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2020年3月に作成された記事

2020年3月29日 (日)

『スカーレット』終わる

 

毎朝観ていた。録画しておいて、朝食、リンゴと人参、キャベツをジューサーにかけ、レモンを絞り入れたジュースと、有機のシリアルにヨーグルトとミルクをかけたものをもって、テレビの前にすわる。食べながら観る十五分、一日の始まりをさわやかに感じさせてくれる満足の時間だった。

ヒロイン役戸田恵梨香の演技は自然で、陶芸にかける情熱がほとばしり、この実生活に即した芸術の魅力を納得させてくれた。このドラマのモデルである神山清子さんの作品が物言わぬ偉大な役割を果たしているのも見応えがあった。

最終回の、「ぎゅう、したる…」は息子を持つすべての母親がもっていて、なかなかかなわぬ気持ちである。ましてやまもなく死を迎える息子に対して、これほど言いえて妙のせりふはなかった。

 

我が家の息子は寡黙で共に食するテーブルでの会話はほとんどない。でも今この災厄が迫る時期、大きな買い物や、ゴミ出しなど、引き受けてくれる優しさを感謝したい。

三月は彼の誕生月、カレンダーの誕生日に二重丸しておいたのに、忘れてしまった。わたしはここ数年、誕生日には必ず彼に手紙を書くことにしている。わたしの背をはるかに越し、体重もある息子に「ぎゅう」は死ぬまでありえないことだと思うが、私が歩けなくなったときには背負うことは難なくしてくれるかもしれない。

 

『スカーレット』後半の出演者、稲垣吾郎の医師役がハマっていて魅力的、スマップの中では好感度トップだったので、楽しい発見だった。

 

前半の注目人物は大久保さん、生きることの基本と言いきった家庭料理習得の場面が忘れがたい。

 

四月からのドラマ予告にがっかり、演技に定評ある二人であるのは認めるが、毎朝さわやかにしてくれる容姿の二人とは言いかねる。今回はパス、になりそう。

 

今この世界的危機のとき、個性重視より、もっと目に優しいこころの和むタイプの主演俳優を選んでほしかったのに、NHKへの不満がまた一つ増えた。

 

 

 

 

2020年3月25日 (水)

今年の桜

  しだれ桜の開花は一般の桜より、幾分早めのようで、うっかりしていると見逃してしまう。

今年は在宅が多かったせいで、しっかりと確認することができた。

下の写真は、我が家の近くの密蔵院門前に立ち並ぶしだれである。徒歩7,8分のところなのに、普段は立ち寄ることもない。この反対方向にある六郷用水ぎわの桜も若木だったのがすっかり成長して、元気のよい花を咲かせるようになった。

我が家のお向かいの家に花を咲かせていた樹はすっかり老木になり、切り取られて、しまった。徒歩十分のところにある多摩川台公園の桜も老木になってしまって、花に勢いがない。

その変遷を見続けていた私も、老女になっているのをつくづくと感じる。

Simg_2591 Simg_2586  Simg_2587 Simg_2593 

 

 

2020年3月21日 (土)

映画『新聞記者』を観に、二子へ

今週になって、大画面の映画をどうしても観にいきたくなったので、観るべき映画に慧眼を持つ友、K子さんに電話した。『新聞記者』おすすめです、即答が返った。

実は、この映画、偶然テレビの日本アカデミー賞実況番組で知ったのだ。どう想像しても地味なこの題名、しかもキラ星のごとく並んでいたスター候補者たちをものともせず、主演女優賞と男優賞を獲得した二人の共演者にも関心をもっていたので、よし、とばかりに二子玉川の11時半にかけつけた。

シネコンは空いており、観客は一割程度、席は一人置き、前の席は空席なので、見やすく、最初に館内が消毒済みだというこという表示も出たので安心する。

 

