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2017年8月17日 (木)

定年はまだまだ・・・

久しぶりにゆっくり書店を見回る時間ができて、ふと、手にした『明日の友』という雑誌をぱらぱらとめくっていたら、「女性の八十前後は調理定年だと思う・・・」という樋口恵子氏の言葉に、はっとした。確かに思い当ることが・・・体調が悪い日など、調理がまったく、手につかないときもあるからだ。

実母は確かこのころ、大腿骨骨折で、手術したし、義母の方は、クリスマス、新年の諸行事、家族の誕生会など、すべて手のかかることを「あなたにお任せするわ」と言って、二階で生活するようになっていた。

でも今八十五歳の夫は、元気で、家事を手伝ってくれるし、料理の腕もいいので、レシピを選んで、任せても、わたしより見事に仕上げることもある。

人それぞれということだろう。わたしは、しかし今を、まだ定年にしたくはない・・・などと思いながら、『暮らしの手帖』のページをめくったら、これ、つくってみたい、というレシピ数点を見つけてしまった。

雑誌は美容院かホームドクターの待合室で見ることに決めていたようなこのごろだったのに、この日は『明日の友』と『暮らしの手帖』の二冊を買い求めることとなった。

テレビでこの夏はスパイスでのりきろう、というような番組があったけれど、スパイス好きのわたし、『暮らしの手帖』のコーンライスと、シイタケとズッキーニのスパイスいためが気に入ったのである。コーンは中華風いためもの、ポタージュスープ、コーンチャウダーなどよくつくるが、ごはんとの組み合わせ、まさに知りたかったものだった。ローリエ、クローブ、塩、油、トウガラシなど入れ、そこにターメリックをふりかけてご飯を炊き、むらすときにそいでおいたコーンを入れるという手順、ズッキーニはじっくりいためて、クミンシード、塩、ガラムマサラをふりかける。シイタケはソテーしてクミンシードをふりかける。メインはスズキのスパイスソテーなのだが、夫が魚嫌いなので、ささみのフライに変えた。
コーンライスはおいしかった。野菜たちも。002_2


このほか生トマトのガスパチョ、豚肉としらたきの煮物など、好レシピの収穫があり、この雑誌を買ってよかったと思った。

2017年8月14日 (月)

ようやく咲いた

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二か月まえに阿佐ヶ谷で買ったユウガオの苗、十倍ぐらいに伸びて蕾がつき、ようやく開花した。
花も美しい白色だが、これこそ芳香というのか、やさしくて、清らかな香りがする。

母がいまのわたしくらいのとき、ユウガオが咲いたと大喜びだったのが今ならわかる。

きのう、日本映画専門チャンネルで『わが母の記』という映画を観た。井上靖の私小説の映画化であるが、出演者もすべて適役、名演技、場面展開が見事、最後まで目をくぎ付けにして観入ったのだが、「父が亡くなってから、何でもないふとした瞬間に、自分の中に父がいるような気がする・・・」という文章があって、惹かれた。
私のこのごろは、そのような瞬間がしきりとある。

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朝になっても、花はまだしぼまない。まだ六個ぐらい蕾がついている。
この花たちが芳香をくれ、酷暑をのりきる力をくれることだろう。

2017年8月11日 (金)

『potage』で

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週一度ブリッジトーナメントに行く日の夜は、一人ご飯で外食することにしている。

ブリッジクラブは、高田馬場とか東中野とか、場所がきまっているので、行きつけのイタリアレストランなどもあるのだけれど、このごろ気に入って立ち寄るのは、奥沢駅徒歩三分にある、スープ専門の『potage』 。
ここは娘からの情報だったのだが、ランチがおいしいというので、出かけたら満席、あきらめてしばらく立ち寄らないでいた。

ところがふと思いついて、夕食はどうなのだろうと、六時まえにのぞいたら、シェフを独占できる贅沢なひとときを持つことができたのである。

三度目の先日、二度ほどレンズマメスープだったので、カブのスープ、いつものように野菜マリネや、ラタトーユなど添えてもらって、パンはお気に入りこの店が焼いているブドウパン、それと自家製のリンゴ酢ジュース。
野菜メインの店なので、肉っけなしだから、物足りない人もいるかもしれないが、高齢のわたしには、量といい、味といい、スパイスの効いた付け合せといい、ほのかな甘みが好ましいジュースを飲みながらの、一揃いは、満点なのである。

