続続九州窯元をめぐる旅
第三日
早朝八時出発なのに、全員元気である。日本の美を堪能したあとは、誇りと、なつかしさと、日本人であることの喜びが身体にみなぎってくるからかもしれない。
岸岳山麓にある、古窯跡をたずね、そのあと、掘り起こした初期古唐津の陶片に魅せられ、独自の作品を生みだしている、北波多窯を訪問。
自分で作った仕事着という、左右色の違う長じゅばん風の袖をひらひらさせて走りまわって、九州弁で説明してくださる、西川弘敏さん、外国人メンバーこのひとにとても好感を持った様子だった。
えくぼが出ているようなくぼみに指を置く、持ちやすい素朴そのものの茶碗を買う。
佐賀の”三右衛門“の三人目、中里太郎右衛門邸へ。ここはもう重要文化財の威厳がみなぎる建物、展示物、唐津焼の抹茶椀を見ているうちに思い出した。小学六年生から大学まで習った表千家の茶道で一番好きだったのは、この唐津の茶碗だったことを。
登り窯を見学し、そのあと工房へ、一人ろくろをまわしている後姿からは男性のように見えたのに、実は中里家の女性、音楽を志していたのに、いまは当家に戻られて、陶芸の道へ。声音の美しい、魅力的な中年女性だった。国際婦人クラブとしては最後を飾る、印象的な場面だったと思う。
昼食は高級料亭『花菱』、美味ではあったが、三日和食続きで、サンドイッチなど食べたくなる。洋食に侵されている食生活をつくづく感じる。
自分ひとりで計画したとしても、二泊三日でこれほど盛りだくさんのプランは遂行できないだろう。思い切って参加して無事戻れたことの達成感を得、生きていくことの張り合いをもらったような気がしている。
購入した陶器のうち、あの素朴そのものの、西川さんの茶碗がなんとも使いやすい。肉厚の安定感、えくぼ風くぼみのさわり心地がたまらない。お茶もおいしさを増すのである。
« 続九州窯元をめぐる旅 | トップページ | マダム・マロリーとまほろ・・・と »
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 群馬県、四万温泉ひとり旅 3(2021.11.20)
- 群馬県、四万温泉ひとり旅 1(2021.11.18)
- 再生、イタリア(2020.09.10)
- 京都駅のトイレは〇☓方式(2019.12.10)
- わたしのソーイングビー時代(2019.11.25)
コメント