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2017年12月 6日 (水)

『夫の後始末』読後感 2

この本に期待した、介護にまつわる冷静な知恵のほうは、確かに語られている。
付箋をかなり貼った部分だ。
著者が尊敬する老医師から学んだ人間の最期に臨んでやってはいけないこと三つ。
1. 点滴ないしは胃瘻によって延命すること
2. 器官切開をすること
3. 酸素吸入

聴力を失うと認知度が早まる。
よい習慣は幼いうちからつけておかないと、認知度が落ちてくるにつれて、それが顕著にあらわれてくる。
会話力は若い時からやしなっておくべきである。高齢になっての幸不幸にかかわってくる。

著者に大きく共感した部分。
60歳ぐらいから医療機関での検診を受けなくなったこと。
「特権階級だけ」が享受できる現生の快楽、たとえば、高級レストランの食事の贅沢や、高級旅館、ホテルの宿泊など、そういうけたはずれな贅沢を求めずに死ぬのが爽やかな人生であるという主張。

曽野綾子さんが文壇に登場したときから、わたしは熱烈なフアンになった。初期の作品がすべて購入して楽しみつつ、共感を持って読んだ。中、上流家庭にひそむ、危機感を表現することが巧みで、描写力ばかりでなく、独特の人生観が語られているのに惹かれた。出版社もそれを鋭く見抜いていて、その至言ばかりを集めたアンソロージーのような本も何冊が出版され、その人生をとらえる力量が前面にでてきて、時代のオピニオンリーダーのような存在になってきた。
その時点から彼女の作品を好んで読むことをしなくなっていたのだけれど、やはり専業主婦がすがりたくなるような、人生とは、を語る指摘の鋭さには脱帽する。

作家としても評論家としても名声を得て、この著書もすでに9万部を超える売れ行きというから、著者の何不自由ない生活を想像するが、「物質面では人並みか、ほんの少しゆとりがあるくらいが一番幸福」という至言がどこからくるのか、その実例や、エピソードの詳述がもっとほしかったと、切に思った。

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コメント

曽野さんの最近の言動が納得できず、避けて通っていました。内容をご紹介いただいて、ますますその思いが募ります。タイトルも好きではありません。偏見かもしれませんが、愛や優しさが感じられないのです。
 昨夜、リサイタルに行きましたら、下肢に重度の障害がある方が会場内の段差にひどく難渋されていました。開演までじゅうぶん時間はありましたので、後ろでじっと待機していたら、顔をしかめて横をすり抜けようとする方がいました。私ならこういう状態になったら、家に閉じこもってしまうかもしれない、凄い! と尊敬したのですが。

曽野さんのご本をたくさん読まれているばぁば様の読後感は説得力があります。
私は数冊しか読んでいなくての判断に反省しています。
健康診断はずっと受けています。カーブスにも頑張って通っています。夫を残して先に私が逝ったら、子供たちに迷惑をかけるからと、介護を経験した身からもそう思っています。
年齢に甘えずに、年齢におごらずに、年齢にひるまずに・・・、年を重ねることは本当に難しいです。
コメントの件ですが、今年になってからコメント欄を閉じています。少し思う所があって。
自分は人様のコメント欄に書き込むのに、わがままで申し訳なく思っていますが、こうしたつながりを持てることを嬉しく思っています。

kikukoさま
売れ筋のきわどいタイトルはかならずしも著者の意図ではなく、出版社に押し切られたのかもしれませんね。天職とはいえ、女性が高齢になっても名声に応えるために書き続けることは、さぞ大変だったことだろうと、年末年始に家事手伝いを手配するのがどれほど難儀だったか、というその一行で、察することができました。その詳細が知りたかったと、いう好奇心は満たされませんでしたけれど…

いまやコンサートは高齢者と身体障害の観客の場と化していることは確かです。
無事に終わるとホッとしますね、いつも…

ちゃぐままさま
年齢に甘えずに、おごらずに、ひるまずに、さすがお見事な表現です。
もう歳だから、などすぐ口にしてしまいがちですが…

コメントの件、了解しました。
でも、しばしばクリックして、豊富な話題を楽しませていただいていますよ。

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