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2013年4月12日 (金)

おすすめではなく

『家族X』という映画はPFFスカラシップによる商業でビュー作品、外国の映画祭にも参加している、若手監督の話題作品である。

南果歩演ずる四十代半ばの主婦が家事をする様子をカメラが延々と追う。洗濯物を叩いて伸ばし、干す。食事のあとのテーブルをととのえ、ランチョンマットを一分の狂いもなく向い合わせにおく。そして食器洗い、ゴミ捨て、食材の買い出し、せりふはほとんどなく、家事労働をこなしていく映像がひたすら続く。夫も成人した息子も団欒を避けている。どんなに立派にやりとげても賞賛も慰労もなしの孤独な奉仕作業のように映し出される。そしてやがてそれを放棄したときの家庭がどのように荒廃状態になるかも容赦なくさらけ出される。

わたしは五十年以上も家事をしてきて、家族といつもよい関係ばかりだったとは言いがたいが、それでも生きるためにしなければならないことをようやく把握できたという、到達感を得ている。ひとに評価されることだけが喜びではない。自分が一度だけ与えられたこの人生をよりよく生きるために家事を極めることは生きがいにも成りうる。

生きていくためには食べなくてはならない。いまの時代、自分でつくらなくても、調理されたものをどこでもた易く手に入れられる。けれども自分が食べたいという味にこだわって満足いく料理をすることができるようになれば、その喜びがたとえ自分ひとりのものであっても、達成感は大きい。しかし食材を選び、余った食材をまた無駄にしないように管理し、冷蔵庫の中を常に清潔になにがどこにあるかを把握し、無駄なく消費できるようにするのは容易ではない。マメの煮方ひとつにでも、マメだけをやわらかく煮てから味付けするやり方と、煮汁を容易し、そこに長くつけておく方法と、どちらがどういう仕上がりになるか、試してみて、自分の味を決めるという過程をたどるには手間もひまもかかる。どうしても自分で料理するのがつらいとき、外食や、出来合いのものを買うことになっても、その場合、どこの何を食するか、上手な選択ができるようになるのも、またよりよく生きるための知恵である。

男性側からの視点で、ネガティブ一色という感じの主婦業が映し出されるのは、ただやりきれない感じがつきまとい、感銘するとか、共感するとかいうことからはほど遠く、なにか冷え冷えとしたものだけが心に残った。

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