『スカーレット』終わる
毎朝観ていた。録画しておいて、朝食、リンゴと人参、キャベツをジューサーにかけ、レモンを絞り入れたジュースと、有機のシリアルにヨーグルトとミルクをかけたものをもって、テレビの前にすわる。食べながら観る十五分、一日の始まりをさわやかに感じさせてくれる満足の時間だった。
ヒロイン役戸田恵梨香の演技は自然で、陶芸にかける情熱がほとばしり、この実生活に即した芸術の魅力を納得させてくれた。このドラマのモデルである神山清子さんの作品が物言わぬ偉大な役割を果たしているのも見応えがあった。
最終回の、「ぎゅう、したる…」は息子を持つすべての母親がもっていて、なかなかかなわぬ気持ちである。ましてやまもなく死を迎える息子に対して、これほど言いえて妙のせりふはなかった。
我が家の息子は寡黙で共に食するテーブルでの会話はほとんどない。でも今この災厄が迫る時期、大きな買い物や、ゴミ出しなど、引き受けてくれる優しさを感謝したい。
三月は彼の誕生月、カレンダーの誕生日に二重丸しておいたのに、忘れてしまった。わたしはここ数年、誕生日には必ず彼に手紙を書くことにしている。わたしの背をはるかに越し、体重もある息子に「ぎゅう」は死ぬまでありえないことだと思うが、私が歩けなくなったときには背負うことは難なくしてくれるかもしれない。
『スカーレット』後半の出演者、稲垣吾郎の医師役がハマっていて魅力的、スマップの中では好感度トップだったので、楽しい発見だった。
前半の注目人物は大久保さん、生きることの基本と言いきった家庭料理習得の場面が忘れがたい。
四月からのドラマ予告にがっかり、演技に定評ある二人であるのは認めるが、毎朝さわやかにしてくれる容姿の二人とは言いかねる。今回はパス、になりそう。
今この世界的危機のとき、個性重視より、もっと目に優しいこころの和むタイプの主演俳優を選んでほしかったのに、NHKへの不満がまた一つ増えた。
か
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