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2012年3月11日 (日)

奇しくも

東日本大震災が起きた3月11日という日はわたしたち夫婦の結婚記念日でもある。
そして、あれから一年経ったきょうのこの日、3月11日は結婚五十周年すなわち金婚式に当たる。

思い返してみると、二人とも、大病こそしなかったが、乗り越えなければならない、試練を潜り抜けてきた。
結婚七年目にアメリカ駐在が決まり、まだ円が365円というときに、見るのも聞くのも初めてのことばかりというアメリカ生活を四年過ごした。ここで自立の精神を体得し、帰国してから仕事についた。日本語教師十年、小説の翻訳十年。夫も名古屋での単身赴任が二度、週末戻ってきて、またトンボ返りという生活を経験する。
そのころ銀婚式だったはずなのだが、祝いをしたという記憶が欠落している。お互いよほど忙しくしていたのだろう。

娘が自分で探してきたひとと結婚、そして三年後、三歳、一歳の息子と娘を残して、婿が急逝。

実母と義母が介護を要する生活に入る。孫たちが週末を我が家で過ごすという生活がおよそ十年続く。介護食、幼児たち向け、大人用、三種の食事を調理する日々でもあった。

母たちを送り、孫たちの世話もなくなったころ、わたしはイタリアと出会ったのだが、三年まえ、大きな古い家を維持することが経済的にも困難になり、三分の二を売却し、残りの三分の一に、義父や義母が大切にしてきたこの土地の良さを生かせるような家を建てることで、新生活に切り替える決心をする。
七十を過ぎて二度の引越し、義父や義母が遺した大量のモノの処分、この作業が身体の苦痛も含めて一番難儀な、老後の大仕事だった。

きょうのこの日、夫と二人、帝国ホテルで夕食を共にした。シャンパンのグラスを掲げたスナップを、ボーイさんが撮ってくれて、すぐに祝いのカードと共にプレゼントしてくれた。
選んだメニューは、わたしがコンソメスープ、夫はオニオングラタン、二人の好みがめずらしく一致してシーザーサラダとシャリアピンステーキ、コーヒー、プディング。

結婚五十年なんて、どんなにジイサン、バアサンになっているのかと想像していたわりには、わたしたちは元気だと言える。そしてお互い、いたわりながら、できるかぎり長く、日々の暮らしを自立して過ごすことを続けたいと願っているのである。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

結婚50周年、おめでとうございます♪~q(^-^q) q(^0^)p (p^-^)p~♪
すごく重たい、貴重な50という数字。やはり金色に輝いて見えます。

イタリアでホームステイという美しい花を咲かされた土壌の事を思っています。
素敵な花を咲かせるためには固い土に鍬を入れ、石ころを取り除き、土を砕き、
いろいろな肥料を入れなければなりません。時には殺虫剤も撒かなければ
なりません。そうして手を入れた後にきれいな花が咲きます。
cannellaさんの今は土壌と花の関係なのだと、そんな風に思いました。
決して花の部分だけ見て羨んではいけないと。

帝国ホテルの素敵な晩餐、よかったですね~o(^-^)o 
スナップがアップされなくて残念です。
これからもますますお元気でいてください。「金」は錆びることはありませんから。

左の写真は花屋さんですね。日替わりの写真が、ちょっと小さいけど楽しみです。

先ほどのコメントは正常に届きましたか?
ちょっとマウスが動いて変なアップになったのではと気になっています。

チャグママさん
優秀なブログ作者のあなたからの何よりのコメント、ブログ書き冥利に尽きます。
お言葉の豪華な花束をいただいた気分です。
ありがとうございました。

プロフィルの写真はアムステルダムの路上の生花店、ここでも旅行への花束をもらった気分の一瞬でした。

イタリア旅行記も楽しく読ませていただきました。 50周年記念おめでとうございます。 今年、結婚6年目の私たちはまだ未熟者です。 50年の月日は長いようで、意外と早いのではないかなぁなんて思います。

これからも、お二人ともお元気でいてください!

SEIKOさま
コメントありがとうございます。ご結婚六年、お若い!!でもブログ歴では大先輩ですね。
野菜の芽の間引きも躊躇なさるお優しいあなた、素晴らしい人生は約束されていると思います。

金婚式おめでとうございます♪
ちなみに我が家は今年の5月でスイートテンというヤツであります。
よきセンパイを見習って(含、反面教師 ← 冗談ですよ!)、仲良く暮らして行きたいと思っております。

そうそう、イタリア紀行も楽しく読ませていただきました。
これからも無理せず頑張っていただき、ワシとは違う視点での記事をお願いしたいと思います。

“人生下り坂サイコー!”って火野正平さんが自転車で走りながら叫んでいた言葉です。
そう、下り坂っていいですねぇ。ゆっくり降りて行きましょうよ。
階段にも手摺をつけて。

我が家も間もなく結婚47年。まあ・・・よくもった。「3ヶ月もたへん」って言った人もいたのですが。は・は・は・・・どちらがたくさん我慢したのでしょうか???

ともぞ~さん
ありがとうございます。スマホやfacebookや世界をますます広げていらっしゃるお二人のご生活、うらやましいばかりです。
おいしいものをすべて制覇なさりそうですね。

ayaさん
歳相応の過ごし方についてはまだ学習中です。

山口さま
長く連れ添うということは大仕事です。ほんとに。

暫くぶりに拝見しました。
素晴しい!!の一言です。 感動しました。
イタリア一人旅。。。に行かせて下さるご主人様も素晴しい!!
そして、金婚式。。。お二人でお元気で迎えられた事、本当に良かったですね!

cannellaさんもアメリカ暮らしを4年間もなさったのですね!
360円/ドルの時代は、大変でしたでしょう? 私は220円の時代にNYで暮らしました。
学生でしたから、生活はキツかったですが、楽しかったし、今有るのはその経験が有るからと思えます。若い時にアメリカ暮らしをすると、人生観が変わりますよね。
そのバイタリティーと好奇心の強さと人生を楽しむ生き方に乾杯です!!!
海外旅行は、心がリフレッシュして、とてもいいです。時々行きたくなります。
しかも、帰る家が東京に有るのがいいのですね!! 私も同感です。

本当にそこに同席している様な感覚を味わえる文章に、自分磨きをしなくてはと啓発されました。
有り難うございます。いつまでも続けて頂きたいです。

れいこさま
お心のこもったコメントうれしく、ありがたく拝見しました。
あなたも円安のころのご留学だったのですね。それだけに今とは比較にならないほどの貴重なチャンスのときのアメリカ生活を経験なさったわけで、わたくしも順応に励みましたが、アメリカもそれに応えるに十分の素晴らしさに満ちていたと、今になって思います。一昨年再訪したとき、その魅力が褪せていたのを哀しく思いました。

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