師走日記 4
*誕生日のディナー
孫娘の誕生日は怖れ多くもクリスマスである。実は彼女のひいじいさんも同じ誕生日だったので、嫁のわたしはこの日のディナーづくりが何十年、かなり大仕事であった。
昨年から娘が招待してくれるようになって、主婦にとって地獄のような十二月が少し楽に感じられるようになっている。
その日の夕方、学校にいる孫娘からメールが入った。「じぃじ、ばぁば、ごめん。オーケストラ部のひとたちがお祝いしてくれてるので、八時ごろになりそう」
七時半ごろ娘の家に着くと、彼女はまだ料理の最中だった。翌日から一緒に温泉に行くので、その打ち合わせをしておきたいと話しかけると、「ちょっと黙っててよ、集中してるんだから」とおこられる。
集中しつづけた料理が次々出てきた。ペンネアラビアータ、マリネした牛肉を焼いたもの、ローズマリーポテト、そしてサラダニソワーズ、スープはアサリとクレソンにトマトのコンソメ風。
孫娘はトロンボーンのケースを背負い、プレゼント一杯の特大バッグを持って帰宅。オーケストラ部全員がハッピーバースデイを演奏してくれたのだそうだ。
料理はどれも本当においしかった。フランスパンも「100度で五分だよね」とわたしに確認していたが、バターがしっかりしみて格別の味なので、どこで買ったの?と聞いたら、フォションという返事。品質第一にする気配りもできているな、と安心する。
好き嫌いの多い夫もどれも残さず食べ、ポタージュ以外はだめかと思っていたのに、こんなうまいスープは久しぶりだとか言って、アサリのスープを満足そうに飲んでいた。
料理の献立と味の取り合わせにはひとえに、センスが必要、これに関する主婦の技の授受はどうやら、済ませられたかな、とほっとしたのであった。
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