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2011年5月23日 (月)

味の正義派

上野で女流の美術展を見たあと、二年ぶりで会った旧友のS子と昼食を食べようということになった。
芸大の前を通りかかったら、ホテルオークラのカフェがあるのだ。
ここなら味に間違いはないわね、ということで、二人して同じオーダー、ハヤシライスを食べた。
すぐに顔を見合わせる。
なに、これっつ、甘すぎるね。
ホテルのだったら、こんなことないわ。ここ出店だからよ、きっと。とS子。
 このごろ、いろんなとこでがっかりしてる。
そうそう、鳥ぎんもまずくなった。
 資生堂パーラーでね、いつかピラフ頼んだのよ、そしたら、ごはんの塊があるじゃない。
 ピラフって、ごはんがパラパラであるべきなのにさ。だから帰るとき、アタシ、言った
 のよ、せっかく期待したのに、がっかりしたわ、かたまりがあったわよ、これなら私が
 作るほうがおいしい、って。娘が一緒だったんだけどね。すご~く恥ずかしそうな顔し
 てた。
そりゃ、お嬢さんの前で言っちゃだめよ。わたしたちだけの話よ。こういうのは。
 まだおいしかったときの味おぼえてるからね。

近頃、外食して満足したことがあまりない。
ほんもののマッサージじゃなく、マッサージチェアで間にあわせてるみたいな後味なのだ。
気が入っていないのである。
おいしくなあれ、おいしくなあれ、という気合がなく、惰性でつくってるみたいな。

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コメント

数年前からうちの両親も同じようなことを言います。
どこへ行っても「もっと前はおいしかったのに・・・」と文句じみたことを
言われると、ちょっとむか~っとします。確かにそうなんでしょうが。
でも、きっと思い出は美しく見えるので、味も美化されているのではとも思うのです。

味が落ちたのは残念なことですが、「昔は良かったのに」と嘆いても仕方がないので、
しぶしぶ受け入れるか、もう二度と行かないしかないでしょうね。
多分後者のほうが多いのでしょうか。

きっといづれ自分もそうなるのだろうな、と思っています。
だからこそ、「ああ、昔と変わらない味!」の喜びはひとしおですよね。

へこたんさん
コメントありがとうございます。老舗の味の存在感が薄れたというのは確かのようなのですが、あまり外食をしないでいて、自分の味に慣れ親しみすぎた、狭量さもあるかも知れず、とも言えます。

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