『まんぷく』終わる
安藤サクラの演技は、最初の若い時は気負った感じで声もかん高く、はしゃぎ過ぎみたいな聞き苦しさがあったが、次第に安定して、細かい感情の機微を、表情に見事にあらわし、名演技になっていった。このひとは恵まれた家庭で育ち、名優の父と、マルチ的なタレント豊かな母の遺伝子を引き継ぎ、どのような役も演じこなせる才能があるけれど、日本が誇りにすべき、良家の家庭の主婦の演技のちょっとしたしぐさや、品の良さというものをあらわすときが、ごく自然で、好ましく、安心して見ていられる。
夫役の長谷川博巳も好きな俳優で、デビュー当時から注目していたのだが、だんだんと演技の幅がひろがり、夏目漱石を演じたときは、演劇出身の素養がにじみ出て、いいな、と思った。今回もこの人ならではの、役作りで見事に大役を演じきったと思う。
主役をとりまくひとたちのエピソードもかなり巧みに配置されていたが、ひとつだけ、吉乃が森本と岡という二人から慕われていたのに、どのようにして岡のほうに落ち着いたかが語られておらず(もしかして、その回を見落としたのだろうか?) 物足りなく思った。
カップヌードルは発売された当時、私たちは夫のアメリカ駐在が決まり、シカゴで暮らしていたが、義母は画期的な新製品が出たと、送ってきてくれて、義父の昼食を簡単にできて助かっているという手紙が添えてあった。味わってみて、想像したより、インスタント的な画一したスープの味と違う、コクのある風味に驚いた記憶がある。
エールフランス機に乗ると、食事の合間、ちょっと小腹がすいたときに、フォアイエでこれが供され、乗客は早い者勝ちで食べるという風景がある。こういう使われ方が独特の強みだな、と思っていた。
今回あのフリーズドライの彩の中身がどのようなものか、多少の誇張があるにしろ、丹念に語られ、明らかにされたので、あの肉の塊のようなものが何でできているかわかって、安心して味わえる実感を持った。
実際、毎回出演者たちがおいしそうにすするのを観ていると、自分も食べてみたいと言う気にさせられる、ラーメン効果大なるものがあったと確信する。
自分としては、このごろ、ミニのカップヌードルを、よく昼食に利用する。高齢者にあれがぴったりの容量で、いつも余分に買って保存している。
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「まんぷく」、楽しい半年間でした。苦労しても明るさがあるので安心して見ていられましたね。朝はやっぱり明るいのがいいです。
このブログでよくまとめてあるので私の備忘録は書かなくて済みました。
時には鼻につくときもありましたが最後までチャーミングな松坂慶子さんがドラマの中でしっかりと根を張っていましたね。長谷川さんは来年の大河の主役です。さくらさんの夫、柄本佑さんは今度の朝ドラに出ているようです。
それよりシカゴでのカップヌードルの話が印象的でした。その頃もうカップヌードルは世界を駆け巡っていたのですね。
飛行機の中での早い者勝ちのカップ麺、久しぶりに思い出しました。海外も遠くなりました。個人で回るには二人とも気力と体調が不安だし、パックツアーのタイトなスケジュールはもう結構という感じです。
こうして何かの折りに思い出して楽しんでいます。
投稿: ちゃぐまま | 2019年4月 2日 (火) 00時54分
ちゃぐままさん
鈴さんはあの時代の八十にしてはかなり若作りでしたね。面白いキャラでしたが、生前葬にもう少し工夫があっても、と思いました。いまはお葬式をしなくなっているので、お世話になりましたと言って自分の一生をふりかえるような試みもこれから出てくるかもしれませんね。
そうなると、高齢者はますますシンドイことになりますけれど…
投稿: ばぁば | 2019年4月 2日 (火) 20時50分