おしゃれ短縮
若い友人の情報で、池上線の多くの駅そばにある格安美容院が便利と聞いた。ヘアマニュキアだけ、とか、カットだけとか、時間もかからず、清潔だし、空いているので、この時期向きだという。
雪谷駅そば、オオゼキ裏にそれを見つけ、月曜に出かけた。客はわたしひとり、ヘアマニュキアとカット、3580円、窓が開けてあり、換気も十分、雑誌の棚は☓印がついていて、棚も床もチリひとつなく、清潔。ベテランらしい男性にしてもらったが、手早で、必要最小限のサービス、マニュキア浸透の三十分、長く感じたけれど、退屈ではない。次の客、八十八歳の女性、カットをしてもらいながら、今の時期、子供たちのところに訪問することもなくなったという声が聞こえてくる。手早く仕上げられて、しっかりした足どりで去っていくのを見て、元気をもらった気がした。
ようやくシャンプー、仕上げは特にセットしません、ドライヤーでかわかすだけと言いながらも、いい形におさめてくれる。カットがよくできたせいだろう。
見違えるようです、などと言われるほど、自分でも半白髪のぼうぼうヘアー、マスク姿は冴えないルックスだったのを自覚していたから、うれしく、気持ちが高揚してきた。
この際、いっそ白髪にしてしまおうかと思ったりもしていた。でも自分は白という色が似合わないのを知っている。白髪にしてしまうとこれまでそろえた衣類が釣り合わなくなってしまう恐れもある。迷っていた二か月だったのだ。
これまでかわるがわる出かけていた美容院二軒、あるじはかなり自信過剰で、こちらが頼んでも、彼のいいと思っているセットに仕上げてしまって、帰宅してからまたやり直すということを繰り返していた。値段も高い、ヘアマニュキアだけでも、一軒のほうは11000円、もう一軒は7000円だった。丁寧すぎるくらいのシャンプー二度、カットが入ると三度にもなるし、時間も二時間以上、飲みもの、マッサージのサービスが入るが、今のこの時期は肝心なものだけでいい、短縮が何より。
夜、二歳年上のリッチな知り合いにご無沙汰のおわびの電話をした。お嫁さんに車を出してもらって、二子の美容院に行ったという話を聞いた。個室のところだから心配ないのよ、と言っていたけど、それって、密が二つくらいになるのではないか、と思ったのは、そういうところへ行く贅沢を好まない、わたしのひがみ根性なのかもしれない。
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