シェフとの話も楽しい。
恥をしのんで、小麦粉にムシがついた話をしたら、彼はにこやかに笑って、うっかり使わないでいると、ムシってわくもんなんですよ。そもそもどんな小麦粉にも卵がついている可能性はあるわけで、それが条件に合うと孵化しちゃうんだから・・・というような話をしてくれて、要はコンテイナーには一回分くらいの少量をいれておいて、よくとりかえる。ぼくはこうしています、といって粉系が全部袋入りで入っているバスケットを見せてくれた。
スパイスの話でも盛り上がった。タイムや、セージや、オレガノ、クミンのことなど・・・

肉っけなしで、とても心地よい満腹感を持てる幸せを感じながら、店を出る。
朝食も好評らしく、八時から開いているというので、次はそれを試そうかと思っている。


2017年8月 9日 (水)

暮らしの変化

7月は我が家に人の出入りが頻繁にあった。
カーテンのはずしと取り付けにシルバーセンターの人を頼んだことに加え、家事労働も新しいひとを頼むことになったからである。
二十年近くも月に二度掃除その他の家事を手伝ってくれていたSさんが足の手術をしたので、替わりのひとを探さなくてはならなくなった。

ネット検索してみたら、家事や料理をパートでしてくれる「タスカジ」という会社が便利そうだったので、登録してみようかと思ったのだが、プラウザを変えねばならず、それにはリスクがありそうに思われたので、また夫のケアマネさんに相談して、情報をもらい、慣れたところで再びシルバーセンターから比較的近くに住むひとに来てもらうことになった。

七十代はじめかと思われるHさんは百円ショップの売れ筋、メラミンスポンジキューブを片手にあらわれた。これ、水でしぼってこするとなんでも落ちるんですよ、と、普段見過ごしている、敷居のすみのゴミまできれいにしてくれる。
その威力については友人から聞いたことがあったのだけれど、自分で試したことはなかった。実際に目にしてみて、それでは、と自分で使ってみていまやみつきになっている。
ちょうど、粉や砂糖、パン粉などの食材を入れておくコンテイナーの粉の引出しにムシがついてしまって、二年ぶりくらいに全部洗って、おいてあった周辺も全部きれいにしなければならなくなったので、それを駆使して完了した。
彼女はまた植物の世話にもくわしく、いまどんどんツルをのばしている夕顔を見ながら壁をはわすようにしたら、よく咲いたという話を聞かせてくれたので、上に向かってどんどんのびるツルの始末に困っていたのだけれど、それをヒントに、後ろのモッコウバラを這わすようにしたら、うまく解決した。

それと、あと、どこか体操に定期的に通うことはできないかと、これもケアマネ―さんに相談したら、通所で介護保険適用がOKされて、週一度、お迎えつきのデイケアの体操に通い始めている。

いろいろなひとの助けを借り、自分の暮らしを少しでも楽にしながら、健康を保つための努力もこころがけ、なんとか、この酷暑をのりきれれば、と願っている。

2017年8月 1日 (火)

たかがカーテン、されど・・・・

階下のトイレの窓に薄地のカーテンがついているのだが、その裾がほどけて、芯になっていたコードが二か所もぶらりと下がっているのを、気にしながら、一年以上も放ってあった。一日の家事を終えることで手一杯で、余分なことをするひまが持てなかったからである。
洗濯をしたあと、すぐ、ヨッコラショと、腰をおろしてしまう。洗い物をしたあともそう。
すべての仕事に余分な時間がかかるようになっている。
おしゃれにだけは積極的で、何を着ていこうかと、ファッションショーをしてみるのだけれど、あとの片づけが手間取り、元のところに服を戻し終わって、またヨッコラショ。
そんな毎日なので、以前は進んでしていた手仕事など、する気にもなれず、裁縫箱を出すのが億劫、針に糸を通すのが更に億劫だから、カーテン直しまでに至らないというわけなのであった。

七月の比較的涼しいある日、一大決心をしてカーテンの裾直しをした。これが結構時間をとり、ほころびかけているところがふえていたりして、ヨッコラショを二度ぐらいして、洗剤を入れた水に漬けおき、真っ黒になった水におどろきつつ、手洗いを終え、乾かして、ようやく真っ白になったカーテンを付け直す。

