旅の余話
帰途、健康村から上毛高原までの送迎サービスの車の中は、同年齢の女性の同乗者と二人だけだった。彼女はもう十数年、年に数回健康村を利用していて、いつも満足して帰ると話していた。
次の予約を紅葉の季節にしてきたので、わたしもこれからこの場所を訪れ続けるようになりそうだ、と思った。
個室にはトイレがないので、廊下を隔てて十数歩の場所まで歩かなければならなかったけれど、夜中に行くときもさほど不便を感じなかった。浴室は地下までエレベータまで降りて、そこから長廊下、ワンブロックぐらいの距離を歩いた先にあるのがちょっと遠いと感じたけれど、前回よりも膝の痛みは軽減していたのか、そういうことが苦にならずにいられたのは、こころが解放されている心地よさがあったからだと思う。朝風呂に入って髪をシャンプーする余裕も持てた。
旅の心地よさとは何なのだろう? 高級旅館やホテルに泊まりたいという気持ちは失せている。わたしの経済状態では一泊四、五万するような宿泊場所は自分が無理をしているという感じが否めないし、凝った料理に満足するかどうかも確かではなく、いかにも客サービスだけというマニュアル的親切は空しいだけである。
あるがままの自然が美しく、自分が無理をしないで溶け込める場所、それに加えて健康村の親切は心からのものだ。従業員の皆がここで働く喜びをいっぱいにして、対応してくれている。
川場村の道の駅、田園プラザでインゲンや、いまが旬のブルーベリーや、ラズベリー、フキノトウ入り味噌、シソジュースなどを買い込んだ。食生活が楽しくなってくるようなものを沢山、安価で求められる幸せもここにはある。ジュースは別便にしたけれど、あとのものはスーツケースに入れて、宅急便で送った。ほかに宿からユズ酒やリンゴ酒なども別便で送ってもらった。
スーツケースの宅急便が届いて、開けてみると、あら、大変、ラズベリーがドロドロになってしまって、汁がもれ、バジャマを汚し、次の敬語講義のために借りた図書館の本の表紙を染めてしまっていた。
衣類は漂白剤につけて、対処し、書籍は幸いビニールカバーがついていたので、ウエットティシュ―で消すことができたのだけれど、ブルーベリーは全く現物のままなのに、ラズベリーは冷凍ものだったのだろうか?
生の果実が一晩であんなにドロドロになるなんて、想像もしなかった自分をつくづく迂闊だったと悔やむばかりである。
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川場健康村を楽しんでいる様子、自然体でこちらまで同感して頷きました。施設の人たちの自然な応対も楽しい要因ですね。私も秋には行ってみようかなと久々に思った次第です。それにしても、ラズベリーがドロドロになっていたのは、予想外だった事でしょう。
投稿: aiai | 2017年7月25日 (火) 11時14分