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2011年2月20日 (日)

『シェルシーカーズ』読了

ロザムンド・ピルチャー著『シェルシーカーズ』(朔北社)をようやく読み終わった。
上下巻合わせて800ページ以上になるハードカバーの大作。
16年まえに出版されてから全世界で500万部も売れたという超ベストセラーの存在をわたしは知らなかった。
合わせて4944円もするこの本、自分では買わなかっただろう。
「読み終わるのが惜しいくらいです」と言って貸してくれた、Aさんに深く感謝。
ヒロイン、ペネラピは64歳、同年代のAさんの感情移入はひとしおだったと思う。
高名な画家の一人娘ペネラピが亡き父の『シェルシーカーズ(貝を拾う子供たち)』という傑作とパネルや下絵を所有しているために、絵の売却をめぐって子供たちと確執が発生、舞台はコッツウォルズ、コーンワル、ロンドンに広がり、ヒロインの回想で第二次世界大戦時下のイギリスの苦難状況がまざまざと映し出される。
代用食、灯火管制、食用の野草採集、衣料切符、など、戦争体験者のわたしの記憶もよみがえり、あのころの苦労はイギリスも同じだったのだと、親しみさえおぼえた。
自然が織りなす四季、日々の暮らし、家事、そしてそれに伴う感情、心理の細密なまでの描写が、深く心に染み入る。
作者と同い歳の中村妙子さんという名訳者を得て、翻訳本だとは思えぬほどに臨場感あふれる読書を楽しむことができた。
これを書いたときの作者が正しくヒロインと同じ64歳、そしてこれを訳したときの中村さんは現在の私の年代72歳である。
翻訳者冥利につきる作品だったと想像できるが、大仕事であったに違いない。
各章が登場人物の名前のタイトル、なにしろ大長編なので、だれがだれやら忘れがちになるのだが、Aさんの鉛筆メモ、が助けてくれた。
「親が子どもに遺すことができる最大の贈り物は、親自身の自立だと思っているのよ」というヒロインの言葉、「おそらくすべての人間は、自分の母親が世を去るまでは完全な大人になりきっていないのかもしれない」など、忘れがたい文章が沢山ある

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コメント

あんまり上手に伝えているので、早速読んでみたくなり、図書館に予約を入れました。
この訳者は愛犬が死んだ時買った絵本『いぬはてんごくで・・・』シンシア・ライラントの訳者と同じ人でした。
色々分ってありがとう。本が到着するのが楽しみです。

あなたならきっとこの本の魅力をわかってくださると信じます。
毎晩寝る前に読んでたのですが、本を閉じるのが惜しくてついつい二時ごろまで読んでしまったことも。
寝不足ご用心ください。

まぁ!寝るのを惜しんで読める本に出会えるのは幸せなことです。
私も本が大好きなのでわかります。ケン・フォレットの「大聖堂」もそうでした。
せっかちなのでつい最後のページをのぞきたくなるのが困りますが。
ご紹介の本も「いつか読みたい本」リストに入れておきましょう。
意外と早く読む日がやってきそうな気もします。

へこたんさん
ロンドンに住んでいらっしゃったあなたなら、
joy of recognitionいっぱいの読書になると思います。
ジェーン・オースティン、ブロンテ姉妹、デュ・モーリアに
続く女性作家の伝統、いまも息づいているのが
うれしくなります。

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