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2012年9月13日 (木)

『ジョルダーニ家の人々』を観る

上映時間六時間半余にもおよぶこの大作をすでに観たという、友人やイタリア語のクラスメートに、どう?よかった?と訊くと、一様に「う~ん…」と言ったきり、はっきりした応えが返らないので、迷いがあったのだが、新聞や雑誌の批評は意外にも絶賛しているので、やはり観るべきかな、と出かけることにした。
午後一時半から三回の休憩を含めて、終了は九時十分、目薬と夕食用のおにぎりを持参。
客席は七分の入り、休憩になると、疲れますね、やっぱり、と知らない人同士が会話している。

物語はすべてに満ち足りているジョルダーニ家の四人の子供のうち高校生の末息子が事故死してからの一家の変貌を描く。母親は精神を病み療養、父は逃れるように外国勤務、長男は外務省勤務だが、ゲイで、カウンセラーをしている長女のところで知り合ったフランス人男性と同居しはじめ、カウンセラーの長女も一児がありながら、患者のアフガニスタン帰還将校に惹かれ、家庭が危うくなっている。物語の主役は次男の建築志望の学生ニーノ、彼だけが父親の不倫を知っているが、家族の崩壊に目をそむけず、立ち向かおうとする。そして密入国難民の一斉検挙のときにかかわることになったクルド人女性シャーバをかくまい、行方不明の彼女の娘を外務省の兄に力を借りて探し出そうと力を尽くす。

家族の結束の固さこそがこれまでのイタリア映画の要であったのに、この映画はそれをくつがえし、家族の崩壊から国境を越えた人情の追求へと発展し、この映画の原題である。『残りゆくもの』を探ろうとする。
その視点は素晴らしかったが、あまりに広範になりすぎて、描ききれていなかったと感じた。重厚さに欠ける。深くこころを揺るがす感動がないのだ。
たとえば、ゲイの相手であるフランス人男性には薬物中毒の妻がいて、女の子を引き取ることになる。その彼が死病を患い、女の子はジョルダーニ家の長男が引き取ってみんなで面倒をみることになるのだが、非常に深刻な状況にもかかわらず、女の子は美少女でみなに愛され幸せそのもののように描かれている。そんなに都合よく問題なくうまくいくものであろうか、人生は?
カウンセラーの長女は夫にもう愛情がなくなったと打ち明ける。カウンセラーともあろうものが、そこまでいくのに、葛藤があったであろうに、安易に逃げてしまうのか、と疑問がうかぶ。
つまり映像の後ろ側にある背景までしっかり設定されて脚本ができていないと、観る者のこころはつかめないということだ。

同じ六時間余の大作『輝ける青春』はイタリア史をたどりながらの、37年の家族の年代記であった。その家族と一緒に人生の旅をしているような臨場感に満ちていたという記憶がある。自国の歴史や出来事がしっかり描かれていたからこそ、感動も深かった。

“残りゆくもの”は心の中に持ちつづけてゆく奥深い感情であって、兄弟愛、平等、自由、扶助、知、認識のような…と、脚本家は語っている。
申し分ないテーマだけに、この物足りなさが残念であった。
唯一収穫は難民や外国人の話すイタリア語が多かったので、今回は会話の聞きとりがしやすく、何よりのイタリア語の勉強になったということである。

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コメント

前回に続き今回も映画の解説。
毎週新聞に出てる映画評論より詳しく書かれていて、
学生時代には相当に英米文学(これは私の想像ですが・・・)を
研究されたのだと一人納得しています。
「小森のおばちゃま」より分析的です。
それに俳優、女優、監督までよく知っておられて、これなら映画が
楽しいだろうなと思います。
私は外国人の顔がみんな似ていて判物に苦しみます・・(´゚Д゚`;)。

上映時間6時間半。なかなか入場の決心がつかない数字ですが、
映画好きの方ならたまらないでしょうね。
あらすじを読むと観てみたいなと思いますが。

ちゃぐままさん
何しろ映画が唯一の娯楽だったころに育っているので、家でもヴィデオを観たり、よい映画だけは劇場に出かけたり、楽しみは尽きません。

暑い暑い東京にうんざりしていた頃、八月半ばからBoston 近辺に行く用事が有り、湿度の少ない夏を過ごして帰宅したら、まだまだもわ〜〜んとした蒸し暑さから逃げたくなる今日この頃でした。
六間半の映画! お元気です!!!
 

れいこさん
Bostonとはいいところにいらっしゃいましたね。『森の生活』を思い出します。
六時間半はやっぱり長かったです。一番困ったのは首の置き場所、椅子の背が低いので、首が疲れて、上半身を低くして、首を背もたれに預けると今度は腰が痛くなるというふうで、往生しました。

海外旅行のフライト並みの長さですから、フライト用の空気枕とかクッション持参がいいかも知れませんね。 そんなに長い映画を一気に見るのは、並の体力ではできません。 手作り野菜ジュースが効いているのですね! 私、缶V8です。。。だからか、春から喉の圧迫感が治りません。更年期症状と言う人がいますが、皆様如何かと。。。
Bostonの北のAndover 神学校が昔有った所、(記憶にありますよね?)そこのチャペルでの結婚式に出席して、感慨深かったです。 それからマサチューセッツの西のはずれの美術館を二つ見て来ました。 タングルウッドに近い所です。 Boston Tea Party, Hawthorne, Emerson等々、英文科には懐かしい場所ですから、親しみ感じます! 
ますますお元気で!!! 楽しく読ませて頂いて居りますので。

れいこさん
夏になってもノドの具合がおかしいという人が多いようですね。ともかくこの暑さは異常です。夏の疲れがとれるまでだいぶかかりそう。と、なると、冬仕度はもうすぐになってしまいますね。

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