22日の珠玉のピアノトリオ・コンサート
22日の土曜日、久しぶりに銀座に出かけた。この時期、遠出は避けたかったが、ヤマハホールでの『珠玉のピアノトリオ・コンサート』のチケットを買ってあったからである。
午後二時からのコンサートのまえに、買い物をすます。
まず、教文館に直行、教会で必要とする祈りに関する本と、内村鑑三の『出エジプト記』を購入。時間がたっぷりあったので、あれこれ見比べながら、一番ふさわしい本が買えて満足した。
昼食はあまり空腹ではなかったので、木村屋で好きなパンを選び、二階の喫茶部で、ミニサラダとコーヒーを注文、銀座通りを見下ろす窓際の席をとる。思わず、隣の席にいる女性に、空いてますね、と声をかけると、昔の銀座に戻ったみたい、という応答があった。
そのあと、銀座シックスで、夕食にする峠の釜めしと、夫へのみやげに彼の好物のアップルパイを買って、ヤマハホールへ。
通り過ぎたブランド店は全く客なし、ヤマハホールでは、まずCDの売り場で、買うべき曲のメモを取り出し、チャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」とグラナドスの「詩的なワルツ集」を探してもらう。
ホールはマスクをしたひとがほとんどだったが、さすが超人気のコンサート、ほぼ満席だった。徳永二男、堤剛、練木繁夫、日本を代表する達人の三人、とりわけ練木さんはデビュー当時から、その音の美しさに惹かれて、この数十年間、ずっと注目してきたひと。
期待通り、ハイドンの「ジプシートリオ」の三重奏曲、ピアノ出だしの軽やかな音がとりわけ美しく響く。あとでUtubeのほかの演奏と聞きくらべたら、ほかはこれほどピアノが目立たない。ピアノ三重奏曲とあって、ほかのお二人の配慮があったのではないかと思うほどの効果であった。あとベートーベンの「幽霊」と最後はブラームスの第一番、三重奏曲といっても、それぞれの楽器がメロディーを奏でるところがある。どれかの楽器だけが目立つというのではなく、その楽器をひきたてるほかの二者がごく自然に伴奏の役をしながら、しかもそのテクニックがこの人でなかれば出せないという音色を奏でる、統一感が際立つ、まさに稀なる名演であった。あまりの美しさに、現世の混迷と不安を忘れさせてくれる癒しをいただいた、という満足感に包まれた。
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