『コーヒーをめぐる冒険』
胸痛が起きてから10日以上無事に過ごし、心臓CT検査も終え、あとは超音波と心機能の検査を残すだけとなったので、若い友人、N子さんをさそって、映画を見に行く。
青山イメージフォーラムで上映中の『コーヒーをめぐる冒険』
一時からのチケットを購入のあと、まずはランチの場所探し。以前よく利用していたイタリア旅行社の近辺、イタリアンのレストランがあまりにも多いのに驚く。
N子さん、娘にしたいタイプ、ナンバーワンだと、いつも思うのだがきょうも、そう。
行き届いた下調べのおかげで、しばし現場検証のため歩いてから、十種類以上のアンティパストから三種チョイスつきパスタランチ、デザートつきで1000円という申し分ない、カジュアル、エレガントな店を選ぶことができた。
さて、その映画、ドイツ国内外の映画賞を大量制覇したというから、翻訳タイトルからしても、目まぐるしい話かと思ったら、意外。モノクロの地味な画面で、言ってしまえば、ドイツ版プータローがコーヒーを飲みそこねて、ようやくありつくまでのドキュメンタリー、思うようにいかない無職の彼の日常を淡々と追っているのだが、それゆえに三十前の若者の精神の孤独がにじみでていて、斬新な手法だと感じた。
近頃のわたしは午後二時と夜の八時に眠気をもよおすので、この日もつい単調な画面にうとうと・・・主人公に父親が生活費援助を打ち切ると宣言する場面を見損なって、あとで、N子さんから画面が見事に再現するような説明をしてもらってようやく納得がいく。
テレビなどの観光番組で観るベルリンのよそいきの画面とは全く異なる街の素顔、あまり美しくない映像が延々と流され、そこにナチス時代の歴史の傷跡をまだ引きずっている人々もあらわれ、文明が進歩しているとはいえ、ベルリンでも、人間の精神面にただようトラウマが色濃く感じられた。
将来の進路を決めかねている孫たちの世代、そして彼らを囲む年上の年代のかかえる人生の寂寥感、それは洋の東西を問わず、共通するものだからこそ、この映画は若者たちばかりでなく、多くのひとびとにも支持され、ヒットし続けているのであろう。
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コメント
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同じ映画を観たとは思えない観察力とそれを見事に文章化される才能に
相変わらずほれぼれいたします。
今回、お声がけいただかなければ見落としていただろうこの作品、
ご一緒させていただけて感謝しています。
また是非ご一緒させてくださいね♪
投稿: のん | 2014年3月24日 (月) 14時25分
のんさま
ほんとに楽しい外出でした。映画にちなんだコーヒー、イメージフォーラムで売ってたんですね。壁に貼ってある批評読むのに忙しくてうっかりしました。
こんどは『ブルージャスミン』いかが?
投稿: cannella | 2014年3月27日 (木) 22時55分