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2015年3月24日 (火)

『ダウントン・アビー』異聞

見るべきドラマのない昨今、日曜、11時の『ダウントン・アビー』は欠かさず見ている。深夜に近く、眠気をもよおす時間帯なので、録画して翌日見ることが多い。Photo

主音声を重んじる、NHKだと思っていたのに、このドラマは吹き替え、それが不満である。アガサ・クリスティものも、吹き替えだから、こうなったのか。
マギー・スミスとシャーリー・マクレーン、両大女優の掛け合いのときだけは、なんとしても生が聴きたくて、音声を調節した。シャーリーの英語は、デイム・マギーに負けていなかったと思う。

ダウントンを最初に見たとき、すぐにロバート・アルトマンの群像劇の傑作『ゴズフォート・パーク』を思い出した。劇場で観たあと、衝撃を受け、一緒に見た友としばらく口をきく気になれなかった。とりわけノヴェロの弾き歌いが素晴らしく、CDまで買ったほどだ。ヘレン・ミレンという名女優の存在を知ったのも、この映画だった。

両作品共、舞台はマナーハウス、もっとも、ダウントンのハイクレア城は正しく城だから、規模が一段と大きいけれど、伯爵の一族と使用人それぞれのエピソードが交錯する構成が著しく似ている、と思って、ネット検索したら、脚本が同じジュリアン・フェロウズなのだった。

彼はアカデミー賞を受賞したのち、十年後、強い要請を受け、書き始めたというが、『ゴズフォード・・』のスノッブをむきだしにしたくせのある貴族たちと、陰惨で哀しい過去を秘めた使用人群のイメージが一新して、伯爵一家は使用人群の能力を評価、尊重し、クリスマスにはねぎらいの合同パーティまでするし、使用人たちも忠義を志し、自分たちの仕事を愛し、誇りを持っているのが、日常の細かいエピソードから伝わってくる。
五年以上も続く、人気ドラマは好感度が第一、フェロウズは製作も担っているから、細かい気配りにあふれた作品になったのだろう。『ゴズフォード・・』はなんといってもアクの強いアルトマン色が溢れすぎていた。

執事カーソンと家政婦長ヒューズの二人はカズオイシグロの映画『日の名残り』の主人公たちを彷彿とさせ、好感の持てる、イメージぴったりの配役である。
目下はもう一組の使用人たちのメインキャラクター、ベイツとアンナの行く末が気になる。
アンナ役の女優はエミー賞を受賞している演技派、登場頻度も多いわけだ。
パットモアという料理長の女性はいつもだみ声でガアガア怒鳴ってばかりいて、英国版、泉ピン子みたいに見えるが、あれは吹き替えの声がひどいと思う。あの声からは料理の腕はすごくても貴族の館にふさわしい格調高い味付けが備わるのだろうか、とさえ疑ってしまう。
実際の生の声はもっと威厳のあるしっかりした声音であるのを確かめただけに、残念に思った。

それにしても貴族とはなんとシンドイ生活を過ごしてきたものか。娘時代にあこがれを感じたこともあるけれど、ダウントンで分業しているすべてのことを、家庭の主婦は狭い家でとはいえ、全部ひとりでこなしているのだ。それがまだできていて、お茶漬けの味を楽しめる、日本に生まれてつくづくよかったと思える年齢になった今というときを実感しながら、このスペクタクルの行方を楽しんでいる。


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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

ばぁば様
ダウントン・アビーは私も大変気に入っています。配役が素晴らしいし、設定も素敵です。何よりも優しさを感じる演出が見ていてほっとさせるものだと思います。ばぁば様のブログは最近、偶然に見つけました。
私もドラマが大好きです。ついでにいうなら5年前までは吹替え翻訳のプロを目指していましたので、海外ものの翻訳にはがっかりしたり、感心したりしています。英語だともっと多くの情報をしゃべっているのですが、それを日本語の口調に直すのはなかなかできないことなのですね。日本語、英語と交互に見たりしてあーだ、こうだと一人ごとを言いながら見ています。そういう見方をしていらっしゃる方がいらしてうれしく思いました。

jajacomさま
コメントありがとうございます。未知の方からのお言葉何よりうれしいです。
字幕の翻訳は語数制限がきついので、意訳のわざが必要ですね。
わたくしも小説の翻訳を十年ぐらいしていたので、訳が気になるほうです。吹き替えも上手にやっているな、とも思うのですが、やっぱり生の声が聴きたい、音声切り替えしてみましたが、声が大きくならず聞き取りにくいという問題もあり、不満がつのります。
スターチャンネルは字幕で放送したようですね。
最初のシーズン、見逃した部分もあるので、レンタルしてみようか、とも考えています。

私も録画しても見ています!  本当に大好きなドラマです。私の場合はMaryに思い入れて見ていますし、母親役の女優さんが美人過ぎて、憧れてしまいます。 各自自分と境遇が似ていたり、好きなタイプだったりで思い入れが違いますね!?  録画すると英語版が聞けないと言う私の機械なので、殆ど日本語吹き替え版を見る事になっています。 言えて妙、あのだみ声、ご本人が聞いたらどう思うかしらと心配になります。  シーズン3の最初の結婚式の場面が、一番感激でした。 4年前にロンドンからドライブして行ったStamford の街、そこのロケだったのではないかと思いました。 映画Pride and Prejudiceもあそこで撮ったと聞いたので。  Englandの古い街は、同じ様ですが、大好きです。  本当に素敵なドラマですね!!!  皆様が見て、視聴率が高くなって、最後まで続けて欲しいです♡♡ 

初めまして。時々ブログ拝見しております。今回「ダウントン・アビー」の話題に、つい自分もコメントしたくなりました。NHK日曜11時は起きていられず、録画して観ています。前回何故か忘れて録画できず悔しがっております。私は、途中から見始めたのですが、伯爵家の生活とそれを支える使用人たちの日常に興味がつきません。撮影は、コッツウォルズのマナーハウスだと聞きました。「日の名残り」など思い出しながら、観ております。確かに吹き替えか字幕か、難しいです。私は、「ヴェラ」とか「ルイス警部」が、字幕なのでやはり、元の声を聴くのも楽しみの要素ですね。

れいこさん
そうですか、あなたも見ていらっしゃったのね。
昨年末で、本国、シーズン5ということですから、まだまだいろいろエピソードの進展はありそうですね。
結婚式の衣装が美しかったですね。ヘアーメイクはあちこちで受賞しています。
ハイクレア城もドラマでは美しく見えますが、ドキュメンタリー番組のハイクレア城の実像は正に古色蒼然の古城でした。ドラマは上手に撮って、演出し、ストーリー展開していると思いました。

aiaiさま
ご訪問とコメントありがとうございます。うれしいです。
ドラマはディテールが、肝心、その点フェロウズの脚本はそれを巧みにとらえて、場面の臨場感を高めていますね。
AXNミステリーを見ていらっしゃるご様子、わたしは、『モース警部』『フロスト警部』『ロンドン警視庁犯罪ファイル』も見尽くして、いまは休憩中です。

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