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2015年7月 3日 (金)

ロザムンド・ピルチャー『帰郷』読破 2

読み終えたとき、なにか少しすっきりしないものが残った。あまりにも登場人物が多く、ピルチャーの筆運びの詳細さは、それぞれの人物を浮かびあがらせてはくれるのだが、それが平均しすぎていて、肝心のヒロインが自らの帰属する場所を求めてさまようアイデンティティ探りの心の遍歴が深く描ききれていないのである。たとえば、彼女は聡明で高校卒業後はケンブリッジに入学したいと言っていたのに、突如海軍婦人部隊に入ってしまったのは何故なのか。心理描写の極まりが足りないような気がした。

それと、戦時についての記述が多く、これは歴史的に見ても、貴重な書物だとは思うのだが、ヒロインの家族が暮らすシンガポールに日本が侵攻していく過程や、戦後日本軍に捕虜になっていく軍人たちの記述に、あきらかに日本を敵国だと意識している記述が多々あって、ピルチャーフアンの高揚感が少し薄らぐ気がしたのであった。
だから訪英したときの英国人はわたしたちに冷たいのか、同盟国だったイタリアは心の底から親愛の情を示してくれるのに、・・・などとも思った。

さて、英国人はこの本をどのように評価しているのか、知りたくて、UKのサイトを検索する。ピルチャーの絶大なフアンが感動しきっているコメントが圧倒的だったが、十人の内四人くらいは、この本は読ませる魅力があるのを認めてはいるが、二十世紀の『戦争と平和』には値しない、ジェーン・オースティンの文章力にはかなわない、など、辛口の評もあった。

興味深かったのは、これがドラマ化されていることである。1998年、二夜にわたってミニシリーズの形で、この大長編がTVドラマとなって、放送されており、その一部を観ることができた。
ヒロインの少女時代は何と、キーラ・ナイトリーが演じており、成人してからはエミリー・モーティマー、ラヴデーの父、ケアリー=ルイス大佐をあの名優ピーター・オトゥールが演じている。(続く)

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