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2014年9月 1日 (月)

ミス・マープル/復讐の女神

アガサ・クリスティ―の主要作品はほとんど映像化されているが、なかでも『ミス・マープル』に注目していた。まだ若かったときNHKの初放送で見て、テーマ音楽もタイトルのデッサン画像もいかにも英国の上質ドラマにふさわしく、ごく普通のひとが抱く「悪意」が犯罪を生み出していく過程がなんともエレガントにしかもとてもきめ細かく描かれているのを知り、忘れがたかったのだ。
それが、いま、AXNミステリーチャンネルでは、アガサ・クリスティ生誕記念で、何と、ミス・マープルシリーズ全作品が順次放送されているのである。
自分の年齢がミス・マープルと同じくらいになっただけに、言うに言われぬ親しみが増して、目をくぎ付けにされてしまう。
三人のマープル女優がかわるがわる出演してはいるが、なんといっても、原作者に強く乞われて出演したという、ジョーン・ヒクソンがずば抜けて適役である。Miss_marple

しかも彼女のシリーズだけは吹き替えでないので、きれいなクイーンズイングリッシュが聴けるのも楽しみのひとつだ。

きょう、わたしはシリーズ中、突出して面白い『復讐の女神』の二度目を見た。

ミス・マープルの推理力を知っている、ある大富豪の訃報を新聞で知った彼女に、復讐の女神の役割をしてほしいという彼の依頼の手紙が届き、「歴史建造物と庭園めぐり」のバスツアーの招待状が送られてくる。実はその旅程に入っているある場所にはその富豪の別邸があり、そこで殺人事件がおきて、富豪の一人息子が嫌疑をかけられたまま、迷宮入りになっていたのだった。
バスの乗客は曰くありげな人物たちが数人おり、いまはホームレスになっている富豪の一人息子が怪しい風体で出没する。殺人事件があったその場所では、すでに富豪の指示が出されていて、ミス・マープルは殺された娘を養女にしていたという三人姉妹の住むマナーハウスに招待される。一癖も二癖もある登場人物、謎が謎をよび、最後まで目が離せない。謎解きのクライマックスシーンはシリーズ中一番のド迫力である。最後のめでたしめでたしも胸がスカッとするさわやかさだ。
当時のバス旅行の場面も興味深いし、途中で疲れたミス・マープルがベンチで居眠りをするところなども、ああ、あるある、こういうことって、と感情移入してしまう。
ミス・マープルは胸の下あたりに両手を組むのがくせで、ハンドバッグも両手で前に抱えもって歩く。そしてくつろぐ時間がくると、編み物をしている。

アガサ・クリスティはミステリーの女王とあがめられ、名声は得て、何不自由ない暮らしをしていたのに相違ないが、私生活は必ずしも幸せではなかったようだ。
独身で、自由がふんだんにあり、甥たちに慕われ、そのたぐいまれなる推理力を、認められて、それにふさわしい待遇を得るのに、編み物をするゆとりもある、ミス・マープルはもしかすると、アガサ・クリスティのこうありたいという理想の姿ではなかったか、それゆえにこそ、ごく普通に暮らしているような高齢の老婦人がこれほどのいぶし銀のような魅力を放つのではないか、そう思われてくるのだった。


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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

我が家もAXN の大フアン ジュリー レスコー ミス マーブルが特に...

貴女の記事と全く同感です。いつも綺麗な文章で楽しみにしています。

我が家のブログは少し硬いのとだいがく2~3年生、35歳位を対象にしています。

りくぅぽいものには大学の先生が見てくれます。貴女のような視点が欠けているのでと

ても面白いです。

massyさま
ありがとうございます。『Massy's Academy』も啓蒙力のあるブログで感じ入っております。
そうですか、やはりAXNミステリーを観ていらっしゃる?いまモース警部にもはまりそうになっております。
ジュリー・レスコーはフランスものでしたよね。
共通の話題ができて楽しみです。

ばぁばさん こんばんは。
先日は拙ブログへのコメント、ありがとうございました。

確かに、ジョーン・ヒクソンのマープルシリーズの中でも、これは抜きん出て面白い一編かもしれませんね。何事も見逃さないマープルですが、ちょこちょこと居眠りをしては、休憩を上手くとってるんですね。居眠りシーン、ありましたね、そういえば。マープルのように、さりげなく細部までチェックされてますね。

アガサ・クリスティは、ミステリーの女王になるよりも、平凡でも幸福な家庭の主婦、というものに埋没したかった人ではないのかな、と思ったりしますが、どういうわけか二度とも夫に浮気されちゃいますね。(…というか、どっちも本気で浮気じゃなかったのが更に物悲しいところですが)それは物書きの業のなせるなのか…。ものを書く事は修羅を抱えること、なのかもしれませんね。

kikiさん
拙ブログにご訪問ありがとうございます。
AXNミステリーで見るものが多くて忙しく、読書ができなくて困っています。
映画しか娯楽がなかった時代に育っているので、どうしても映像が先に見たくなります。
『まほろ・・・』は本のほうを先に読みましたが、映像化を意識しているような書きっぷりなので、もう映画を観たような気がしてしまいました。主人公の二人の男優はもう超売れっ子ですから、テレビのシリーズにはならないでしょうね。あのテレビドラマの出だしは気に入っていたのですけれど。
そちらにもまたお邪魔いたします。

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