村のイベント
夫妻の村の別荘はご主人の実家だったところだそうで、石造りの広壮な二階家。
ゆったりしたベッドルームが5室、好きなところを選んでいいというので、食堂とバスルームに隣接する小さめの部屋にする。
バスルームと言っても狭いシャワーだけ。
シャンプーもむずかしそう。
一階のサロンは広いのに、ものが雑多におかれていて、くつろぐ場所ではなくなっている。以前は立派に機能していた家なのだろうが、この妻のほうが年上の72歳と70歳の夫婦、生活そのものに疲れがただよっている様子が見えはじめた。
奥さんはそれでも主婦業の食の部分はまだしっかりやっていて、具沢山のミネストローネやミラノ風リゾット、チキンの煮込みなど、味のよいものを億劫がらず作りだし、後片付けも手伝いを拒否して、手早くすます。
翌日は村のイベント、スポーツ競技や、手作りの物産の即売会、ワインはその即売会のほうに出品するので、早朝から運搬に忙しい。
それなのに、ひっきりなしにかかってくる電話に出るとしゃべりだしてとまらない奥さんにいらいらして、ご主人はついに怒りを爆発させ、見ていて気の毒になってしまった。
車で十分のところにある村で唯一のレストランの中庭が会場。
テントの中で、手作りチーズ、石鹸、オリーブオイル、パスタソースにする瓶詰め類、骨董道具類、バスケット類、菓子類などの店が並ぶ。
彼らのワインの出店だけはテントの外のレストランの入り口で、ちょっと不遇な気がした。
青いユニホームのチアガール三人があまり上手とは言えないバトン演技を披露。
そのあと、思いがけなく初老の紳士が近づいてきて、わたしにインタビューしたいと申し出た。
地方新聞記者だという。奥さんが通訳してくれて、今回の地震、津波のことを英語まじりのイタリア語で語らされるはめになった。
時差ボケ頭はうまく回転せず、聞き取りもむずかしく、イタリア語の限界を感じつつ、東京で経験したこと、半世紀以上まえに人災である、戦争で焦土に立ちすくんでから、日本は見事に復興した。今回は未曾有の天災であるが、耐えて立ちあがれる日本の力を信じたい、というようなことを話したように思う。
彼はうなずき、これがヨーロッパに起きていたら、人々は立ち上がれないと言った。
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