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2019年11月15日 (金)

『リルケの庭』購入

今年のCWAJの版画展で、岩切裕子さんの木版画『リルケの庭』を買った。Photo_20191115225901

版画購入は、十数年ぶりである。三十坪の隠居所めいた小さい家の壁はほとんど好みの版画で埋まっていて、わずかに自室のベッドの真向かいの壁面が空いているだけだ。そこにこの作品をかけて、毎日眺めていたい、そう強く思った。

岩切さんの作品が初めて版画展に登場したときから、目が離せなくなった。色使いは地味だが、実によく選ばれたセンスのよい独特の配色である。風景画がほとんどだが、その中に物語がある。それがわたしには強く訴えかけてくるのである。しかも日本の誇るべき伝統技術、木版であるところにも強く惹かれるものがあった。

もう一つ、注目したのは彼女の苗字、岩切というかなりめずらしいその名は、かつてのわたしの親友の姓名でもあった。

そのひと、岩切千種さんは、中学からの親友だったが、今から、五十年ほどまえ、早世してしまった。岩切というのは嫁ぎ先の名であるが、裕子さんはお嬢さんではないことは、名前からわかったのだが、もしや、縁続きの方ではないか、ということをわたしは知りたく思っている。

千種さんとはどれだけ思春期の友情を交わしただろうか。おそろいの服を着て、『風と共に去りぬ』を観に行き、レッド・バトラーよりアシュレが好きというのも共通していたのだが、映画館を出てからも感激のあまり、しばし茫然としながら、無言のまま駅まで歩いたことが未だに忘れられない。

 

この作品のリルケの詩を、千種さんは愛していた。そのことも偶然とは思われない不思議さである。

 

何とも言えない、渋いグリーンの色の濃淡が美しい。じっと見ていていたい色である。

 

多くの親しい友人との別れがあったが、女の子の多感な成長時代に、こころから打ち解けて、それぞれのよいところを認め合い、自分の悩みなども打ち明けて、励ましてもらった友情を、『リルケの庭』は思い出させてくれるのである。

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

懐かしい記憶、素敵な思い出にふわさしい版画ですね。
みていて心が緩やかになります。
この版画の世界のように…佳き日々がつづいていきますように。

花さま
この作品の良さがわかってくださって嬉しいです。

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