続、病院へ
二週間ぶりに、T病院の整形に行く。もよりの駅まで夫に車で送ってもらう。
この二か月、数えきれないほど、車に乗せてもらった。今年はもう車検を継続しないと、言っていたのに、わたしのために、それを撤回し、せいぜい、オレをこき使えよ、とまで言ってくれて、車の送り迎えのほかにも、料理の後片付けや、お風呂掃除や、ときには洗濯物干し、取りこみに至るまで、わたしの足をいたわるために、介助してくれた。
とても83歳、要支援1とは思えぬほどの活躍ぶり、わたしが83歳になったとき、89歳の夫をこれほどまでに介助できるだろうか? 運転免許は返上してしまったから、手となり足となりとまではいかないけれど、そのときのために、もう一度元気にならなければ、と痛切に思うようになった。
膝専門の医師はこの前のひとより、年齢は上、いかにもベテラン、てきぱきしていて、パソコンを打ちながら、よどみなく問いかけ、ベッドに仰向けに寝かせて、膝をあらゆる方向から、押したり、曲げたり、動きを確かめ、変形性膝関節症の初期だと思うが、MRIをとっておきましょう、と一週間先の予約をとらせてくれた。
あれから水中歩行と水泳を一度ためしたのだけれど、続けたものだろうかと相談したら、そのあとで痛みが出るようであれば、やはり休み休みのほうがいい、ともかく痛いときは無理をしないこと、という応え。
まだどこにでも出かけていいというほどではないということがわかった。関節症のパンフレットと筋肉を鍛える体操療法のコピーを渡される。
医師を換えてもらって本当によかった、とあのとき情報をくれた患者の女性と、その手配をしてくれた、看護師さんに感謝する気持ちになった。
歩行時の膝の感覚はもう危なげなく、しっかりしている。階段の上り下りは負荷がかかるので、少し痛い。それでも、病院付近の街歩きができるようになった。行きつけのブティックに立ち寄り、バーゲンの春カラーのセーターを買う。店員の女性はわたしよりは若くみえたのだけれど、膝の痛みのことを話題にしたら、わたしもです、と大きくうなずき、いきなり、スカートをパッとめくって、わたしのより頑丈装備のサポーターの足を見せてくれたのには驚いた。階段をふみはずしてからのトラブルなのだという。
魚屋さんと八百屋さんに寄って、夫の好きなイクラ、ホタテの刺身、買い、野菜はなんと白アスパラがあったので、それとホウレンソウ、薬局で、湿布薬一週間分を渡されると、結構な重さになったけれど、タクシーにも乗らず、帰宅。家の近くの坂道をゆっくり、ゆっくり歩いていたら、前にも足つきの似た女性がバックパックを背に歩いていて、同列になったら、ふりむいて、ニッコリ笑った。足がね、と言うので、膝の話になり、わたしとまったく同じ悩みとわかり、大いに気が合って、30分以上も立ち話。すぐそばのマンション住まいとわかって、電話番号など知らせ合う。これも不思議なご縁。
世の中には本当に膝の悩みをかかえている女性が多いのである。
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