映画『新聞記者』を観に、二子へ
今週になって、大画面の映画をどうしても観にいきたくなったので、観るべき映画に慧眼を持つ友、K子さんに電話した。『新聞記者』おすすめです、即答が返った。
実は、この映画、偶然テレビの日本アカデミー賞実況番組で知ったのだ。どう想像しても地味なこの題名、しかもキラ星のごとく並んでいたスター候補者たちをものともせず、主演女優賞と男優賞を獲得した二人の共演者にも関心をもっていたので、よし、とばかりに二子玉川の11時半にかけつけた。
シネコンは空いており、観客は一割程度、席は一人置き、前の席は空席なので、見やすく、最初に館内が消毒済みだというこという表示も出たので安心する。
東京新聞記者望月衣塑子著『新聞記者』の実話をもとにした、国家と家族愛と自らの正義とのあいだで揺れ動く人々のドラマである。
韓国の国民的人気を誇る若手トップ女優という、シム・ウンギョンをわたしは知らなかった。それだけに、「父は日本人、母は韓国人、育ちはアメリカ」という多元的アイデンティティとプログラムに紹介されているキャラクターを清新な美しさで圧倒的な表現力をみせる一場面、一場面に目が釘付けになる。外務省から内閣情報調査室に出向している若きエリートを演じる松坂桃李も心にかかえる葛藤を細やかに演じている。
それぞれの顔の大写しがとても多い映画だ。言葉にならない心の奥が表情に、にじみ出ている。それは長ぜりふでしゃべるより、ずっと効果的で雄弁である。これは正しく映画館で見るべき映画だ、これほど大写しが語りかけてくる映画はほかに知らない。
プログラムに紹介されている「私たちが生きる社会に直結するテーマと、サスペンス劇としてのスピード感・娯楽性が高度に融合されている渾身の一作」という紹介文がまさしく言い当てている、この作品の監督、藤井道人を注目したい。
いい映画を観たあとのすがすがしい満足感をかかえて、ライズのビル六階、オカダヤに行った。手作りマスクの生地を買うためである。新しい生地がついたばかりとかで、十種類以上の模様の生地が並んでいる。マスクの型紙は無料、生地は一メーター1300円以上もする。ガーゼがこれほど売れるとは繊維業界も想像していなかったのではないだろうか。薄水色の無地とチェックのと、二種を50センチずつ購入。
十人ぐらいの列ができていた
気軽な買い物にも出られない欧米に比べれば、まだ日本は恵まれている、それを感謝しながら、堅実に一日、一日を過ごしていこうと思った。
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