東京新聞記者望月衣塑子著『新聞記者』の実話をもとにした、国家と家族愛と自らの正義とのあいだで揺れ動く人々のドラマである。Photo_20200321143101

韓国の国民的人気を誇る若手トップ女優という、シム・ウンギョンをわたしは知らなかった。それだけに、「父は日本人、母は韓国人、育ちはアメリカ」という多元的アイデンティティとプログラムに紹介されているキャラクターを清新な美しさで圧倒的な表現力をみせる一場面、一場面に目が釘付けになる。外務省から内閣情報調査室に出向している若きエリートを演じる松坂桃李も心にかかえる葛藤を細やかに演じている。

それぞれの顔の大写しがとても多い映画だ。言葉にならない心の奥が表情に、にじみ出ている。それは長ぜりふでしゃべるより、ずっと効果的で雄弁である。これは正しく映画館で見るべき映画だ、これほど大写しが語りかけてくる映画はほかに知らない。

プログラムに紹介されている「私たちが生きる社会に直結するテーマと、サスペンス劇としてのスピード感・娯楽性が高度に融合されている渾身の一作」という紹介文がまさしく言い当てている、この作品の監督、藤井道人を注目したい。

 

いい映画を観たあとのすがすがしい満足感をかかえて、ライズのビル六階、オカダヤに行った。手作りマスクの生地を買うためである。新しい生地がついたばかりとかで、十種類以上の模様の生地が並んでいる。マスクの型紙は無料、生地は一メーター1300円以上もする。ガーゼがこれほど売れるとは繊維業界も想像していなかったのではないだろうか。薄水色の無地とチェックのと、二種を50センチずつ購入。

十人ぐらいの列ができていた

気軽な買い物にも出られない欧米に比べれば、まだ日本は恵まれている、それを感謝しながら、堅実に一日、一日を過ごしていこうと思った。

 

 

2020年3月18日 (水)

近況報告

イタリア旅行情報サイトのメルマガがようやく届いた。当分更新の見込みなしという但し書きつきのメールであった。

3月8日のイタリア全国封鎖宣言から、厳しい外出制限が敢行されているイタリア、自宅近くに外出する際も自己申告書を携行しなければない。仕事、食品の買い出し、健康上の理由のいずれかでなければならないが、犬の散歩は許されているという。食料品店、スーパー,薬局、キオスク、タバコ店は営業しているが、青空市場、あのなつかしいメルカートは中止されているという。多くの食品をここで買い出しする人が多かったのに、市民はどれほどの寂寥をかかえているだろうか。

3月15日当時の感染者数24747、死者数1809人、その多くは悲しいことに、医療関係者であったという。過酷な条件の中、日夜を忘れ治療に専念していた人たちに感謝する垂れ幕や壁画などがミラノの街にあふれているというが、それから三日を経たきょうの感染者数、すでに3000人を上回っている、その数が恐怖を物語っている。目下ミラノ見本市会議場を600床を有する架設病院にする工事が猛スピードで進行中というが、イタリアの人たちがどうか、この危機をのりこえてくれるように、と祈るばかりだ。

 

東京ももちろん自宅待機のひとは多いけれど、近くの街には結構、マスクもしないひとたちがそぞろ歩きをしている。

一か月に一度会って話をしたり、食事をしたり、散歩を楽しむ近距離在住の友人二人と自由が丘で食事をしたあと、天気がよかったので、九品仏の浄真寺まで足をのばした。

娘がこの散歩をすでにしていて、近くにこれほど素晴らしいところがあるとは知らなかったと、感動を伝えていたからである。

線路際のスペイン料理でランチをしたあと、バスが通っていて、ピーコックがある自由通りに出てから環八方面を目指して歩き右側にある九品仏方面の遊歩道を進んだ。瀟洒な中小住宅が並んでいたり、しゃれた店がちらほら混じっていて、目の和む散歩道、十分ぐらいで十字路にぶつかり左へ、浄真寺の標識が出ていて、東門に到達、門をくぐって驚愕した。京都の寺社仏閣に匹敵、いやそれ以上かもしれないと思うぐらいの空間が広がっている。緑が美しい。まもなく仁王門をくぐる。仁王さまの表情が迫力である。桜の大木もあるから、ほどなく花見も楽しめるだろう。仏像も美しい。下品堂、中品堂、上品堂にはセルフサービスのおみくじが用意されていて、わたしたちはそれぞれ求めた。わたしは小吉、アメリカ人の友人は大吉に狂喜していた。Photo_20200319095901 

