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2012年2月27日 (月)

スカラ座『ホフマン物語』

スカラ座に行くからといってさほど気取ることはない。ミラノファッションの中で恥ずかしくないように、日本人にしかできないおしゃれをする。古代紫できめた。
着物地のような細かいプリーツのある絹のジャケット、同系色の薄い紫のスカーフを首に巻き、花束の形になったパールのブローチを襟元にとめ、黒のシルクのパンツ。
ななめがけのバッグは義母の形見の帯からつくったもの、紫の紐飾りがついたグレイやブルーの銅鏡模様の日本刺繍が施されている。

タクシーで開場二十分まえぐらいに着き、寒空、外で待てないので、トラサルディのバールでコーヒーを。スカラ座は改築のとき観客が屋内で待てるようには設計できなかったのだろうか。日本のホールの親切な設計プランをなつかしく思う。
席は平土間、前から十番目の左より、先回は二階のパルコ席だったが、やはり一階は見通しが違う。
プロローグのあの重々しい序曲があっけないくらいに軽やかに始まった。舞台も余計なものはすべて取り去った、モダンなつくり、端から端までバーカウンターが広がっていて、その向こうとこちらでアリアの交歓。
ホフマンの四つの恋物語、わたしの一番好きなアントニアの場面だけが、意表をついた二階建て、下が空のオーケストラボックス、上が月夜の庭園。階下で歌うときは、持参のオペラグラスでのぞいても、歌手の表情が陰になって見にくい。恋路を邪魔する悪魔四役、全てスーツ姿なのが物足りない。パルマで見たとき、白のロングガウンに長い爪の真っ赤な手袋をはめて登場したドクター・ミラクル役の名バリトン、ミケーレ・ペルトゥージを思い出す。
それでもホフマン役のヴァルガスを初め、歌手はいずれも遜色なく好演、端役ながら、アントニアの場面の召使フランツのアリアが表情に富んでいて素晴らしく、ブラボーの声がとんだ。003

休憩は二度、四十分と三十分、一度だけバールでジュースを飲み、スイーツも買いバッグに入れる。
舟歌で有名なヴェネチアの場面は薄地のカーテンに客席の映像を写し、それをゆらゆら動かすというもの、ゴンドラも水辺も出ない、ちょっと不満。スカラ座は『ドン・ジョヴァンニ』のときもこの種の映像を沢山使っていたが、クラシックな舞台をこの手法でモダンに切り替えようとしているのだろうか。
エピローグは公演ごとに演出の解釈が異なるが、今回、ミューズの女神とホフマンが連れ立って立ち去る場面はホフマンの立ち直る姿が良く象徴されていて、納得できた。
すでに発表されている批評によると、モーツアルト的に演出したのが成功していると書かれてあった。ホフマンをモダンに解釈してこのように仕上げたのは、全体として見れば、さすがスカラ座だと思わせるものはあった。
最初のカーテンコールだけ見て、すぐ劇場を出、タクシーに乗って無事ホテルに戻る。

Eからメッセージ、明日のマントヴァ、キャンセル、ちょっとほっとする。延々四時間の観劇のあと、明日はゆっくり休息したい。
最終日はEのアパートで日本料理をつくってほしいとの依頼が付け加えられていた。


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コメント

ホフマン物語の幕開けを待っていました!
今回の主目的というだけあって、下調べも、衣装もさすがですね。
観劇衣装の古代紫、シルク、帯地のバッグ、アクセサリー…何もかもが
素敵でミラノにふさわしい衣装ですね。
せめて写真が見たかったです~。ほかの人にも参考になると思います。
長い休息時間も含めてすべてがオペラタイム。
以前見たものと比較をしながら、本当に充実した時間でしたね。
私が初めて見たヨーロッパの石造りの殿堂がミラノのスカラ座でした。
圧倒されました。ここでどんな人がオペラを観るのだろうと思ったのは
ツアー客の悲しい感想ですね。
ツゥーランドットを日本で見た時にやはり舞台が現代的でちょっと物足り
なかったし、ウィーンのオペラ座で見た「ユダヤの女」も舞台が簡素で
がっかりしました。
絵画もオペラも「現代」的に解釈するようになったのでしょうか。
明日の日本料理、楽しみです。

コメントするのを忘れましたが、「プロフィール」の下の写真が
毎回変わって楽しみです。
ひょっとしたらオペラ座へのドレスのアップもあるかもo(^-^)o 

チャグママさん
オペラは総合芸術と言われますが、舞台美術や演出は歌唱力を左右するほど大きな影響があるように思われます。その意味で、わたしには七年まえに観たパルマ、テアトロ・レッジオでのクラシックそのものの舞台が忘れられないのです。

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