購読新聞異聞 2
六日夕刊、九州豪雨の朝日の写真は衝撃的だった。二面のページ半分ほどを覆う、土砂崩れの壮絶さ、撮影者の名前入りのショットが三枚、一面にも一枚、惨状が一目で伝わってくる。
日本経済は白黒の小さな写真のみ、テレビの映像は一瞬のものだが、新聞はそれを何度も目にすることができるからこそ、天災の恐ろしさが心に刻まれる。
日本経済の「私の履歴書」は愛読している。このところ、私と同年齢のひとたちが続いているので、自分の育ったころの世情が、よみがえってきて興味がつきない。高田賢三氏のときは、彼がレナート・カステラーニ監督の『ロミオとジュリエット』を観て、ロミオ役のローレンス・ハーヴェイに夢中になって、ファンレターまで出したという記述に「あっつ!」と思った。私もどれほど熱をあげたかを思い出したからである。現在、日本ガイシ特別顧問の柴田昌治氏が執筆中だが、「非常に気難しく気位の高い祖母がいた」との一文に、我が家とそっくり、とうなずいたのだった。
こういう一カ月という時間をかけての連載ものは朝日にはない。しかも自叙伝でありながら、ドキュメンタリーのように当時の世相も伝えるものなので、読みごたえする。
朝日の声欄は一般人のオピニオン、投稿記事である。これが面白い。数日前の「日本語教師の報酬がいかに少ないか・・・」には経験者として大きくうなずくものがあったし、きょうの財務省の理財局長が国税庁長官に就任について、悪い人事ではという見出し、同感と叫びたくなった。この理財局長、国会答弁のとき「承知してございません」などというおかしな日本語を発したひとだったからだ。
大胆な正論を投稿するひとの勇気を称えたいし、これを掲載した朝日にも拍手したい気持ちになった。
新聞を二つ購読するのはちょっと贅沢だけれど、テレビや雑誌からは得られない、「今」をしっかり把握できる時間が長くなって、朝の充実感も増している。
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ボケ防止にと愚息が「天声人語」を毎日
写し書くようにトノートも用意してくれました
最近は長すぎて少々お疲れモード
折々のことば
ただいまはこちらを・・・・・
投稿: おばさん | 2017年7月10日 (月) 19時53分
おばさんさま
天声人語は以前のほうが平易で文章もよかったような気がします。
息子さんはお母様思いの方ですね。我が家は私にまったくのほど無関心です。
折々のことばも現代的になったと思いました。
投稿: ばぁば | 2017年7月12日 (水) 07時47分
確かに「折々のことば」が何度読み直しても理解できないときがあります。勉強不足のツケかなと情けなくなることがあります。が、現代から落ちこぼれているのですね。
投稿: Tacchan | 2017年7月17日 (月) 10時22分