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2012年11月13日 (火)

「愛の調べ」シネマ&リサイタル

シューマンの生涯をこれほどリアルに知ることになろうとは思わなかった。『愛の調べ』いまから六十年以上も前の映画なのに、少しも古さを感じさせない。画面は美しく、ストーリーのテンポもなめらかで、せりふも心に染み入るものが多く、出演者も適役である。
作曲家の伝記にはこれまで関心がなかったので、クララが八人もの子供を育てたことは知らなかった。映画ではブラームスが初めてシューマン家を訪ねたとき、末の子供がハイハイしながら客間に入ってきてブラームスに抱かれるシーンや、クララが『謝肉祭』を演奏している最中に、授乳の時間になり、舞台の袖から家政婦が赤ん坊を抱いて知らせるので、曲をはしょって演奏を終えるという場面があり、しかもそのあと母乳を吸う赤ん坊の満足感を伝える裸足の足の表情までもとらえている。
キャサリン・ヘップバーンは勝気なイメージが邪魔しないかと思ったが、絶頂期の美しさと演技力で見事にクララになりきっていた。
それにしても、なによりも素晴らしかったのは、吹き替えのルービンシュタインの演奏である。『献呈』が三度演奏されるが、シューマンの演奏、リストの編曲の演奏、その派手さを嫌ったクララがリストにあてつけるように弾く、彼女自身の演奏、その弾きわけが忘れがたいほど見事だ。

シューマンの『子供の情景』はわたしが一番すきなピアノ曲集で、第一番の『異国から』はいまでも唯一暗譜で弾けるオハコなのだが、子供の遊びや生活の細部を描いた曲想が何故あれほど心にひびくのか、シューマンの家庭生活を知って理解できた。

だが、天才作曲家の最期の悲惨なこと、映画ではぼかしていたが、ネットで調べてみると青年期に娼婦と交わったことがもとで罹った梅毒による精神障害、精神病院に二年も隔離されて、クララとも会えなかったと記されている。
八人の子供の子孫は?となおも調べてみたら、七人の写真が出てきた。中には1930年代まで生きたひともいるので、現在も子孫のひとは生存しているに違いないと、検索したら、日本シューマン協会がシューマン氏を招いたという記事が出てきた。

この映画のあとの伊藤恵さんの演奏も映画に出てくる調べの再現が巧みに表現されており、とりわけクララの作曲が披露されて興味深かった。

このコンサートを見つけて、誘ってくれたY子さんに感謝!!彼女の耳はたぐい稀、よいコンサートを見つける名人、こうした才能は人生の特筆すべき技である。そういう友人を持って幸せだとつくづく感じた一日であった。

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コメント

この記事を読んで、即「愛の調べ」のDVDを買ってしまいました。
ピアノ曲は「子供の情景」くらいしか弾いた事がありませんが、
歌曲は好きでずいぶんと勉強したものです。
暗譜で歌えるものは・・・ありません(><)。

未草さま
まあ、DVDを買われたとは責任重大ですが、それほどまで、と、とてもうれしいです。
歌曲もいいですよね。ちかごろすっかり忘れているので、新しくCDを購入しようかと思っています。男性が歌っているのと、女性のとどちらをおすすめですか?
アメリングのは持っているのですが、ヘルマン・プライのもいいようですよね。ディースカウはシューベルト向きかなとも思うのですが。

私見ですが、男性が歌っている方がしっくりくるような気がします。
が、「女の愛と生涯」はやはり女声で聴きたいです。
ヘルマン・プライ・・・懐かしいです。
フィッシャー・ディスカウと言えばどうしてもシューベルトですね。
「冬の旅」大好きでした。

未草さま
ありがとうございました。参考にさせていただきます。
ヘルマン・プライももうちょっと古いかもしれませんね。ボストリッジあたりでしょうか。

キャサリン・ヘップバーンは好きな女優ですがクララ役は意外な気がしますね。BS名画で放映してくれたら嬉しいのですが。ヘルマン・プライの「冬の旅」LPいまだに持っています。もうしばらく聴いてませんけど、、懐かしい。

R.Mさま
わたしも初めはミスキヤストかと思ったのですが、それほどの違和感はありませんでした。ピアノを弾く姿の全身を映す場面がたくさんあるのですが、指の動きがとても巧みで、彼女、弾けるひとなのでは、とさえ思いました。
ネットで調べてみたら、本物のクララはマリア・シエルに似た美人にみえました。

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