2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
フォト
無料ブログはココログ

« ブログ用語に迷う | トップページ | 気が張りすぎて »

2010年11月19日 (金)

天に召されて

色とりどりの花に囲まれた遺影はとても72歳には見えなかった。

黒い豊かな髪、高齢のたるみのまったくないくっきりとした瞳。、襟ぐりのあいた華やかな色の夏のブラウスは、初めて知り合ったころの、四十代の彼女が好んでいた趣味のもの、告別式の憂いが消えそうになるほどに惹きつけられた。

天は二ぶつを与えずというが、二ぶつも三ぶつも与えられている、稀なひとだった。

美しく、賢く、いつも冷静で、取り乱したり、うろたえたりしたのを見たことがない。三十年前に国際婦人クラブで知り合ってから、学ぶことの多い交友だった。

彼女の英語は語彙も豊富で、外国人メンバーのまくしたてるような英語に、まったくひるむことのない堂々とした語りで、頼もしかった。英検の一級も、日本語教師検定も難なくパス。余暇でしていた、陶器の絵付けや、水彩画も立派なものだった。そして何よりも忘れがたいのは、家に招かれたときの美味な料理ともてなしである。

この八月に電話で話した時、余命二ヶ月と宣告されたと、淡々と語った。

告別式で焼香が済んだあと、列席した友人たちの話題となったのは、あの遺影が九月に撮られたということだった。

この世との別れが近いことを知りながら、撮った写真。それがこれほどまでに美しいとは、彼女の美学のエピローグと言えよう。

自己実現のまえに、結婚が課題であった、わたしたちの時代の終わりがだんだんと近づいてきている。

« ブログ用語に迷う | トップページ | 気が張りすぎて »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/565431/50075472

この記事へのトラックバック一覧です: 天に召されて:

« ブログ用語に迷う | トップページ | 気が張りすぎて »