続編を書いてほしい、とまで思うくらい、それに一層好奇心をそそられている自分を発見している。

 

 

2020年5月21日 (木)

『駅ピアノ』から

NHKBSの空港ピアノと駅ピアノを好んで観ている。

アマチュアでもミスタッチも少なく、よくこれだけ弾けると感心することが多いが、感動したのは、昨日の深夜放送、粒ぞろいのロンドン、セント・パンクラス駅のアップライト『駅ピアノ』。

 

通勤途中に必ず弾くというシステム・エンジニアの若い男性、七歳から弾いているだけあって、テクニックも見事、ボヘミアン・ラプソディなど、クイーンの二曲には多くの人が立ち止まり、スゴイ口笛と拍手。

いつかプロになりたいというピンクづくめの女性の弾き歌いは、最初の男性に比べると迫力は欠けるけれど、それなりに自分を主張していて、耳にやさしく、好ましい。

 

そしてラスト近く、ジャズ・シンガーだというフランス女性、いかにもパリの香り豊かな深紅のスカーフのあしらいもステキな彼女、かたわらにたたずむ白髪の男性に語りかけながら、『君住む町』を弾き歌いする。二人はここで知り合ったのだそうだ。

そして続いてその高齢の男性が『マイ・ウエイ』を弾きはじめる。

なんと一か月半まえに脳梗塞を患い、退院したばかりだというのに、あざやかな弾きぶり。

ピアノを弾く力は、病んだあとでも、健在しているということに勇気をもらった。

 

このところ、心の疲労も深くなったせいか、いつも身体がどんより重い。

そうだ、鍵盤楽器を取り出して、弾いてみよう。

今のこのとき、シューマンの『五月よ、五月…』を。

 

 

 

 

2020年5月15日 (金)

今こそ読むルース・レンデル

今から四十年ぐらい前、NHKで『ウエクスフォード警部シリーズ』という白黒の素晴らしく上質の刑事ドラマが放送されていたことがある。ゆったりとしていて、それでいて、当時の英国社会の細部にするどく切り込むスリリングな展開と、主役のウエクスフォード警部を演じるジョージ・ベイカーの風貌と、演技力にも魅了され、毎回楽しみに視聴していたのだが、意外に早くシリーズが終わってしまい、あまりにもがっかりしたので、NHKにぜひ、続けてほしいと、手紙を出したほどだった。Photo_20200515102601

 

その原作者が当時、英国のサスペンスの女王とまで言われたルース・レンデルだったということは、後になって知った。

 

当時わたしはアメリカのサスペンスの女王と称されたメアリー・ヒギンス・クラークに夢中だったからである。サスペンスとはゾクゾクからクライマックスの恐怖へ、とジワジワからゾクゾク、クライマックスの恐怖への二種があるとすれば、せっかちのわたしは前者を好み、クラーク女史のリズムは正しく、前者のわかりやすい、私の望みどおりのスピード感だった。

 

英国のサスペンスの女王と称されているのが、レンデルだと知って、読みかけたこともあったのだが、ジワジワが長くて、中途で挫折していたのだ。

 

カレンダー真っ白、食事の支度以外は全部自分の時間のいま、最良のステイホームの過ごし方は読書だ、と思い立ったとき、なぜか今こそ、レンデルだと、その名が浮かんだ。およそ一か月半まえ、図書館がクローズする最後の日に間に合ってわたしはハヤカワポケットミステリーのレンデル本四冊を借りることができた。

 

女流翻訳家の第一人者、深町真理子さんの解説によれば、レンデルの作品には大別して二つの流れがあるという。一つは作家としての感性を対象の隅々にまでゆきわたらせ、均整の取れた古典的な世界とつくりあげる、先に述べたジワジワの長いもの、と、感性を一点に凝縮させてその部分だけを拡大して見せる傾向のもの、レンデルはほぼ一年に一作の割合で、この二つを交互に書いているのだという。

 

図書館の四冊はどれも前者のジワジワものばかりで、そのうちの二冊、『悪意の傷跡』と『街への鍵』を完読した。前者にはウエクスフォード警部が登場するが、登場する人物の名が四ページにわたるという、大長編で、女性のDVを取り上げた、当時としては画期的な社会問題を深く掘り下げている。

後者は二十世紀最後のほうに執筆された晩年の作品で、これまたジワジワものではあるが、リージェントパーク周辺で起きる謎多きホームレスの殺人事件も入り混じった、美しいい女性の恋物語、こちらも地図を片手に読めば、リージェントパークの全容がレンデル女史の描写力ですべて把握できるほどの、長いジワジワがあって、完読するのに時間がかかった。

 

もう一つのレンデルもの、一点に凝縮させたものがぜひ読みたいとアマゾンから購入したのが『ローフィールド館の惨劇』。「ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を殺したのは読み書きができなかったためである」という衝撃の一節から始まるゾクゾクものである。

現在一気に半分まで読了、この種に最初出会えたなら、もっと早くにレンデルフアンになれたものを、とも思うが、今この年齢、この時期だかこその出会いを感謝したい気持ちにもなるのである。

ネット検索で知るレンデル女史は一代限りの称号「バロネス」を獲得、美しく知的で見事なスピーチをするひと、そのインタビュー記事がYouTubeに数編観られる幸せも、現代だからこそであろう。

Ruth-rendell 

2020年5月 8日 (金)

