2015イタリア映画祭の二作品
毎年出かける『イタリア映画祭』、今年で十二年目、イタリア語を一緒に学んだ友人との再会の日でもある。
席の後ろで女性の声がした。「旅行で見るイタリアは陽気で明るいのに、映画のイタリアはどうして暗くて、重たいんでしょう」本当にそう、今年選んだ二作品も力作ではあったが、重たかった。
上映作品15本から選んだ二本の選択基準は、出演俳優と、映画賞を受賞しているか、それとストーリー。
金曜に観た『われらの子供たち』
二大スターが出ている。『向かいの窓』のジョヴァンナ・メッゾジョルノと『輝ける青春』のルイジ・ロカーショ。
弁護士と病院勤務の小児科医の兄弟、性格も生き方も異なる二人は屈折したものを抱えている。妻同士もそりが合わない。両家の子供、男女のティーンエイジャーは一見仲良くしているが、多忙な両親たちと会話もすくなく、ゲームや喫煙やパーティなどの男女交際の世界に浸っている。この二人がかかわったある事件から、すさまじい破局まで、まっしぐらのストーリー展開、息もつかせぬ手際だが、ある物音で終わるラストがあまりにも唐突であれ~っつ、で放っておかれた。
解説書に巧みな表現があった。「私たちの張りぼての日常の裏にあんぐり口を開けている地獄をみせつける・・・」
存在感ある演技の弁護士役、調べたら、かつての名優、ヴィットリオ・ガスマンの息子、アレッサンドロ・ガスマン、さすがである。
土曜に観た『人間の値打ち』
これもまた富裕層の二つの家庭のティーンエイジャーの子供たちがかかわった事件で家庭が崩壊しかける話。
原作がアメリカのミステリーという影響からか、解説書にもあるように、感情移入しがたい人間関係が展開する。それでも登場人物の名前ごとにチャプターをわけた、整理の行き届いた構成は巧み。これもまたラストまで目を離せぬ面白さ。
二作品とも『イタリア小さな村の物語』とは別の世界、家族がそろって食事をする光景はほとんどない。
二作品は五月五日までもう一度上演される。当日券あり。有楽町朝日ホール。
『われらの子供たち』5月5日10:20
『人間の値打ち』5月4日15:55
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