わたしが数十年前から記憶していた浄真寺は九品仏駅近くの総門だけで、我ながらあきれるのだが、中に入ったことはなかったのだ。帰りはその総門に出て、駅までたどった。

コロナの喧騒のなか、思いがけぬ癒しを得たひとときであった。

2020年3月13日 (金)

手抜きしながら

コロナ騒ぎで在宅が多いので、ほとんと毎日夕食をつくっている。

腕の痛みは薄くなってはきているが、動きによっては、まだ痛むので、料理の手抜きを工夫している。

肉じゃがなど、ジャガイモの生から調理しないで、ゆでて真空パックになっているのを使ってみたら、まったく違和感のない出来上がりになった。要はジャガイモが主役のもの、でなく、かなり濃い調味のものなら、落としぶたして、しっかり味さえつけてしまえば、ゆでじゃがで十分なのである。

きのうは久しぶりに、春巻きをつくった。本当は豚肉を千切りして中身をつくるのだが、代わりにひき肉にして、ニラとしめじともやしを入れ、酒,しょうゆ、塩少々で軽くあじつけしていため、カタクリふりかけたものを皮でつつむ。チャーハンは夫が出かけるというので、有名店のものを買ってきてもらうことにした。

チャーハンに青ネギなど、足りぬものをちょっとたしていためなおし、春巻きを、あたらしい油で揚げたら、夫がおいしいなあ~と、大きな声で感想を述べた。

                    

テレビは毎日観るけれど、日本の番組はどれも、マンネリ、ニュース番組ばかりを観たりしている。CNNにイタリアのボローニャの街が出てきた。マジョーレ広場は閑散としていたが、その裏側にあるマーケットの青果店は色とりどりの野菜がいっぱいで、元気そうなオバサンが政府はもっと大きな決断をすべき、などと言っていたし、精肉店も生々しい肉がぎっしり並んでいたので、ちょっと安心した。あの場所で、二十年まえ、語学校の授業を受けるまえに、パニーニのパンを一個買い、そこに切りたての生ハムをはさんでもらって、あの場所の青果店でルッコラを入れてもらい、ブラッドオレンジを買ってランチにしたのだった。

日本では各国の料理を色々食べるから主婦の献立はややこしく、面倒だが、イタリアはともかくパスタとズッパ(スープ)とリゾット、など、肉もフライか焼くか、ともかくイタリア料理だけつくっているのだから、こういう非常時でも、インスタント食品には頼らず、元気でいられるのではないだろうか、と、楽観したかったが、ミラノのスーパーに長い行列ができていて、行列ができると、必ずおしゃべりをし始めるイタリア人なのに、笑顔もない人たちが、前の人と間隔をあけた姿で立っているのを見て、衝撃を受けた。

 

2020年3月 7日 (土)

まだ咲いてる

ミモザが開花してから三週間になろうとしているが、花はまだ見事に咲き誇っている。Img_2583

植物が元気なのに反比例するみたいに、人間は不安の中にいて、やる気を失ってしまう。

ミモザの花のリースを作ってみようかと材料は仕入れたのだが、手を付ける気がしない。

 

