お弁当は母の味
先日、夫とわたしの二人ともが一日中留守をするときがあって、飼い猫でいまや、衰弱の一歩をたどっているチャイが「ひとり」になるので、孫娘に留守番に来てもらうことにした。
お昼にお弁当つくっておくからね、と言って、玉子焼きとトリ手羽の照り焼き入り、あとは漬物、黒ゴマをふって、梅干しを真ん中にしたのを、用意しておいたのだが、それがスゴ~くおいしかった、と置手紙がしてあった。
娘の仕事は英会話スクールの教師だが、夕方から出かけて、九時過ぎまで教えるので、食事が不規則になるらしい。外のものはおいしくないから、と言って、近頃手作り弁当持参だという。
きのう、夜遅く、チャイに会いに来るというので、じゃあ、お弁当のおかずに、味噌豆と炒り豆腐つくっておこうか?と言うと、歓声をあげて喜んだ。
そういう常備食的なものは得意なのだが、トリや魚嫌いの夫とのメインは近頃本当に悩みのタネなのだ。
そこで考えた。この日は朝教会に行くし、この暑さ、出かけるだけであとが疲れる。夕食はこの常備食とあとは出来合いのコロッケを買って、わたしたちもお弁当にしてみようか、と。
味噌豆というのは実母の得意料理で、大豆を一晩水に浸してふやかし、油でいため、それにお砂糖をまぶし、あとはお味噌をからめるというもの。
これはお弁当のおかずにぴったりなのである。
炒り豆腐は、シイタケと、人参、ネギだけを入れたものだが、ゴマ油でいためたら、香ばしく仕上がった。
お弁当に入れてしまえば、おかずのアクセント、揚げ物が買ったものでも、サラダ菜入り刻みキャベツにくるめば、けっこうおいしい。
熟練の主婦の腕の見せどころは、こういう、付け合せの工夫ではないか、と思いつつ、近頃、買ったものの味があまりにも一律なのに、がっかりするたび、自分を励ましている。
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