何とさわやかになったことか。トイレに入る回数は多いから、そのたびに目をやって幸せ気分になる。

こんなにも気分がよくなるなら、思い切って部屋全部のカーテンも洗濯しようと決心したものの、背のとどかないところに、脚立を出す勇気はない。ふらふらしそうで膝のあやしい身体に自信がないのだ。
夫の部屋はもう二年ぐらい、カーテンを洗濯していない。「オレのところはいいよ」と強く主張するので、素直に聞いていたけれど、この際、彼にも幸せ気分を味あわせたいと切に思った。
カーテンはずし、と付け直しを安価に、かつ誠実にしてくれるところ、夫にいつも最良のアドヴァイスをくれる優秀なケアマネージャーさんにも相談して、シルバー人材センターの情報を知り、電話した。
思いのほか早く六十代後半とおぼしき男性が来てくれた。洗濯は自室のものだけ自分でして、夫の部屋のはあまりにも汚れがひどいので、クリーニング店に頼んだ。
カーテンとりつけのときにはシルバーの男性は電話したその日に来てくれて、夫の部屋は二年ぶり見違えるように明るく美しくなった。

高齢になると今まで当たり前だった仕事が身体をかばうことで、思うようにできなくなる。そういうことにくわしい先輩に電話したら、「あなた、賢明だったわよ、私の同級生、脚立だして、それしようとして転倒して、入院しちゃったの。それ以来身体の不調が治ってないのよ」という話をしてくれた。
子供たちに頼めば来てくれるかもしれないが、あまりにも多忙な彼ら、すぐに、というわけにはいくまい。
おしゃれをするお金をそちらにまわしても、積極的に人を頼むべきだとつくづく思うこのごろである。

2017年7月27日 (木)

『ダウントン・アビー』終わる

日曜の楽しみが消えた。『ダウントン・アビー』が終了したからだ。Photo

第二次世界大戦をはさみ、変わりゆく貴族社会とそれを支える使用人たちの人間模様を
手際よく、丁寧に描いた、制作者であり、脚本家のジュリアン・フェロウズはさすがだったと思う。映画『ゴズフォード・パーク』でこのひとを知った。彼はこの作品でアカデミー賞を獲得したが、『ダウントン・・』でもエミー賞を受賞している。

貴族社会の日常とそこに渦巻くエピソードをよくこれほど、細やかにしかも、品格あるタッチで描けるものと、感嘆していたのだが、彼自身が外交官の子息で、伯爵令嬢と結婚し、その女性の家に男子がいなかったために相続のゴタゴタを経験し、ついには伯爵令嬢待遇の男爵の爵位を得たという経歴があると知って、納得がいった。Photo_2


俳優歴もあるという、ケンブリッジ出の秀才であるが、この写真、おつむは薄いけれど、顔立ちはご立派。お人柄もよさそうな気がする。ダウントンの上の階の伯爵一家は誇り高くあっても、下の階の使用人のひとりひとりに気遣いのできるひとたちであった。せりふの端々に人生の深みを感じさせるものがあり、場面転換の見事さ、エピソードづくりの巧みさ、日本の朝ドラの作者も、少しは学んでほしいものだと、思いつつ、目の離せぬ展開を楽しんだ。

好きな登場人物はメアリーの最初の夫マシューの母親イザベル、彼女と伯爵の母ヴァイオレットとの友情はとりわけ美しく描かれていた。身分違いをお互い意識することはあっても、それを超えた教養や誇りを尊敬しあっていることが心を打つせりふにあらわれていた。
デイジーと、バロウが最後にどうなるのか、目を離せなかったが、めでたし、めでたし、で安心した。あまりにすべてがめでたし過ぎたという気もしないではないが、ドラマは長ければ長いほど、後味がよいのがうれしい。そういうこともフェロウズは心得ているのだろう。Photo_3


この作品、できれば原語で聴きたかった。いまその不満をおぎなってもらうように、見とれているのがイマジカの『ブライズヘッドふたたび』、これで観るのは三回目、人間わすれることがあるので、何度みても細部に見落としていた珠玉のせりふなどを見つけて、退屈することはない。これまたイギリスドラマ必見の名作、ジュレミー・アイアンズ、ローレンス・オリヴィエやクレア・ブルームが美しい英語をひびかせて楽しませてくれる。Photo_4

2017年7月24日 (月)

旅の余話

帰途、健康村から上毛高原までの送迎サービスの車の中は、同年齢の女性の同乗者と二人だけだった。彼女はもう十数年、年に数回健康村を利用していて、いつも満足して帰ると話していた。
次の予約を紅葉の季節にしてきたので、わたしもこれからこの場所を訪れ続けるようになりそうだ、と思った。

