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2016年5月 6日 (金)

伊丹十三のエッセイに夢中

せっかく覚えたイタリア語をなんとか保持するために、毎日欠かさず、ラジオのイタリア語講座を聴いている。
四月から、木、金の上級コースが翻訳工房になった。
その教材が、なんと伊丹十三のエッセイ、スパゲッティの正しい食べ方、なのである。
昔、彼のエッセイを初めて読んだとき、その知識の豊富さ、文章のユニークさに驚嘆したのだったが、その後映画監督としてあまりに有名になり、そしてあの痛ましい逝去までの過程で、そのことが脳裏からうすれてしまっていた。
だが翻訳工房で、一語一語、語感をとらえ、文章の流れをたどっていくと、あらためて、構成といい、語り口といい、素晴らしい書き手だったことが歴然とし、イタリア人講師も、感嘆しているのを聞きながら、ぜひ、もう一度読みたいという気持ちに駆られた。

夫が図書館に行くというので、一緒につきそってまずは三冊借りてくる。
『女たちよ!』『再び女たちよ!』、そして『ヨーロッパ退屈日記』

スパゲッティの正しい食べ方の出ている『ヨーロッパ退屈日記』は最後に読むことにして、まずは『女たち…』から読み始めた。そして、あらためて感嘆し、これほど読者の心をとらえ、楽しませるエッセイの書き手はいないのではないか、と思われるほど、魅せられてしまった。

このひとは180センチの長身、ちょっと憂いを含んだ端正な容貌、しかも、美食家で料理の腕も一流、デザイナーとしても凄腕、日本語の漢字の選択にもその博識力から、半端ではないこだわりを持ち、その上、語学の才能もあり、アラビアのロレンスを演じたピーター・オトゥールの友人でもある。だから英語発音の表記も完璧、池澤夏樹氏は彼こそがヨーロッパを基点としたホンモノを伝授した、と称しているが大きくうなずける。しかも全篇にただよう、上質のユーモア、その語り口はときに、断言し、ときに独白し、ときに問いかけ、読者をまったく飽きさせない。

私が大笑いしてしまったのは、『蚊』についての語り。
「しかしほんとにいやな性能を持って生まれてきやがったね、蚊というものは。
 要するに、刺すのは血がほしいからで、いやがらせのためじゃないんだろう?だった
 ら、それならそれで、もっとへりくだった気持ちになれないものかね。たとえば刺され
 たあと、なんで人間が痒い思いをしなけりゃならんのかね・・・・
 どうにも我慢がならんのはあの音であります。そもそも、自分の居場所を人間に知られ
 だけ損だし、第一危険ではないか。なにを考えているのかね、蚊というのは。やること
 が支離滅裂である」

続いてなぜか、見苦しい、聞き苦しいことについて、
「バス・ガイドの車内放送では、文章のあたまにあたまに、なにかこう、小さな装飾音符みたいなものをいれるのがつうとされているらしい。
ゥ右に見えますのは、ゥ富士山でございます。ゥ標高、ゥ三千、ゥ七百、ゥ七十六メートル・・・・」
こういうことを、いかにも「世なれた」という感じでやられると、見ているほうは、ほんとうに身も世もなく恥ずかしい・・・

カバー装画もイラストも彼のもの、目玉焼きで黄身だけ最後に残して食べる図もすごみがあり、滑稽なのである。
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コメント

面白そうなエッセイ集ですね
興味湧きましたので次回は読むことにします

孤独を生ききる・・・瀬戸内 寂聴
ただいま読んでいます

おばさんさま
ぜひ、ぜひ、おすすめです。

寂聴さん、小説は苦手ですが、エッセイは有名人の人物評のようなものを読んだ記憶があります。へつらわす、鋭く、人物像をとらえていて、その力量にうなずくものがありました。

伊丹十三のエッセイ、あまりに面白そうなので、アマゾ○に注文しました。「女たちよ!」と「ヨーロッパ退屈日記」にしました。楽しみです。伊丹十三は、映画監督としてばかり認識していましたが、素晴らしいエッセイイストであったと知るのは、ワクワクします。

aiaiさま
興味を持ってくださってうれしいです。

伊丹映画は、正直言ってあまり好みではありません。

彼のエッセイの素晴らしさは多くのプロの文筆家が絶賛していますが、才人のご本人はそこにとどまらず、もっと、もっと、と自分を全開することを求めていたのでしょうね。

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