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2013年9月24日 (火)

ヴィッラ・ターラント

Villaとはイタリア語で邸宅とか別荘とかの意があるが、このヴィッラ・ターラントは19世紀に建てられたヴィッラを英国軍人ニール・マッケクランが買い取り、三十年をかけて、およそ二万種類の植物を植え育てた、ヨーロッパ最大の植物園である。119


ペスカトーリ島から定期船でおよそ、三十分、マードレ島やあと二か所ほど停まって、乗客がどんどん減り、最後にはいかにも英国人らしい知的な雰囲気のひとびとが数人残った。中に、ピーター・オトゥールに似たハンサムな初老の男性と美しい女性のカップルもいて、ぶしつけな視線を送らないようにはしながらも、注目していたら、降りるときに男性が杖をついているのを見て、ああ、わが家の夫と同じだな、と思った。

庭園というよりはあまりにも広大な庭園風植物園である。入園するときには十人ぐらいいた訪問者が徐々に散って、ダリアの花壇では私と後二人ぐらい、そのうちの一人、あの童話作家でガーデニングの大家、ターシャ・テューダーにそっくりの老婦人にわたしは思わず話しかけた。まあ、なんというダリア!!そう、驚くほどの大小、色とりどりの多種類、そしてヒマワリのように大きな花なのである。108

彼女は応えた。英国にはこんなダリアは咲かない、台風も竜巻もないけれど、英国にはお陽さまが不足なのよ、と首うなだれたので、わたしは英国のあの素晴らしガーデニング技術を称え、キュー・ガーデンを訪れたときの感激も語った。107

彼女は一泊二日のバス旅行で、ここに来るのを目的に独り参加したのだそうだ。
そう言えば、船着き場の横に大型バスが数台停まっていたのを思い出す。

温室の巨大なハスの葉、葉の割に花が小さいわね、という彼女の言葉にうなずく。園内はなだらかな山になっていて、頂上にそれにふさわしい、見せ場がある。彼女の独り歩きをあまり邪魔しては、と思い、わたしはそこで別れた。111


117

それにしても広い、陽射しも強く、休み休み歩かないと疲れる。春には数万個の球根から、チューリップや水仙が咲きほこるらしい。十二か所の見どころを見終わり、下りにかかったが、近道があるわけでなく、また迂回しながら、ぐるぐると下りるから、歩く量はハンパじゃない。あのピーター・オトゥール氏はとても登れまい、と思ったりもした。車は入れない。わたしのような高齢者が行き倒れになったら、どうするのだろう、と思ったとき下から、バイクがあたりを見まわりながら、上ってきた。これはきっとそのためなのだろう。あの英国のオバアサン大丈夫かしら、とはいえ、わたしも日本のバアサンなのである。幸い、例のドイツ製の靴がしっかり守っていてくれて、足の痛みはまったく感じなかった。116


別荘らしき建物も残っていたが、立ち入り禁止、見掛けも特別な感じのしない家であった。

およそ二時間以上、歩いて船を待つあいだ、船着き場のそばのバールで飲んだエスプレッソがのどに染み入るおいしさでほっと安堵のため息が出た。120

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コメント

ゆったりとした時の流れが感じられます。
よく整備されたガーデン、向こうに見える海・・・。
それにしてもここは個人所有ですよね。ゆとりがありますね~。
この時間・空間と心のゆとりこそが日本に欠けているものでしょう。

それにしてもドイツ製の靴と、日本製の「足」の拍手です。
何よりも歩くことに不安がないのは素晴らしい旅の基本ですから。

ちゃぐままさん
ヴィッラの建物は現在、イタリア政府が使っているらしく、運営のほうはNPOがしているようです。
ウイークデイだったせいか、観光客も少なく、帰り道はわたし一人で、あたりがあまりにも広いので、ちょっと心細くなったりもしました。
あんなに歩いたのに、現在も足の状態は良好なのが救われます。

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