注目、『平成細雪』
『平成細雪』(BSプレミアム日22時)というタイトルを見たとき、平成はついているけど、また細雪なのか、と何度となく映像化あるいは舞台化されたものを見飽きているので、観たいとも思わなかったのだが、何気なくチャンネルサーチをしていたら、そのドラマ場面に遭遇して、目が釘付けになった。
場面転換がゆったりしていて、神戸言葉の耳障りがよく、舞台となる芦屋や神戸の映像が美しく、演出が素晴らしい。
この雰囲気って、どこかで見たことがある、と思って、演出者を確かめたら、やっぱりね、と思った。『京都人の密かな愉しみ』の源孝志というひとなのである。
『京都人…』は何度となく観たくなってしまうほど魅せられた。京都をこれだけ魅力的に映し出した番組がほかにあろうか。とりわけ、組みこまれたドラマがいい。京都人の良さもあざとさも含めて、ため息が出るほどの、日本という国のひとの立ち居ふるまいの素晴らしさ見事さ、すべてを、映し出してみせている。
その『京都人…』のドラマに出ていた中村ゆりが末娘の妙子、あのときの二枚目の相手役、副士誠治がショウもなしの啓ぼん、演出家のお気に入りなのだろう。似合っている。
わたしが好きだった伊藤歩という女優さん、雪子役が打ってつけ、美しい。
ともかく、脚本、演出がいいから俳優みなが気合を入れた演技で息がぴったり合い、見せるのである。
柄本一家はあまり好きな一族ではないのだけれど、板倉役の柄本祐、第二話ではとてもいい味を出していて、見直した。
雪子は身体が硬くて、足の爪も切れない、なんて、原作にあったのだろうか。見合い相手がこれまた、芸達者がそろっていて、目を奪う。会話も面白い。
やはり原作がいいからではあるだろうけれど、この源孝志というひと、NHKはどうか厚遇してほしいと思う、逸材である。
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