必見『ソーイングビー』
楽器のコンクールを密着取材する番組が人気を博しているが、これは英国BBCが2013年からシリーズで始めたという生活に即していて、しかもクリエーティブで夢のあるアマチュア洋裁師のバトル番組、真剣だが、会話もとびかう 楽しいドキュメンタリー、見始めてすぐとりこになった。さすがNHK,いいものを探してくれたと思う。
アマチュア洋裁マニアのバトル、チャンピオンが決まるまで、およそ12項目の試練を潜り抜けなければならない。
これは2019年のシーズン5とあるが、挑戦者は二十代から八十代まで男女8人、やはり女性のほうが多く六人、ほとんどが主婦、男性は洋裁には関係のない仕事をしていて、大型トラックの整備士というひともいる。
第一次予選がAラインのスカート、ネックラインのリメイク、ワンピースで、一名脱落
二次予選はスラックス、既製服のスカートにポケットをつける技、そしてブラウス、二名脱落
準決勝、子供服のサマードレス、シンプルなワンピースのリメイク、ジャケット、一名脱落
決勝、シャツ、バッグを手芸で飾る技、イブニングドレス
現在三人が勝ち残っているが、だれがチャンピオンになるかはこの21日木曜日、21時、NHKEテレでオンエアー、すでにシャツとバッグのバトルは放送済みだが、三人の中で一番年長、81歳のアンが一歩抜きんでていて、わたしは同世代の彼女を応援している。
木曜には最後のイブニングドレスが優勝の行方を決めるのだろう。見逃せない。
このソーイングビーの語源はおよそ八十年前の戦時下で、現エリザベス女王の母君、皇太后陛下が洋裁のできる家庭の主婦を宮殿に集めて、兵士のために手製の衣類を縫い、戦地に送るというイベントを試みたことから発しているのだそうだ。
以後、ソーイングのサークルやグループは「ビー」という名前で呼ばれるようになったとか。
空襲や爆弾を浴びた英国、戦地の兵士を思う女性たちの気持ち、日本人の私たち世代の女性は素直に感情移入できる。
課題を発表とともに、型紙と作り方が印刷されているパターンを渡され、コンテスタントたちは生地やボタン、テープなどを自分で選ぶのだが、この選択にはこれまでの経験と思慮深さ、センスといったものが素地となるので、仕上がりの出来に影響を及ぼす。
最年長のアンは常に沈着、冷静、技量も安定している。サヴィル・ロウのデザイナーという審査員の一人の男性は、若くて美しい二十代のローレンがごひいきのようなのだが、その彼女は五歳から縫いものをしていたという、経験だけは立派なもので、しかも思い切った決断を実行してみせる勇気もあるから、この最後のイブニングドレスがどのような対決の映像を見せてくれるのか、胸がどきどきするほど期待が高まるのである。
« 『リルケの庭』購入 | トップページ | アンを讃える「ソーイングビー」決勝戦 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「カムカム…」終わる(2022.04.08)
- 「カムカムエヴリバディ」から始まる毎日(2021.12.27)
- ネットフリックス、わたしの今、イチオシ、イッキ観の作品(2021.09.02)
- 『時の面影』から『ホワイト・クロウ、伝説のダンサー』へ(2021.08.11)
- ソーイングビー(3)決勝戦1(2021.07.09)
コメント