『暮らしの手帖』異聞
『ととねえちゃん』を毎日観ている。タイトルのイラスト画が素晴らしい。
とりわけ茶色いネコが階段をかけのぼっていく姿に在りし日のチャイの姿が重なる。
脚本もなかなかよくできていて、次々展開するエピソードもテンポよく、面白さも工夫されていて飽きさせない。
先日、緑ヶ丘プールに泳ぎに行ったら、学童使用が終らないとかで、一時間待たされることになってしまったので、近くの図書館で時間をつぶすことにした。
あいうえお順によくそろえて展示された雑誌の部屋があるので、そこで、『暮らしの手帖』でも読んでいようかと、「く」のところを探したのだが、見当たらない。
係りの人の話では、全部貸出し中で、最新号は貸出できないのだけれど、それもない、ということはだれかが読書中なのだろう、とのこと。
その人気に驚いた。
暮らし、ということに本当に興味が出てきたのは結婚してからだが、『暮らしの手帖』にはあまり興味がなかった。花嫁修業で、和、洋、中華の料理はしっかり習得していたし、暮らしの知恵がほしいとは思わなかった。『暮らしの手帖』が「こころざし」を持った、珍しく立派な雑誌だということはわかっていたけれど、センスのよいファッションや美しいインテリア、旅の情報満載の『ミセス』や『家庭画報』のほうに目が向いていたのである。
自分がそのレベルの暮らしに手が届かないことはわかっていても、より高度なものを見ていたいという、あこがれがあった。
『暮らしの手帖』が、商品試験なるものをして、非常にくわしい情報を提供してくれるのも知っていたが、丁度その電化製品を買うとき、と、その情報が載っているときが一致することは、なかなかなく、そこまでの探究心もなかった。
料理の写真もレシピが知りたいと思ったことはあまりなかった。プロの料理人がつくるものが多く、わたしはどちらかというと主婦出身の料理研究家のレシピに目が向いていたのである。
「すてきなあなたに」という大橋さんのエッセイは魅力があった。のちによりぬきのものを集めた一冊を購入したおぼえがある。
さて、その日、久しぶりに『ミセス』を手にして驚いた。魅力あるファッションはまったくなく、精彩に乏しい。モデルも美しいひとが少ない。
『暮らしの手帖』の亜流のような『天然生活』、『ソトコト』、『ku・ne l』など、出ているがマガジンハウス出版のものが多く、『暮らしの手帖』の現編集長もマガジンハウス出身のひとのようだ。
朝ドラの影響がいつまで続くのか、スローライフ調の雑誌が売れ続けるものなのか、行方を眺める興味は尽きない。
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