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2013年7月22日 (月)

『25年目の弦楽四重奏』

世界的に有名な弦楽四重奏団のチェリストが突然引退宣言を表明したことから、団員たちの力のバランス、更にはプライベートな生活にまで、衝撃的な影響が出て、物語が展開していくこのドラマ。
チェリストに扮するクリストファー・ウォーケン、長年のフアンとしては、期待以上の絶妙な演技に圧倒された。161897_31

彼は『デイア・ハンター』でアカデミー助演賞を獲得してから、とぎれず、映画出演は果たしていたが、特異な風貌から、オカルト映画にも出たりしていて、当たり役に恵まれていないのが、惜しいと思っていた。
それが、どうだろう、七十歳にして、これほどのはまり役を得るとは。

冒頭、T・Sエリオットの詩を朗読する、美しい声に魅せられる。ウォーケンだった。マスタークラスでの講義の一場面である。
終盤近くの講義場面でも、名チェリスト、カザルスに演奏を聴いてもらったときのエピソードを語るウォーケンに目が釘づけになる。
カザルスに「一瞬でも素晴らしい音を聴けたことがうれしかった、感謝する」と言われ,自分では不出来だと落胆していた演奏者の彼は、のちにこれこそカザルスが褒めてくれた音だと気づき、それを実演してみせる。忘れられない、音と演奏、演技だ。

見終わってから、プログラムを購入した。最近の映画プログラムの改良めざましく、これも買ってよかった、と心から思われる、珠玉の内容を秘めたものだった。
監督、脚本、製作担当のヤーロン・シルバーマンのインタビューの回答にそれがあらわれている。
彼はMITで物理学を専攻したあと、映画界に入り、ドキュメンタリー映画で数々の賞を受賞している。
製作の動機は「家族、肉親のあいだの複雑な関係を掘り下げる張りつめたドラマを描きたいと思い・・・室内楽の熱心なフアンとして、弦楽四重奏団の団員同士の微妙な力学がこれを描く格好の設定になるのではないかと思った」
「本作はベートーヴェン後期の四重奏へのオマージュである。ベートーヴェンは四重奏を通じて、非常に丹念かつ複雑な方法で感情や考えを表現した。それは聴く者を時として、高揚させ、時として絶望させるが、どんな時も生き生きとしている・・・
人生の苦境をより高次の人生体験に昇華させてくれる芸術の力に、再び気付かせる作品にもしたかった・・・」

この言葉をかみしめながら、ベートーヴェン弦楽四重奏曲第14番、嬰ハ短調(作品131)をじっくり聴きたいと心から思った。

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コメント

記事を読んで観たくなりました。
さっそく調べてみるといつも行く映画館。
話題作だけを上演する、こじんまりした映画館で
大好きなところです。
いい情報をありがとうございました。

洋画通でいらして、名前がすらすら出てくるんですね。
私はなかなか名前が覚えられなくて、その上顔と一致しません。
顔が似ていると見分けられない時もあります(´゚Д゚`;)

ちゃぐままさん
人生の憂愁を知的に優美に伝えている、と評したのは秋山登さんですが、まさにそうで、アメリカ映画がまだこれほどのドラマをつくることができるのをうれしく思いました。
ヴィオラを弾く母親と娘との葛藤も忘れ難い場面です。

さっそく今日、夫と見てきました。
深~いテーマを持つ映画で余韻の残るストーリーでした。

ニューヨークには2度行っただけですが、垣間見た
ニューヨークの孤独・・・みたいなものも感じました。
素敵な情報をありがとうございました。

タイムリーにも三週間前にNYに行く機内で見ました。 機内で見た中では一番良かったです。NYがあまりに暑かったので、すっかり忘れていました!!  
パーキンソン病になるのでしたっけ? パートナー、母娘、師弟、仲間、様々な人間関係とアパート暮らしがNYらしいドラマだな〜と半分ぼ〜っとして見てしまいました!  Cannellaさんのコメントは実に深いです!!! 流石です!!

れいこさん
お帰りなさい。
この映画を見るのは映画館のほうふさわしいかも。でも機内でよくストーリー把握されましたね。さすがの語学力!!
わたしなど、機内で見ると、聴力が弱っているせいか、ストーリーの把握力が不十分で、いつも物足りない感じです。
おみやげ話、メールでぜひお聞かせください。楽しみにしています。

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