まさかの出来事
その日の朝、夫はいらいらしていた。マージャンの約束があるのに寝坊をしたのだ。朝風呂に入ろうとしたら、わたしがシャワーを使っていたのが、また間が悪かった。
出かけるとき、玄関まで見送って、こういうときこそ、転ばないように、せかせか歩いたりしないでねと言って送り出し、一息ついたら、おーい、という声がしたのだ。
えっつ? どうして呼んでるのかしら、ドアを開けて仰天した。
四段ほどある浅い階段のアプローチの下に、仰向けになって倒れている!!
彼は近頃、座りこむとひとりで起き上がるのがむずかしいのだが、カエルが仰向けになって起き上がれないでいるみたいに、もがけども、どうにもならないのだった。
ともかく頭をささえ、つかまりどころを探し、やっと起き上がらせながら、思った。これは大変なことになったかも知れない…
それなのに、立ち上がると、すぐ、すたすた歩き出してしまったのだ。
わたしは薄着で飛び出したので、ともかくコートを着てこようと家に戻り、あとを追いかけてみたが、もう姿がなかった。
携帯も通じず、不安でならない。マージャンクラブの名も知らない。夫のデスクまわりを探しまくってマージャン仲間の同級生の電話をつきとめた。
無事着いたと言う知らせがあってから、六時ごろまでゲームをしたらしい。わき腹に痛みがあると知らせがあったので、診療時間が六時半までという整形外科に電話し頼みこみ、受付してもらい、保険証を持って医院の入り口で、タクシーに乗ってくる夫を待った。
数枚のレントゲンは異常を示さなかった。医師が一番心配した尿の出血も見られなかった。推量では肋骨にひびが入っているのではないか、ということだが、現在は大きく息を吸ったり、大声を出したり、くしゃみをしたりすると痛みが走るほかは、歩行などに影響もなく、外出を減らす程度でいられる。
新しい家というのはどんなによく設計されていても一年ぐらい住みこなしてみないと、未然に防ぎようもないすきがある。それを夫が身を犠牲にして教えてくれたようなものだ。
わたしの方は翌日、カトリック教会の葬儀と、夜のイタリア語レッスンに出たあと、鼻水とクシャミの風邪になり、とうとう身体が悲鳴を上げてしまった。
もうどうにでもなれ、と、覚悟がすわった状態で目下ベッドの中である。
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