『マリーゴールドホテルで会いましょう』
見たいと思っていたのに、見逃しかけていた映画、あと一日で終わってしまうという早朝一回だけ上映の場所、やっと見つけて、十時始まりの有楽町のシャンテシネに駆けつける。
『マリーゴールドホテルで会いましょう』主な出演者全員六十代以上のシニア映画である。
主演の二人、ジュディ・ディンチ、マギー・スミス共に、79歳。英国を代表するこの二大女優、シワ、シミ、タルミ、容姿の衰えなんぞなんのその、人生で起る全て、経験してるわよ、と言わんばかりの自信にあふれた目ぢからが圧倒する存在感。
なんらかの事情を抱えてインドにやってきた男女7人、インドに到着するまでのそれぞれのエピソード紹介の導入部がテンポよく、ユーモアもあふれていて、申し分ない。この部分だけでも、すぐにも繰り返し見たいと思ったほど。
ジュデイ演じるイヴリンは夫が他界したあとで、多額の借金を知り、自宅を手放して、わずかな費用ですむインドのホテル住まいを決める。そのホテルはとんでもないボロホテルで、異文化や気候にも圧倒されるが、負けていない。自分のできることでチャレンジしようと、仕事につく。
インド綿のチュニックにスカーフを巻くファッションが似合って、凛とした姿、魅力的だ。
マギー演じるミュリエルは対照的、独身でかたくな、しゃれっ気まったくなしの高齢女性、本国では股関節の手術担当医師に注文をつけ、黒いひとはいや、イギリス人にして、などと、人種偏見丸出し、結局、半年も待たされると知って、インド行きを決意。孤独なオールドミスがインド人の人情あふれるもてなしを受けるうちに、偏屈な態度を改めていく、その過程の演技にも魅せられる。
イヴリンはブログを書いていて、それが語りとして使われている。
「過去にとらわれてはいけない…積み重なっていく今が心を満たしてくれる」というせりふはわたし自身の今と重なってこころにひびく。
旅で起るネガティブな事件満載の映画、それに打ち勝っていく主人公たち、そのチャレンジはまた、旅の醍醐味でもあることをわからせてくれる。
大画面で見る映画、やっぱりいいな、と思った。これからも見たいと思う映画を見逃さず、映画館に足を運ばなければ。
この映画から八月の旅への、励ましと勇気をもらうことができた。
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