山形はまだ感染者がゼロなのだそうだが、コンサートは中止になったとか、で、孫娘が予期せぬ休暇を過ごしに一週間上京している。いつもならばぁばのうちでご飯を食べたいと言ってくるのに、今回は若いひとたちについているかもしれない菌をうつすと大変だからと、ママがそれをやめさせているので、会えない。じゃあ、外食をいっしょにしない?とさそってみたのだけれど、友人たちと会う約束がいっぱいで、帰る日まで無理というのを、それでもなんとかしたいと、じゃあ、帰る日の当日、自由が丘でモーニングしない?ということが決まった。山形新聞に女性のトロンボーン奏者ということでインタビュー記事が載ったというのも知らされていたので、その新聞も渡されることになっている。

その朝は少し早めに起床して、彼女が新幹線の中で食べられるようにお弁当をつくった。来年、こんな元気が残っているとは限らない。わたしのつくる最後のお弁当になるかもしれない、などと思った。Img_2585 

 

このところ本当に未来がわからない。こんな日が来るとは思わなかった。でもあの子供時代に過ごした、毎日空襲のサイレンにおびえながら、白いご飯もままならない粗食の日に比べれば、食べたいものが食べられるだけでもましではある。

 

ミラノの友人とメールを交わした。無事でいるらしいが、65歳以上は外出を避けなければならない、という。友人たちと会えないことがつらいと書いてあった。現実の状況は政府の発表よりずっと深刻で、想像しえないほどの危機感をかかえているとも書いてあった。

 

具体的なことが書かれていないのでより深刻さがつたわってくる。私の知っている、あの陽気で生きていることが幸せだと感じさせてくれるイタリアは、なくなってしまっている。

 

日本もそれに近い状況だけれど、一日一日を無事に過ごせれば、感謝と思って過ごそうと思う。

 

2020年3月 1日 (日)

パンデミックが近づきませんように

今日行くはずだった、日本初演オペラ『シッラ』が中止になって、3月10日以降に払い戻しされることになった。

2月末日で、「おてんと」という近所のスーパーが閉店した。

新鮮な野菜や果物が安価で、店員の人たちも親切、お惣菜なども、夫の気に入るものが多く、頼りにしていたので、ショックである。

家にこもることが多くなって、ついついテレビをつけては、コロナウイルス関連の番組に見入ることになり、落ち込むというのを繰り返している。

夫が読むのを勧めたあのパニック小説『首都感染』、パンデミックはいくらなんでもフィクションの世界だけのこと、と思い込んでいたのに、今やそこに近づきつつある。

恐ろしい。

                      

それにしても驚愕した。イタリアの感染がすさまじいのである。

数日まえまで400を超したというのに驚いていたのにもう1000人以上とは、しかもミラノが州都であるロンバルディアがもっともひどいのだそうだ。

ジャパンイタリア・トラベルオンラインの情報によれば、発祥地はコドーニョ市で、多国籍企業に勤める三十代の男性が中国から帰国した友人と食事したことが発端、彼はスポーツマンで、サッカーやマラソンなどの競技にも参加、友人も多く、数回外食、教師をしている奥さんは妊娠していて仕事は休職中だったが、彼女やその両親も感染、検診に行ったクリニックの医師も含めて感染は広がったという。何しろ挨拶がハグしあって頬も触れ合うという濃厚接触だから、感染は深まるばかりなのだろう。

ヴェネト州の小さな町ヴォーの76歳男性は年金生活者で中国とは関係ないのに、感染し死亡。町のバールに毎日行くのがなにより楽しみだったというから、そこが温床となっての広がりが早いのは想像がつく。

ミラノは厳戒態勢、スカラ座公演中止、美術館、図書館、映画館休館、アルマーニのファッションショーは観客なしで映像発信となり、見本市も中止、『ミラノ・サローネ』は六月に延期、ともかく人と人との交流、接触をできるだけ避けるようにという、お達しが出ているということだから、友人の友人まで友人扱いするイタリア人にとって、どれほどの苦痛、さみしさかと想像がつく。

 

 

 

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