刑事もの、大好き
膀胱がんを二十年近くかかえている友人に電話するときは、いつもおずおずと声をひそませる。彼女の、はい、という声を聴くと、ああ、よかったと安心して、お元気?などというバカな問いを発しそうになる。
彼女は相も変わらずきれいな声で、うれしそうに次から次へと問いを発し、一時間以上もおしゃべりしてしまった。
足が弱ってしまったので、徒歩三分という駅までも歩けなくなってしまった、などとあっけらかんと言う割には食欲があるそうで、ああ、胃腸が丈夫なら、まだまだ大丈夫とひととき安堵する。
ローマに数年住んだことのある彼女はイタリア語がなつかしい、と言って、ミステリーチャンネルというケーブルテレビの、イタリアの刑事ものを何本も観て、楽しんでいるといういい情報をくれた。
早速、有料の手続きをして、AXNミステリーというチャンネルを開けるようにする。
シチリアの刑事、『モンタルバーノ』はイタリア人の五人に一人が観ているのだそうだ。ほかにグルメ探偵『ネロ・ウルフ』シェパード犬が主役の『REX』、録画予約がふえて、超多忙。
おまけにきょうは話題のベネディクト・カンバーバッチの『シャーロック』字幕版が九時間続けてオンエアー。
ありがとう、あなたのおかげよ、とおずおずお礼電話したら、またまたおしゃべりがとまらなくなった。
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