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2017年9月 8日 (金)

小さな不都合つきイタリア

イタリア旅行情報専門サイトJITRAのメールマガジンは、もうイタリア旅行を辞めてしまった私には、関心のうすいものになっているのだけれど、冒頭のエッセイだけは読むことにしている。
その書き手の編集者はミラノ在住、いつもイタリアと日本を行き来する際の比較などを面白く綴っているからだ。

最新号で、彼女は日本からミラノに戻ったときのことを書いている。なんでもマルペンサ空港に夜遅く到着した際、着陸はしたものの、地上に降りる準備がととのっていないというアナウンスがあって、十五分くらい機内で待たされたという。当然降り立ってからは、みなトイレに駆け込み、そのトイレが四か所しかないので、長い行列のあとにつくことになる。
次に預けた荷物をピックアップするのだが、十台ぐらいあるベルトコンベアのどこに行っていいやら、『手荷物ご案内』用の表示もなく、探すのに時間がかかった。
市内に行くマルペンサ・エクスプレスの切符売り場はもう閉まっていて、自動販売機しかない。この販売機が問題、うまく機能しなかったり、つり銭が出てこなかったり、というトラブルの多い代物、幸い、運よくチケットは買えたけれども、彼女はつくづく思ったそうだ。トイレの数が十分で、手荷物受取の表示が大きく出ていて、自動販売機には何のトラブルもない成田が、何と素晴らしいことか、と。
それでも電車を降りてからタクシーに乗り、窓からライトアップされた神々しいまでに美しいドゥオーモを見て、胸が熱くなるほど感動し、イタリアと言う国は比類のないほど美しいものが存在しているけれど、それと同時に多くの小さな不都合に遭遇することにもなる。居住する者にとってはそれらを丸ごとうけとめなければならない、と締めくくっていた。

そう、過去二十一回の私のイタリア一人旅でどれほどこの小さな不都合を経験したことだろう。到着時、荷物に両手をとられる不自由なときに、トラブルにまきこまれることを、とりわけ用心し、迎えを頼むことが多かった。
ローマ、テルミニ駅からオルヴィエートに直行するという旅のときのこと。
迎えはローマ在住のRさん、列車探しを手伝ってもらう。イタリア語ベラベラの彼女に訊いてもらったのだが、駅員のだれもが違う答えをする。まさに発車まぎわにやっと目当ての列車にたどりつくことができた。ところが乗ってから、こんどは停まる駅名の表示には次の駅が記されていないので、不安になる。オルヴィエートの前の駅名が知りたい、あといくつ駅があるのだろうか・・・ちょうど検察にやってきた鼻ピアスの男性乗務員に尋ねてみた。
ところがわからないから調べてくると言ってどこかに行ってしまった。我が国のJRでは考えられない事態である。

列車チケットの自動販売機や、道路に面しているATMはトラブルの話をよく聞かされていたので、利用したことはない。

メルマガの編集者はミラノ在住でイタリア人同様の生活者であっても、やはり不都合を経験しているということを今回知って、所詮、旅人に過ぎないからかという意識のもたらす劣等感が薄まったような気がした。

旅をしていたときは、そういう不都合を経験し、それが新たな活力の源となり、この次からは大丈夫、という勇気が出たのだけれど、それはどんなに長く歩いても、痛みが出ない足と、安定した体調を保持していられたからだ。
いまはそれがもう失われつつある。
旅に終わりを告げるときが来たのだった。

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コメント

イタリアについての「小さな不都合」の経験、実感がこもっていますね。色々不都合があっても補ってあまりあるイタリアの魅力につられて、人々はイタリアに向かうのでしょう。胸が熱くなる瞬間は、どんな不都合も帳消しにしてしまうほどと思われます。イタリアは4回訪れたにすぎませんが、その魅力を垣間見ました。ばあばさまのおっしゃる通り、痛くならない足と精神力が伴わないと無理かもしれません。現在右足裏腱膜炎を抱えている私は、旅行ができなくなるかと不安です。

aiaiさま
「どんな不都合も帳消しにしてしまう・・」おっしゃる通りです。イタリアの文化遺産や芸術、そして自然風景は、そういうところが有り余るほどです。イタリア人もそれを知っていて、日本人のようにおもてなし精神に神経をはりめぐらすことなどしなくても自然体で受け入れるぞ、という感じなのでしょうか。

足は大切です。これまで足指、かかと、土ふまず、そして今は膝、いろいろなところに危険信号が出ました。要はすぐに手当てをすること、無理をしない、適宜に休ませることもして、しかも鍛えることも忘れない、ということで、目下だまし、だまし、で保っているという状況です。

「21回」のイタリア一人旅に、今更ながらに驚きました。もう第二の故郷ですね。
海外旅に出る人は多いけれど、cannellaさんのようにその土地にしっかりと下り立ち、ちゃんと見て、ちゃんと意見が言えて、ちゃんと感想を持つ旅をした人は少ないと思います。
新しい旅よりも、濃い思い出が心の支えになりますね。

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