個室にはトイレがないので、廊下を隔てて十数歩の場所まで歩かなければならなかったけれど、夜中に行くときもさほど不便を感じなかった。浴室は地下までエレベータまで降りて、そこから長廊下、ワンブロックぐらいの距離を歩いた先にあるのがちょっと遠いと感じたけれど、前回よりも膝の痛みは軽減していたのか、そういうことが苦にならずにいられたのは、こころが解放されている心地よさがあったからだと思う。朝風呂に入って髪をシャンプーする余裕も持てた。

旅の心地よさとは何なのだろう? 高級旅館やホテルに泊まりたいという気持ちは失せている。わたしの経済状態では一泊四、五万するような宿泊場所は自分が無理をしているという感じが否めないし、凝った料理に満足するかどうかも確かではなく、いかにも客サービスだけというマニュアル的親切は空しいだけである。
あるがままの自然が美しく、自分が無理をしないで溶け込める場所、それに加えて健康村の親切は心からのものだ。従業員の皆がここで働く喜びをいっぱいにして、対応してくれている。

川場村の道の駅、田園プラザでインゲンや、いまが旬のブルーベリーや、ラズベリー、フキノトウ入り味噌、シソジュースなどを買い込んだ。食生活が楽しくなってくるようなものを沢山、安価で求められる幸せもここにはある。ジュースは別便にしたけれど、あとのものはスーツケースに入れて、宅急便で送った。ほかに宿からユズ酒やリンゴ酒なども別便で送ってもらった。
スーツケースの宅急便が届いて、開けてみると、あら、大変、ラズベリーがドロドロになってしまって、汁がもれ、バジャマを汚し、次の敬語講義のために借りた図書館の本の表紙を染めてしまっていた。

衣類は漂白剤につけて、対処し、書籍は幸いビニールカバーがついていたので、ウエットティシュ―で消すことができたのだけれど、ブルーベリーは全く現物のままなのに、ラズベリーは冷凍ものだったのだろうか?
生の果実が一晩であんなにドロドロになるなんて、想像もしなかった自分をつくづく迂闊だったと悔やむばかりである。

2017年7月21日 (金)

世田谷健康村ふたたび

五月に予定を入れておいた世田谷健康村行き、夏の上毛高原はあまり涼しくないと聞いていたので、それほど期待せず、ただ三日間家事が休めれば、という程度で出掛けたのだけれど、よかった、来てみて。
涼しくはないが、空気はさわやか。遅咲きのアジサイが満開である。005

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今回はベッドの洋室があるという「なかのビレッジ」の方へ。内部のデザインがかなり凝っていて統一感が素晴らしく、エレベーター脇の窓から見える風景なども一番効果的なアングルをとらえていたりする。どちらの設計ですか?と訊いてみたら、坂倉設計事務所という応えに、やはり、と納得した。008

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着いたその日の夜、ホタルを見に行くプランがあるけど、参加しませんか、とさそわれ、二つ返事で、申込書に名前を記入。このまえホタルを見たのは三十年まえぐらいだろうか、アメリカの友人の庭に飛び交うホタル、あれ以来だ。010

で、そのホタル見物、参加者はわたしのほかに、大正生まれのご婦人二名、車で連れていかれた先は、十分ほどの田んぼの前、その晩は湿気が少なく風が吹いていたせいで、ホタルの数はすくなく、ぽつりぽつり、光り出した程度だったが、徐々に光り、飛ぶ姿を目で追うのにスリルがあり、あのアメリカの豪華版と対照的で、俳句が出てきそうないかにもはかなげな日本のホタル、の感動があった。

夕食は和食専門のシェフが限られた予算で川場の野菜をたっぷり使った自慢の料理が六品、お椀はなめこ汁だったり、とろろとキノコ汁だったり、それに夏目漱石糠漬けがつく、申し分のない味ばかり、一日目はゴマ豆腐、二日目はトマト豆腐、若鮎の塩焼きやビーフシチュー、ウナギ柳川鍋もおいしかった。028

川場のお米がいいので、朝食は和食にした。旅館のように凝り過ぎのものはなく、日本の朝食にこれだけは必要というものがこの味こそ、というつくりで出される満足がある。015


