裏磐梯の紅葉
ある時期付き合いが途絶えていたのだけれど、共通の趣味である、ブリッジゲームで再会した友、一緒に旅行しようという話になったのは、二人が中高一緒のクラスで過ごし、多感な時を共有している強い絆ゆえか、話しだすと、思い出話が尽きないのである。彼女は来年四人目のお孫ちゃんが生まれるとか、で、ゆっくり遊べるのはこの秋こそ、ならば、紅葉でも見に行く?という話になって、二人共行ったことがない場所を探し、裏磐梯に行くことになった。
ツアーだと、時期が時期だけに、たった一泊でも六万円以上、そんな!!高すぎ。
二人でプランする個人旅行ならずっと安く行ける、ということになって、わたしがホテル探し、彼女は交通担当、連携手配はうまくいって、ホテルはちょっと高級だけど、皇室のご利用で定評ある裏磐梯高原ホテル、東北新幹線8時56分発、郡山で磐越西線乗り換え、これが猪苗代まで一時間一本の接続の悪さだったけれど、11時30分、ホテルのシャトルが迎えにきて乗ること四十分で五色沼入口に到着。
二時間で回れるという五色沼のトレッキングに挑戦。「大変じゃありません、ハイキングコース程度です」と聞いていたのだけれど、木道をたどったあと、やはり山坂の上り下りあって、休み休みはしたが、一度に一万歩以上、少々疲れ気味。
エメラルドグリーンはあざやかだったが、五色区別できるほどの、色に差はない。「今年は黄色が目立っています」という紅葉のほうはこの日がまさに盛りと思われる美しさで、目が和んだ。
そしてホテル到着、正面ロビーの総ガラスに広がる弥六沼の澄んだ水面、沼そのものをとりこんでしまったような中庭の風景、圧倒的な自然美に思わずため息。
入れたてのコーヒーや紅茶、飲み物充実の図書室は蔵書の選択の良さに目を見張る。紅葉の時期のみならず、一年中利用客が絶えないという人気もうなずける。
夕食のフレンチもフルコースで多すぎないかと思ったが、量の配分も見事なもので、どれも味すこぶるつきのおいしさ、満足した。
美肌効果抜群というここの温泉、暑すぎず、ぬるすぎず、いつまでも浸かっていたいと思うほど、トレッキングの疲れは完全に抜けた。
翌日の和定食の朝食は残念ながらあまりおいしくなかった。凝り過ぎなのである。具だくさんの煮物やつくだ煮など、豆腐もゴマ豆腐のようなもの、干物には大根おろしなし、漬物がなかった。和の朝食は焼き海苔、玉子焼き、干物かシャケ、ヒジキやきんぴらなどの常備食、味噌汁、漬物という簡素だが、味を厳選したものであればいいのに。
そのあとはまたホテルバスで送ってもらって、猪苗代の駅で待ち時間二時間。せっかく来たのだから、猪苗代湖に行ってみることにした。
日本で四番目の大きな湖なのに、不思議なことにこれが電車から見えない。猪苗代の駅からバスもなし、タクシーで行くしかない。往復五千円もするのだけれど、二人ともどうしても湖が見たくなってしまったのだ。
着いた場所は土産物店もホテルも一軒だけ。さびれている場所。夏はそれでも、キャンプなどでにぎわうらしいが、駅の名前まであるのだから、もっと開発すればいいのに、と思ってしまう。
湖は海のように大きい。砂浜もある。水鳥が泳いでいて、癒しの水辺である。ここまで行き着く手段がないなんて、ほんと残念、裏磐梯ではリゾート開発の才人星野氏が手掛けたホテルを見かけたけど、あまり混んでいるようではなかった。星野さん、猪苗代こそ開発すべき場所ではないですか、と言いたくなってしまった。
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