不安と疲労の一日

この一週間、夫の体調が悪かった。

耳鳴りがするようになって、鼻の左脇に痛みがあるという。それでも、食後の跡片付けを手伝ってくれたり、ちょっとした買い物をしてくれたりするので、深刻なものではないと思っていたが、コロナが心配だったのだろう、本人は診察を受けたがっており、連休なので、辛抱してもらって、ようやく昨日、予約がとれた。

行先は近所の耳鼻科ではなく、東急病院、駅に接続していて歩く距離が少なくてすむし、彼は前立腺の病いの治療に通っているので、ここが適当と判断したからだった。

わたしは付き添っていきたかったのだが、本人は一人で大丈夫と主張するので、留守番することにした。

やがて電話があって、聴力は弱ってきているが、どこも悪くない、という診断で薬ももらわなかったという。結論はストレスのせいだろう、とのこと。医師の好き嫌いが多い彼なので、あまり相性がいいとはいえないひとだったらしいが、ずいぶん丁寧にあちこち診てくれての結論だったから、納得したらしい。

まずはよかった。

 

一方、わたしは大変だった。プリンターのインクが切れてしまったので、新しいカートリッジをはめなおしたのだが、いつまでたっても充填終了のサインのランプ消灯がない。

テクニカルサポートにTEL,通じるのに十五分くらいかかり、通じてからが大変、カートリッジをはめなおし、それでもダメなので、元のものと入れなおして、果たして機械が機能しているのかをチェックし、また外して、入れ替えというのをする。何度もゴミ箱印のボタンを押すのだが、片手は受話器をもっているので、押し方が悪かったりして、時間もかかり、結局は修理依頼ということになったのだが、製造番号を知るためにプリンターを移動して裏側の下部から読み取りメモするという、狭い場所でのとても集中して神経を使う作業を続けた。

そのせいで昨日マッサージに出かけてせっかくとれていた肩の凝りがまたぶりかえし、目がまわるほど疲れてベッドに倒れ込む。いかにメカに弱い自分であるかを認識させられる。

 

きょうはソラマメとエビのかき揚げ丼を作る予定だったのだが、腰があがらない状況となり、夜はうな重の出前を頼む始末となった。

2020年5月 5日 (火)

マスクづくり始める

シンシアの圧倒的なマスクづくりを絶賛したら、五枚もの手作りを送ってくれたので、取り換え引き換え愛用している。

悟ったのは、布マスクの心地よさだ。

 

緊急事態の延長でマスクはますます必需品、せめてものしゃれ心をこれに注ぐとするか、と決意して、ミシンを出し、マスク制作にとりかかった。

 

ネイビー系の外出着が多いので、薄いブルーの生地を裁断。オチャノコサイサイ、と思っていたが、どうしてどうして、手ごわい。マスク用のゴムひもを買い忘れたので、使用済みのマスクのものを切り取って使えばいいと、たかをくくっていたのだが、ひもがヤワだし長さが足りないので、最後に縫い代始末して中に通すというわけにいかず、上からミシン縫いしたら、これが大変、きれいな仕上げというわけにはいかない代物となった。

 

マスク用ゴム紐求めて自由が丘に行く。

幸い、自由が丘デパート中の『ピコ』にマスク用ゴム紐330円があって、やれうれしやとなった。

 

そして仕上げた二作目はまあまあのしあがり。Img_2608

 

ダブルガーゼの柄物がもっとほしいのだが、二子玉川のオカダヤはライズ内のほかの店同様営業していないらしい。

当分はありあわせで、やってみようと思う。あと薄いピンクの三重ガーゼがあるので、それも作るつもり。

 

ミシンは当分出しっぱなし。

久しぶりに洋裁も楽しや、の気分になった。

2020年5月 4日 (月)

街も変わる

近所の大きなスーパーが閉店して、不便になっていたが、なんと残存していたイーオン系の小スーパー『まいばすけっと』がそのあとに入ることになったという。つまりはスペースは倍以上だから、中身も充実するのではないかといろいろ質問してみるのだが、期待するような応えはかえってこない。

だが、このあたりも、今のこの時期のニーズに敏感になってきたような気がする。

生花店は珍しい種類の高価な花や、スワッグやリースなどが目立つ店だったが、ハーブ類をおくようになって、それがいい売れ行きらしい。わたしもバジルとオレガノを早速購入した。

 

二十人ぐらいの行列が必ずできる店が二軒ある。

週に三回ぐらいしか開けない、シナモンロールの店と、全粒粉の食パンが人気のベーカリーである。

 

野菜の苗や、ガーデニング用品を扱っている老舗がカフェを開いた。奥さんの手製のケーキが売りなのだが、宣伝がイマイチのせいか、客の入りが悪いので、椅子などは片づけてしまったが、ケーキの種類は増えて、味もよくなってきたし、一個150円なので、わたしは大いに応援して、シナモンやクローブ、ナツメッグもいれてみたら?など、お節介のアドヴァイスをしている。

 

便利屋のベンリーがなくなったあとに、セルフランドリーが開店した。ランドリーの古い店が近くにあるから、どうなのかしら、と思っていたけれど、それが大人気、毛布や布団があらえる機械をそなえているから、休日は家族連れで車を連ねたファミリーでにぎわっている。

毎日足りないものをおぎなうことが気軽にできる足の歩みを感謝しながら、こういう時期だからこそ、生活に、なにが必要なのかということを売り手も買い手も学んでいく、つまりは、生きることをを充実させつつある、ということなのかな、と納得するのである。

 

« 2020年4月 | トップページ | 2020年6月 »