四季折々の花の寺としても有名な吉祥寺にも案内してもらった。本殿の庭には清流の滝も見られ、そこでお抹茶をいただいてしばし静寂に浸る。仏像がいろいろ保存されていたが、おだやかないいお顔の仏さまだった。016

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2017年7月17日 (月)

五十年まえの刺繍作品

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ベッドわきの壁にかけてある二枚の額、五十年まえアメリカのイリノイ州エヴァンストンに住み始めたときに、作った刺繍作品である。

到着したときは真冬真っただ中の十二月、0度C以下も頻繁にある寒い、寒い毎日だったが、家の中は半そででも平気なくらいのセントラルヒーティングにこの国の資源の豊かさを思い知らされたのだった。

ようやく子供たちを連れて外出できるくらいになって、出かけた公園で、すでに一年ぐらい前から駐在している日本人女性と知り合った。子供たちも同じ年ぐらいだったので、家を行き来するようになり、彼女が刺繍などの手芸の達人であることを知った。

刺繍のキットを売っている店に行きましょうとさそわれて、遠出をする。彼女はクロスステッチ名人だったが、わたしは単調な刺し方があまり好みではなく、もっと違う材料を探していた。
刺繍のキット、キットというのは一つの作品に必要な図案、布地、刺繍糸や針などすべてが袋に入っているセットのこと。
せっかくアメリカに来たのだから、思い出になるようなアメリカのものを、と探して、見つけたのがこの二作品、セーラムの港の風景と、フィラデルフィアの、アメリカ国旗を作ったと言われるベッツィ・ロスの家の図案。

額装は徒歩距離で行ける額装店に注文したのだが、実にふさわしい出来栄えだと、感嘆した。さすがアメリカ、色もサイズもそれを選ぶセンスをもっている店で、その後足しげく訪れることになった。

2017年7月10日 (月)

COOL JAPAN 上野特集

久しぶりにCool Japanを観た。十年以上にもなる長寿番組だが、日曜の六時台は
いつも忙しいので、つい観るのを忘れてしまう。
この日は「上野」が特集、これはぜひ観たいと思い、録画しておいた。
中学生のころ、親友が池之端に住んでいて、よく泊まりにいったりしていたので、不忍池界隈は本当になつかしいところである。その友人はすでに三十代で急逝してしまったのだが・・・

司会の鴻上尚史さんの仕切りぶりがいい。外国人ばかりの出演者にうむを言わせぬ貫録がある。
外国人の選ぶ上野のベストファイブ、五位はなんと上野東照宮、以前出かけたときはいつも工事中で中まで入った覚えもない。ところが修復工事が完成したこの場所、日光にも引けを取らぬ素晴らしさである。色鮮やかな動植物の彫刻、まばゆい金箔をふんだんに使った装飾、これはぜひ一度行かなければ、と思うけれど、このごろは上野と聞いただけで、交通のことを思い、シンドイと感じてしまう、年齢相応の弱りようである。
イタリア人のフラビオさん、聖なる場所をふんだんに実感させてくれるところ、イタリアの世界遺産と共通するものを日本のいたるところで歴史の重みと共に感じると、語っていた。
四位と三位は不忍池と動物園、池の中程にまで動物を移動させる橋などがあり、シロクマが水中に潜って戯れるさまを見られるようになっていたり、サル山があったり、いかに動物が居心地良く過ごすか、思いやりあふれる施設が感動的だと口々に発言する外国人出演者の優しさがうれしかった。
二位は国立博物館、私を案内してくれた下町生まれの日本通の友人のことを想った。彼女にどれほど、日本の良さを教えてもらったことか。谷中や、根津周辺、のお寺散策、まだ足がまともだったころに、沢山歩けたことは幸いだったと思いたい。いまは美術館歩きも積極的にならなくなっている。
 
一位は意外にもアメ横であった。大学生のころ、アメ横は、アメリカからの輸入品の宝庫だった。化粧品や、靴、アクセサリーなどを友人と連れ立って買いに行った。
いまのアメ横はアジアの食べものや、居酒屋などもひしめく、多国籍風のマーケット、威勢のいい外国なまりの掛け声に活気づく場所、だれとでも友達になれる、と出演者たちは言う。
パイナップルやイチゴを串に刺して食べさせるところもあり、イギリス人は切った果物をこういう風に食べさせるところは自国にはない、と言って喜んでいた。

日本は静寂とカオスが隣り合っている不思議なところ、という感想をもらす外国人たちに
我が国の良さをあらためて教えてもらったような気がした。

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